322015授賞語

年間大賞

爆買い

日本国内最大の免税事業を展開する羅怡文さん(ラオックス株式会社 代表取締役 社長)

オタク文化の発信地、東京秋葉原に外国人観光客が目立ち始めるようになってから、あっという間に京都・浅草などの定番観光地はもちろん、三重県伊賀でのニンジャ体験など日本人が気付かない日本を楽しむ外国人が見られ、2015年は「日本再発見」がブームとなった年でもあった。

増加を続ける外国人観光客のなかでも中国からの訪日客は他を引き離し、ドラッグストアで、家電量販店で、スーパーマーケットで、百貨店で、化粧品、医薬品、お菓子など一人当たり17万円以上を「爆買い」し、「大人買い」が精一杯の日本人を圧倒し、世間を驚かせたのだった。

世界に目を向ければ、中国企業が6400人でフランスに4泊6日で爆社員旅行、習近平国家主席はアメリカで旅客機300機を爆買い。中国人の消費パワーを見せつけられた年でもあった。

物が売れない昨今、日本の商品は信用できる、「日本通」だと自慢できる、と嬉々として買いまくってくれるのはうれしいが、日本は信用できるよい国だと、まるごと爆買いされる将来がきたりして…

年間大賞

トリプルスリー

今年プロ野球において、65年ぶりに二人揃ってのトリプルスリーを記録した柳田悠岐さん(福岡ソフトバンクホークス)、山田哲人さん(東京ヤクルトスワローズ)

今年、野球界はセリーグではヤクルトが14年ぶりの優勝、パリーグはソフトバンクが2年連続優勝。その優勝チームの中で、プロ野球ファンのハートをわしづかみにしたのが、二人の選手だった。鍛え上げられた強靭な体が描くパワー溢れるバッティングフォームで3割6分強の高打率を残し首位打者となった福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手。そして気負いしない表情で飄々として見えるのに、バランスの良い体で打てばホームラン王、走っては盗塁王を獲得した、東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手であった。1シーズンで打率3割、ホームラン30本、30盗塁以上の成績を記録するトリプルスリーを13年ぶりに達成、チームをリーグ優勝へと牽引したのだ。パワー、スピード、テクニック三拍子そろった選手は来年も野球をもっともっと面白くしてくれるであろう。さてこの9月、永田町では新三本の矢が用意された。アベノミクスも第2ステージ、トリプルスリーにあやかって、希望を生み出す強い経済・夢をつむぐ子育て支援・安心につながる社会保障で日本も勢いづいていきたいものだ。

トップテン

アベ政治を許さない

今年7月18日午後一時きっかりに、同じポスターを掲げようという運動を行った澤地久枝さん(作家)

デモといえばスローガンである。「米ヨコセ」など一目でわかりやすい要求をビラや看板で示して叫ぶ手法である。

2015年夏、国会前で行われた安全保障関連法案成立反対デモに集まった人々が手にしていたビラは「アベ政治を許さない」。作家の澤地久枝さんらが発案したメッセージを俳人の金子兜太さんが揮毫したこのフレーズは、要求ではない、追求でもない、つぶやきだ。

強要しないつぶやきが、これまでのイデオロギー対立では現れてこない層に共有されたのだった。「私たちの世代は、左でもない右でもない、中道でもない、前だ」と話したアラフォーのラジオパーソナリティーがいたが、対立軸とプレーヤーがはっきりしていた時代のヘルメットにタテカン、アジ演説という昭和のアイテムとは違う、多様な意見を包み込む、囲わないゆるさで効果を見せてくれた。

トップテン

安心して下さい、穿いてますよ。

とにかく明るい安村さん(お笑い芸人)

今、企業が一番神経を使っているのが、コンプライアンスとSNS。そんな中、ゴールデンタイムにテレビで、全裸を披露しているこの男。「まさか」と一瞬周りを凍りつかせた後、穿いているピンク色のブーメランパンツを示し、全裸はポーズであったとしっかりと安心させてくれるのだ。

昨今、他人が何かを「やらか」すと、インターネット上は〝正義〟の主張と〝罵倒の嵐〟で溢れかえり、メディアも一般人も巻き込んで右往左往大騒ぎする事の繰り返しである。やれ食品に異物は混入されていないか、情報は漏洩していないか、メールが来たらクレームではないか、最近では画像検索確認はしているかも加わり、管理者は戦々恐々疲弊している毎日である。そんな時、テレビから「安心して下さい」と、とにかく明るい笑顔でいってもらえることで、今年どれだけの人が一瞬でもほっとしたかしれないのである。

「流行語大賞を受賞すると、一発屋で終わる」というジンクスがあります。安村さん、来年も「安心して下さい、やってますよ」再登場をお待ちしています。

トップテン

一億総活躍社会

アベノミクス「三本の矢」から第二ステージ「新三本の矢」を発表。益々ご活躍の安倍 晋三さん(内閣総理大臣)

終戦直後の日本の人口は約7000万人。そこから20年。人口増と高度成長を続け、1967年に日本の人口は一億人を突破した。国民の生活も年々豊かになり、70年代には「一億総中流」という言葉が流行した。「一億人」は日本の豊かさの象徴的数字であると安倍総理は語る。

我が国の構造的な問題である少子高齢化に真正面から取り組んでくれるという。ここで一つ、世代間、男女間の枠をとっぱらい、一億人がガラガラポンで、それぞれできることで活躍する社会というのは希望があるやもしれない。

いきなり大活躍で社会を大転換というのは叶うまいが、まずは小さな活躍からならやれそうだ。家庭で、職場で、地域でそれぞれの能力を発揮しよう。小活躍を積み重ねて、自らが「日本はいい国」と思える気持ちをもっていくしかないのかもしれない。

トップテン

*写真は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 参与 エンブレム委員会 夏野剛さん

エンブレム

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会はみどころがたくさんありそうだ。アスリートの活躍はもちろん、追加種目ではどんなプレーがみられるのだろう、競技場の骨組みはどんなふうになっているのだろう、そしてエンブレムのデザインは!?

2015年はあれこれ話題にことかかなかった年だったが、おかげでスポーツのファンばかりでない多くの国民が心のどこかで参加している、真のオールジャパン体制ができつつある。

新エンブレムは一般公募で選ばれる。〝スポーツの力〟〝日本らしさ・東京らしさ〟〝世界の平和〟〝自己ベスト・一生懸命〟〝一体感・インクルージョン〟〝革新性と未来志向〟〝復興・立ち上がる力〟をキーワードに今月7日が応募の締切日である。

新エンブレムは、ネットでの炎上を本物のお祭りにくるりと変えてくれる、そんなシンボルになるといい。

2020年はエンブレムを身につけて、胸を張って笑顔で外国からのお客様をおもてなししようではありませんか。

*写真は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 参与 エンブレム委員会 夏野剛さん

トップテン

五郎丸(ポーズ)

ラグビーワールドカップにおいて、正確なゴールキックでチームの勝利に貢献58得点をあげた五郎丸歩さん(ラグビー日本代表〈ヤマハ発動機ジュビロ所属〉)

日本人選手と外国人選手、外国人監督で構成されたラグビー日本代表は、世界ランキング3位の南アフリカを敗り奇跡的勝利を収めた。グローバル人材の育成がさけばれる昨今、ルーツが日本であっても他の国であっても、チーム日本のためにタフに戦うことに意味があるのだと、このチームは教えてくれた。同じ思いをもつそれぞれが自らの強みに目を向けて、世界一の練習量で磨きをかけ勇敢に前進する日本のやり方、ジャパンウェーに日本中が熱狂したのであった。

そのジャパンウェーの象徴として人気を集めたのが、五郎丸選手が行うルーティンのポーズ。兵庫県立大学准教授の荒木香織メンタルコーチのアドバイスによって取り入れたという一連の動作は、「荒ぶる」戦いの中に作られるこの瞬間が見どころの一つとなり、ルールを知らない、にわかファンをも強く引き付けた。子どもが女性がおじさんが、一度は真似てみるこのポーズは、あの時の感動を甦らせ、日本ラグビーへの応援の気持ちを高め、ファンの心を一つにさせる輝く旗印となっているのだ。

トップテン

*写真は奥田愛基さんとSEALDsのみなさん

SEALDs

安全保障関連法案の反対デモで若者の中心となったシールズのメンバー

シールズ。最初にこの字面を見た時、新しいアイドルグループかなと思った無礼をお許し願いたい。S・E・A・L・D・s(シールズ)とは「自由と民主主義のための学生緊急行動」の意味だそうだ。彼らの反対デモはイケてるルックスにファッションとそしてコールという。いつもの言葉でラップにのせて盛り上がる、つまり普通のイマドキの学生さんなのだ。その学生さんたちが、〝「日本国憲法」とってもいいじゃない、自分たちも努力していかないと〟と国会前でデモを行うという形で行動したのである。平成生まれのいわゆる「ゆとり世代」とくくられる世代。この年代の若者はものおじしないとか自分らしさを優先するなどと評され、オトナ社会ではちょっと劣勢気味だった。自分で見聞きし学ぶ軽やかな行動力はバブル世代にはない真摯さがある。SNSで共感したらリアルで繋がるなんて当たり前、ウェブサイトは言葉もデザインもかっこよくなくっちゃ、というデジタルネイティブのセンスは、すでに既存政党を凌駕する発信力をもっている。

世界も平等に世代を重ねている。純粋な「あたりまえ」が次の時代を切り拓くことがあるかもしれないという気にもなる。

*写真は奥田愛基さんとSEALDsのみなさん

トップテン

ドローン

ドローン日本人研究の第一人者 野波健蔵さん(千葉大学 大学院工学研究科・工学部 特別教授)

アメリカのインターネット通販会社が小型無人機で宅配サービスを行うというニュースに触れた時は「未来にはそんなこともあるかもね」くらいの見方だった。しかし無人小型飛行機ドローンは、首相官邸への落下や姫路城への衝突など事故やトラブルで、いちやくスポットをあびた。

鳥の目で地上をなめるような映像を見せてくれるドローンは、災害での情報収集、建築現場でのデータ収集などで既に実用化が進み、ドローンの運航ルールを定めた改正航空法も施行される。「空の産業革命」といわれるドローンは、一層身近な技術となってくるだろう。

2015年は1月に新「宇宙基本計画」が決定され日本の宇宙システムの利用が民事から軍事へと大転換し、11月には初の国産ジェット旅客機三菱リージョナルジェット・MRJが初飛行を成功させた。空のニュースが話題となった年でもあった。

トップテン

まいにち、修造!

ユニークな言葉で、多くの人に勇気と希望を与え続ける松岡修造さん(プロテニスプレーヤー)

日常は空疎なお決まりフレーズであふれている。「二度とこのようなことのないよう再発防止に努めます」というお詫び。「今後益々のご活躍をお祈り申し上げます」というお祈りメール。テンプレート流用でいっちょあがりののっぺらぼうの文面からは無念さも寄り添う気持ちも伝わってはこない。

気持ちを伝えるにはなにより〝熱〟のこもった言葉が必要なのだ。熱い言葉といえばこの人、プロテニスプレーヤーの松岡修造さんである。

ウィンブルドンで62年ぶりにベスト8入りしたのは20年前、この時代に世界の舞台で一人戦ったプレーヤー人生に裏打ちされた松岡さんから発せられる言葉は、種目を超えてアスリートたちから本音を引き出す力をもち、錦織圭選手が世界に飛び出す背中を押した。今年100万部以上を売り上げた『〔ひめくり〕まいにち、修造!』にはユニークなワードが詰まっている。「メンタル」が一般語化し、軽々しく「がんばれ」ともいえない今、「できるできる、君ならできる」と、まっすぐに元気づけてくれるのはもう松岡さんしかいないのだ。

322015ノミネート語

  • No.01爆買い
  • No.02インバウンド
  • No.03刀剣女子
  • No.04ラブライバー
  • No.05アゴクイ
  • No.06ドラゲナイ
  • No.07プロ彼女
  • No.08ラッスンゴレライ
  • No.09あったかいんだから
  • No.10はい、論破!
  • No.11安心してください(穿いてますよ)
  • No.12福山ロス(ましゃロス)
  • No.13まいにち、修造!
  • No.14火花
  • No.15結果にコミットする
  • No.16五郎丸ポーズ
  • No.17トリプルスリー
  • No.181億総活躍社会
  • No.19エンブレム
  • No.20上級国民
  • No.21白紙撤回
  • No.22I AM KENJI
  • No.23I am not ABE
  • No.24粛々と
  • No.25切れ目のない対応
  • No.26存立危機事態
  • No.27駆けつけ警護
  • No.28国民の理解が深まっていない
  • No.29レッテル貼り
  • No.30テロに屈しない
  • No.31早く質問しろよ
  • No.32アベ政治を許さない
  • No.33戦争法案
  • No.34自民党、感じ悪いよね
  • No.35シールズ(SEALDs)
  • No.36とりま、廃案
  • No.37大阪都構想
  • No.38マイナンバー
  • No.39下流老人
  • No.40チャレンジ
  • No.41オワハラ
  • No.42スーパームーン
  • No.43北陸新幹線
  • No.44ドローン
  • No.45ミニマリスト
  • No.46ルーティン
  • No.47モラハラ
  • No.48フレネミー
  • No.49サードウェーブコーヒー
  • No.50おにぎらず