現代用語の基礎知識2024

81991授賞語

年間大賞

…じゃあ~りませんか

チャーリー浜 さん

とぼけた表現と演技力、抜群の間合いで、この年最大の流行語となった。30年の“芸歴”から生まれた、計算し尽くされた“ギャグ”との高い評価もあるが、驀進を続ける吉本興業の芸人だから、との皮肉な見方もあった。

新語部門・金賞

火砕流

気象庁雲仙岳測候所(花田 簡輔 所長、他の皆さん)

この年、雲仙岳が200年の沈黙を破り大噴火を起こした。自然の持つ底知れぬ怖さを、火山列島・日本でも62年ぶりという大火砕流が見せつけた。以後「火砕流」という言葉はあらゆるメディアに登場し、もっとも頻度の多い語として定着した。

新語部門・銀賞

ひとめぼれ

伊藤 亘 さん

ブランド米「ササニシキ」の後継米として登場したのが「ひとめぼれ」。国際的圧力によるコメ自由化が日程に上がる中、政府の手厚い保護農業ばかりが話題になっているが、日本農民の“実力”とやる気を示したのが「ひとめぼれ」の開発で、命名者の伊藤が受賞した。ユニークなネーミングといい、消費者を意識した農業を展開し、高い評価を得た。

新語部門・銅賞

八月革命

該当者なし

この年の8月、モスクワ放送からクーデターの第一報が世界中に発信された。これを知ったメディアの一部は、「二月革命」をもじって、これを「八月革命」と命名した。結果はわずか3日で騒動は終わり「八月革命」の言葉も同時に消える。メディアの“無責任さ”と、未来予測が困難な時代を象徴する語として受賞。

表現部門・金賞

川崎劇場

金田 正一 さん(元ロッテ・オリオンズ監督)

決して強くはなかったが、予測不能のおもしろい野球をみせたロッテ・オリオンズが消滅した。熱狂的な応援団と名物監督・金田正一のパフォーマンスは、本拠地・川崎球場の名から「川崎劇場」と称されていた。本拠地も千葉に移り「川崎劇場」は永遠に閉館された。

表現部門・銀賞

地球にやさしい

田代 忠之 さん(講談社学芸局局長)

エコロジー問題が将来の最重要課題になるとの認識が社会的に深まるなか、講談社は本格的にこの問題に取り組む姿勢を打ち出した。テーマ「地球にやさしい」は、抜群のネーミングでたちまち流行語となった。シリーズの出版活動のほか、シンポジウムなどで地球環境問題に取り組み、企業の在り方までも視野に入れている点が高く評価された。

表現部門・銀賞

紺ブレ

自称紺ブレ着こなし自慢代表

バブル期の最後に流行ったのがこれ、「紺のブレザー」=「紺ブレ」である。ひと昔前から「アイビールック」としてあったものだが、「コンサバ」系ファッションの代表としてまた復活。「コンサバ(conservative)」はいうまでもなく「保守的」の意。経済が成熟し豊かになれば、人間が保守的になるのは仕方ないとしても、この後、バブル崩壊の後にすら、若者はどんどん保守化をすすめているのではないか?

流行語部門・金賞

若貴

おかみさんこと花田 憲子 さん

この年、一番の明るい話題が「若貴」兄弟の大活躍。相撲ファンのみならず、日ごろは相撲に興味がないヤング層まで大フィーバー。兄・若花田、弟・貴花田。兄弟の努力、仲の良さ、そして母・憲子の“愛のムチ”と講談調に“美化”された。今日のメッキがはげた状況を見ると、マスコミがつくった虚像だったのか。

流行語部門・銀賞

重大な決意

石破 茂 さん、簗瀬 進 さん、今津 寛 さん、佐藤 謙一郎 さん(衆議院議員)

リクルート事件、共和事件など大型疑獄事件の続発を受け「政治改革法」が上程されたが廃案となった。これに抗議する自民党改革派若手4人衆に対して、10月1日夜半、海部首相の口からこのセリフが飛び出し、政界を激震させた。突如として起こる“海部降ろし”の大波に、あっさり首相の座を追われ、政治センスの無さを天下に知らせただけの結果となった。

流行語部門・銅賞

損失補填

武井 共夫 さん(全国証券問題研究会)

株価下落により損失を被った大口の顧客(大企業など)に対し、多くの証券会社はこっそり「損失補填」を行っていた。「証券110番」を実施していた武井のもとには、“ゴミ”と呼ばれていた一般投資家の怒りの声が殺到。補填の事実が広まるにつれ、株取引とは無関係のあちこちで「俺の損失を補填しろ」という言い回しが流行した。

大衆部門・金賞

僕は死にましぇ~ん

武田 鉄矢 さん(俳優)

ファッショナブルな美男美女が、絵空事の生活実感の中で“恋愛遊戯”を繰り返す“トレンディドラマ”が当時人気であった。「101回目のプロポーズ」もその一つだったが、“さえない中年男”の武田が美女のハートを射止めるという“味つけ”をしてある点が異色。劇中で武田が言うセリフで、少女たちには「カッワイイ」と大流行した。

大衆部門・銀賞

ダダーン ボヨヨン ボヨヨン

松浦 義二 さん(ピップフジモト〔株〕代表取締役社長)

ピップフジモトのテレビCMから生まれた。アマゾネス風の大女が「ダダーン ボヨヨン ボヨヨン」と画面一杯に叫び踊る、何ともたわいないCMなのだが、これが実におかしい。奇声が流行語大賞に選ばれた初めての例だが、それほどインパクトがあった。ちなみに「ダダーン」とは商品名で、宣伝効果抜群であった。

大衆部門・銅賞

ダンス甲子園

日本テレビ『天才たけしの元気が出るテレビ!!』

日本テレビの「天才たけしの元気が出るテレビ!!」の番組内企画名。ディスコサウンドに合わせ、自ら振付をしたショー・ダンスが高校生を中心にした若者の間で流行った。ブームに火をつけたのが、このテレビ番組で、全国からダンス愛好者を募集し“競技会”を開催。ダンスという軟派っぽい語感に、純粋、涙、熱血イメージの甲子園を掛け合わせた“ミスマッチ”が大成功した。

特別部門・特別賞

チャネリング

大川 隆法 さん

霊界との交信ができるという「チャネリング宗教」が若者の間で流行した。大量の書籍爆弾と、効果的な宣伝で一躍有名になったのが「幸福の科学」の大川隆法。釈迦、マホメッド、キリストから日蓮、坂本竜馬とまでチャネリング、つまり交信できると言い、チャネリング宗教の第一人者を自称。うさん臭さを指摘する声も多いが、宣伝の効果もあってか、巷に「チャネリング」の声が満ちた1年であった。

特別部門・連鎖語賞

雅美さん 雅子さん 「たぬき顔」

梨元 勝 さん(芸能レポーター)

この年、芸能ジャーナリズムを賑わしたのが、上原謙の未亡人・雅美と、義理の息子に当たる加山雄三一家との“確執”であった。当初は、加山一家からいじめられた心優しき女性であったのが、いつしか男を手玉にとる希代の悪女になっていった。それにつれ雅美から、雅子へ名前も変わり、事実は何が何だか分からない、という有り様。梨元は取材の中心におり、雅美を“嘘つき”の「たぬき顔」と揶揄して告訴された。