現代用語の基礎知識2024

161999授賞語

年間大賞

雑草魂

上原 浩治 さん(読売ジャイアンツ)

1999年のパ・リーグが松坂なら、セ・リーグはもちろんこの人、上原。連日投手記録を更新した大型新人。とは言っても華々しくデビューした松坂に対し、東海大仰星高校時代は控え投手で、チームも甲子園とは無縁だった。マスコミは地道にはいあがってきた新しいヒーローの心意気を「雑草魂」と表現した。

年間大賞

ブッチホン

小渕 恵三 さん(内閣総理大臣)

突然、「もしもし、ケイゾーです、オブチです。」と、官邸から電話がある。いたずらだろうと、みな疑ってかかる。が、電話の主は小渕恵三首相その人。それも閣僚や議員、大企業の社長など公人相手ならわかるが、雑誌の書き手やら、首相あてに電子メールを送った一般の人にまで直接電話がゆく。山藤章二は週刊誌の似顔絵特集で首相から感謝の言葉をいただいたという。「冷めたピザ」「真空総理」「人柄の小渕」…この人ほど短期間にあだ名が増えた例も珍しいが、ブッチホンはみずからが命名。

年間大賞

リベンジ

松坂 大輔 さん(西武ライオンズ)

鳴り物入りで西武ライオンズに入団したスーパールーキー松坂。150キロ台の速球と切れのいいスライダーで、16勝5敗、防御率2.60の高卒新人最多勝記録を打ち立てた「平成の怪物」。強気で負けず嫌いの彼が敗戦したゲームのあとに残したのがこの言葉。「復讐、仕返し」の意味で、巷でもさかんに使われた。「リベンジ」は格闘技K-1で以前より使われていた言葉。

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学校(級)崩壊

河上 亮一 さん(プロ教師の会<埼玉教育塾>主宰)

ショッキングなタイトルで学校教育の危機に一大警鐘をならしたベストセラーがそのまま流行語に。「教師の個人的な努力ではどうにもならない学級の危機的事態は、子どもの自由や人権を主張する人たちによって拍車をかけられた。彼らは教師が必死に何とかしようとしているとき彼らをたたき、教師は身動きがとれなくなった。これが学校の教育力を低下させ、学校そのものを崩していくことになった…」という。

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カリスマ

渋谷109「Egoist」カリスマ店員の皆さま

いまや素人がマスコミにのり、アイドルになる時代だ。情報が氾濫する現代だからこそ、身近なところに手本を求める。その象徴がカリスマ店員とよばれる超人気の売り子=マヌカンたちだ。女子高生の憧れる職業第一位はファッションショップの店員である。彼女らは売上げも高いが、ファッションリーダーの役目を果たし、そのコーディネートやメイクがそのまま若い女性のトレンドになった。「カリスマ」は今年のキーワードで、「カリスマ美容師」「カリスマホスト」などがあらわれた。

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ミッチー・サッチー

浅香 光代 さん(女剣劇・女優)

サッチーこと野村沙知代をめぐる騒動は連日、ワイドショーをにぎわせた。火付け役はその後ミッチーの愛称で親しまれることになる浅香。ラジオ番組のレギュラー出演最終回でサッチーの身勝手、無作法を批判した。これを機にサッチーの被害者が次々に登場し、悪行・疑惑がぞろぞろ発覚。すさまじいサッチー・バッシングとなった。最大の論点は、参院選出馬時における「コロンビア大学卒?」の学歴詐称、および野村監督との結婚日程詐称が公職選挙法違反ではないかとの疑惑。時効を前にミッチーが東京地検に訴えでるも、証拠確認できず不起訴。

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西暦2000年問題

井谷 厚 さん(東急ハンズ新宿店)

英語圏ではY2K(year two kilo)。その昔コンピュータの容量が小さかった時代、プログラマーが、メモリをけちって年度表示を2桁にしたことから2000年になったことを判別できず、誤動作による事故のおそれがあるという問題。いち早く<非常用品>パックを売り出すアイデア商法でコンピュータを用いない「2000年対策」の仕掛け人となったのが受賞者・東急ハンズ。

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だんご3兄弟

NHK「おかあさんといっしょ」制作スタッフ

1999年1月、「おかあさんといっしょ」で歌われたコミックソング(作詞・佐藤雅彦)。突然ブームに火がつき、CDの予約販売に客が殺到し、発売当初は手にいれるのが困難なほどだった。シンプルな歌詞とメロディ、タンゴのきれのよいリズムにのって、幼児から老人まで唱和することのできる国民歌謡。人気にあやかろうと巷ではたくさんの「○○3兄弟」商品が生まれた。

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癒し

西口 勇 さん(和歌山県知事)

バブル華やかなりし10年前、「24時間戦エマスカ」のコピーで大ヒットしたリゲインのCMが、坂本龍一のピアノソロとともに「この曲をすべての疲れている人へ」というのメッセージを送るようになるなど、「癒し」はもはや国民的テーマ。受賞者は「癒し」をテーマに、南紀熊野を会場としてユニークな地方博覧会を企画、実現した。

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iモード

立川 敬二 さん(NTT移動通信網 代表取締役)

1999年は小文字の「i」を冠した商品が続々登場した。「i」は「internet(インターネット)」の「i」だが「information(情報)」「interrated(統合)」の「i」ともいう。1998年に発売されたアップル社のiMacが発祥だが、翌年日本ではカメラや本などインターネットとは直接関係ないような商品も巻き込んだ一大「i」ブームとなった。その火付け役となったのが、NTTドコモが始めた、インターネットに接続できる携帯電話新サービス「iモード」のヒット。