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外来語の普及から読み解く戦後史〜part.4
著者 木村傳兵衛

外来語の普及から読み解く戦後史〜part.4

リストラ(1991年に登場のカタカナ語)  restructuring

リストラクチャリング。企業の再構築・再構成。非採算部門からの撤退や人員削減、成長分野への人員再配備、などが本来の意味だが、「削減」だけがひとり歩き。なお、この年の流行語には国際貢献がある。

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国際貢献

1991年のことば。この年1月17日湾岸戦争が勃発。日本も多国籍軍への「国際貢献」を迫られ、自衛隊派遣を拒否する一方で、経済的な支援に応じることに。

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湾岸危機・湾岸戦争

→2006年06月号[名誉ある撤退、と言われたいものだ]参照

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多国籍軍  coalition force, multinational force

国連憲章第7章のもとで安全保障理事会の決議に基づいて派遣される強制措置を目的とした複数の国連加盟国による連合軍。

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NGO(1992年に登場のカタカナ語)  nongovernmental organization

ノン・ガバメント・オーガニゼーション。非政府組織。地球サミットをきっかけに非政府機関、民間自発団体の存在が大きく知られるようになった。なお、この年の流行語にはセックスレスがある。

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セックスレス

1992年のことば。性関係のないカップルが増加したという調査結果や分析が雑誌で特集され、その一方、92年の国民生活白書に「少子化」という言葉が登場、その対策に取り組みはじめたが、その後も合計特殊出生率は低下を続ける。

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少子化問題

→2003年12月号[予知と予測と予報に関する単位と数値]参照

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イエロー・カード(1993年に登場のカタカナ語)  Yellow Card

Jリーグからの新語で一般にも使われるように。この年5月15日にJリーグが開幕。ここから「イエロー・カード」「サポーター」などの用語が普及する。なお、この年の流行語には規制緩和がある。

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規制緩和

1993年のことば。公的規制の緩和。政府・自治体等による規制を緩和しようとする潮流は、大きな波になって日本列島に押し寄せた。この国の場合は特に官僚制的な規制や介入の傾向が根強い。

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マインド・コントロール(1994年に登場のカタカナ語)  mind control

有名タレントが統一教会の合同結婚式に信者として参加するなど、新しい宗教をめぐって浮かび上がったキーワード。なお、この年の流行語には価格破壊がある。

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価格破壊

1994年のことば。「激安」を超えて「価格破壊」へ。2500円のスーツを売り出す「洋服の青山」は急成長。ダイエーも複雑な商品流通システムにメスを入れ、実質的な価格破壊を。

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ライフライン(1995年に登場のカタカナ語)  lifeline

都市の社会基盤として、電気やガス、上下水道、通信など、市民生活の根幹をなす施設。この年1月17日、阪神・淡路大震災。なお、この年の流行語にはポアするがある。

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ポアする

1995年のことば。12人が死亡、5510人に重軽傷を負わせた地下鉄サリン事件を起こすなど、日本中を震撼させたオウム真理教の信者用語。これほど悲惨な事件を目の当たりにしながら、加害者側の用語を面白がって流行語にまでしてしまったことで大衆感覚の程度の低さが浮き彫りになった。

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ヒーリング(1996年に登場のカタカナ語)  healing

英語で「癒し」を意味する「ヒーリング」という言葉が、新鮮な響きをともなって普及。なお、この年の流行語にはチョベリバがある。

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チョベリバ

1996年のことば。

コギャルたちは何でも「超」(チョー)を付け、そのうえ短縮語をつくる。だから「チョーベリーバッド」が〈チョベリバ〉に。反対語は〈チョベリグ〉。

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コギャル

ディスコで使用される「高校生ギャル」をつづめた蔑称から。全身日焼けし、髪の毛をチャパツにしている。

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バリアフリー(1997年に登場のカタカナ語)  Barrier-free

障害者が建築物などを使おうとしたときに邪魔になるさまざまなバリア(障碍)を取り除こうという考え方。なお、この年の流行語にはグローバル・スタンダードがある。

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グローバル・スタンダード

1997年のことば。株主の権利や会計基準、意思決定の透明性など、事業の運営において世界的に通用する基準のこと。国際基準。日本国内でしか通用しない〈根回し〉や〈事前折衝〉などは、言わば「ジャパニーズ・スタンダード」。

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ジャパニーズ・マネジメント  Japanese management

日本型経営を指すことば。年功序列、労使協調など、日本独自もしくは特徴的な傾向をいう。官民一体、生活あるいは運命共同体の理念、根回し、稟議(りんぎ)制度、人本主義などをさす場合もある。

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デフレスパイラル(1998年に登場のカタカナ語)  a deflationary spiral

物価の下落が景気のいっそうの悪化を招く悪循環。物価下落と実体経済の縮小とが相互作用的に進行する。日銀は4月、日本経済がデフレスパイラルに陥る懸念を指摘した。なお、この年の流行語には老人力がある。

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老人力

1998年のことば。忘れっぽくなると警戒心がなくなって新しいものが入りやすい状態になり、それは活性化だと解釈する。つまり老人力がついたということ。造語者は赤瀬川原平。

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カリスマ(1999年に登場のカタカナ語)  charisma

カリスマ美容師に髪をカットしてもらうには数カ月前から予約をしないと難しくなり、ファッションショップでお客に向かってタメ口で服を薦める「カリスマ店員」たちの威力も絶大に。なお、この年の流行語には癒し系がある。

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癒し系

1999年のことば。「癒し」ムードが定着。疲労回復剤「リゲイン」のインストルメンタルCM曲(by坂本龍一)がヒットチャートの1位を獲得。和歌山県は「癒し」をテーマに、南紀熊野を会場としてユニークな地方博覧会を開いた。

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IT(2000年に登場のカタカナ語)  Information Technology

情報技術。地球規模で経済、社会、生活に大きな変革をもたらしている情報技術による変革の波は〈IT革命〉と呼ばれた。なお、この年の流行語にはミレニアムがある。

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ミレニアム

2000年のことば。キリスト教文化には千年を一区切りとする考え方があり、これがミレニアム(千年紀)。ミレニアム・ナイトといえば、1999年12月31日の夜。

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DV(2001年に登場のカタカナ語)  Domestic Violence

ドメスティック・バイオレンス。この年、配偶者暴力防止法(DV防止法)施行。なお、この年の流行語にはスローフード9・11がある。

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スローフード(2001年に登場のカタカナ語)  slow food

80年代にイタリアで始まった「スローフード」のムーブメントがこの頃から日本にも上陸。なお、この年の流行語には9・11がある。

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9・11

2001年のことば。この年9月11日、米国ニューヨークの世界貿易センタービルを中心にいわゆる同時多発テロ発生。

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同時多発テロ

→2002年10月号 [危機管理のキーパーソンからキーワード]参照

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グラウンド・ゼロ(2002年に登場のカタカナ語)  ground zero

もともと核爆発の爆心地をさすことばで、震源地、泉源といった軽い意味でも使うが、01年9月11日のアメリカの同時多発テロ以後、崩壊した世界貿易センタービル跡地を指すことばになった。なお、この年の流行語には拉致がある。

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拉致

2002年のことば。9月に平壌で行われた小泉総理・金正日国防委員長会談の直前に北朝鮮側は、長年否定していた日本人の拉致を初めて認め、謝罪し、再発の防止を約束した上で、拉致被害者の安否にかかわるリストを提示した。

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マニフェスト(2003年に登場のカタカナ語)  manifesto

4月の統一地方選挙で多くの知事候補がマニフェストを提示。政党の政権公約だが従来の選挙公約と違うのは、選挙で示される政策について、期限、財源、数値目標、プロセスなどが具体的に示されている点。なお、この年の流行語にはトリビアがある。

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トリビア

2003年のことば。つまらない細かいことについての知識。フジテレビ系の人気番組「トリビアの泉」から。

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へぇ〜

→2003年12月号 参照

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ニート(2004年に登場のカタカナ語)  NEET←Not in Employment, Education or Training

仕事にも就かず、教育や職業訓練も受けない。フリーターとして働くのでもなく、かといって学校などに通うのでもなく、完全に無業となっている若者がニートとよばれる。なお、この年の流行語にはチョー気持ちいいがある。

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チョー気持ちいい

2004年のことば。アテネ五輪男子100メートル平泳ぎで金メダルを獲得した北島康介選手、ゴール直後には1位かどうかわからず、応援席の盛り上がりを見て「とりあえずガッツポーズ」。

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北島康介

→2003年11-12月号「復活・リメイクのキーパーソンからキーワード」参照

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ロハス(2005年に登場のカタカナ語)  LOHAS←Lifestyle of Health And Sustainability

LOHASは環境と人間に負荷をかけない生き方を略称する新語。アメリカの社会学者たちが提唱したもの。なお、この年の流行語には刺客がある。

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刺客

2005年のことば。9月の衆院選、小泉首相は、郵政造反組の自民党候補者に対し、対立候補(刺客)を立てた。たとえば亀井静香に対して知名度の高い堀江貴文候補、野田聖子に対しては佐藤ゆかり候補。

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郵政・ガリレオ解散

→2005年12月号 「2005流行語大賞からキーワード」参照

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造反組

→2006年11月号 「安倍新政権は流行語大賞をゲットできるか」参照

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メタボリック・シンドローム(2006年に登場のカタカナ語)  metabolic syndrome

内臓脂肪症候群。内臓脂肪型の肥満に、高脂血症・高血圧・高血糖などの複数の生活習慣病が重なった状態。なお、この年の流行語にはハンカチ王子がある。

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生活習慣病

→2007年02月号 「流行語大賞2006からキーワード」参照

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ハンカチ王子

2006年のことば。夏の甲子園、全国高校野球選手権大会で早稲田実業を悲願の初優勝に導いたエース・斎藤佑樹投手の愛称。

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斎藤佑樹/佑ちゃん

→2007年02月号 「流行語大賞2006からキーワード」参照

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