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9月は防災の季節
―― +ついでに“ちょっと関連のある”いま話題の〈ダム〉についての用語集
 

「脱ダム」宣言のための用語集

ダム

ダムには機能で3種類にわけられる。<1>貯水ダムは「上流に降った雨水をいったん塞き止める機能」をもつ。さて何のために塞き止めるかというところが、個別にわかれるところで、治水(洪水などの防災)・農業用水・不特定利水・水道・工業用水・水力発電・レクリエーション・消流雪用水・養魚用水等に分かれる。じっさいには複数の機能をもたされるケースが多く、治水と利水を同時にこなす都合のいいモデルがあり(合衆国でニューディール期に開発された)、高度成長期には随分建設された(→多目的ダム)。<2>取水ダムは、発電用、灌漑用などの水路に流水をとり入れるためのダムである。<3>砂防ダムは、河道の状態を適正に保つため土砂を塞き止める機能を負っている。

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多目的ダム

戦後つくられてきたダムの目的は、経済・社会状況の変化に応じるように、農業用水から水力発電、さらに都市の水道水、工業用水の確保へとうつり、経済成長の鈍化や工場の海外移転に伴う水余りが明確になってからは、治水が前面にでてきている。いずれの目的であっても最終的にできあがる姿が同じ貯水ダム(→ダム)であることを考えれば、まさに「つくることを目的につくっている」との批判もむべなるかなである。

ただしニーズそのものにはそれぞれに合理性があるし、「つくること」の目的は臆面もなく「景気対策」であったりする。それと環境破壊懸念をどう天秤にかけるかの問題であろう。

現在、見直しの対象となっているダムのうちには、「規模や目的の固まっていない」ダムがいくつかある…という。“目的が固まっていない”けど“やろうとする”公共事業は身も蓋もなく格好がつかない。

脱ダム宣言で中止にむけられている下諏訪ダムの建設目的は「洪水・不特定利水・水道」

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水系一貫

1964年公布の河川法における河川管理の重要な考え方。

利水については上流で水をとる者と下流で水をとる者の配分のバランシングのこと。治水については、上流で行う河川改修が、下流の治水に悪い影響を与えないように留意すること(人為的な調節は往々にして皺寄せをどこかにつくりがちなので)。

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河川法改正

1997年5月の河川法改正では、河川計画に住民の意見を反映させるべく、住民への説明と情報公開を義務づけた。

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