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9月は防災の季節
―― +ついでに“ちょっと関連のある”いま話題の〈ダム〉についての用語集
 

9月は防災の季節

防災の日

関東大震災が発生した1923年(大正12)9月1日11時58分にちなんで、毎年この日は防災の日となっている。

71(昭和46)年以降は、毎年国家的規模で「総合防災訓練」を行っており、95年度以降は、阪神・淡路大震災の教訓から、総理大臣以下閣僚が訓練に参加している。扇国土交通相が防災服姿をお披露目する日としての印象が強いが、日常に忙殺され防災意識を怠りがちな国民にとっては意義のある日である。

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防災週間

8月30日〜9月5日。国と自治体など行政機関のよびかけで、1982(昭和57)年から毎年この時期に実施している。「日本は95年の阪神大震災、2000年の有珠山と三宅島の噴火、東海豪雨などにみられるように自然災害が起きやすい国土で、<1>普段から災害に対する備えを充実する、<2>災害が起きたときは速やかで適切な防災活動を展開する…ことが重要」(中央防災会議)。各地で大地震や豪雨を想定した救助・避難訓練などが行われる。

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建築物防災週間

1960(昭和35)年以来、全国一斉に実施されているもので、建造物の耐震性・防災性を高めるなどの活動を行っています。毎年春秋の2回催され、春は3月に1945年の東京大空襲に因むかたちで、秋は9月(今年は8月30〜9月5日)に1923年の関東大震災に因んで行われる。

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道路防災週間

毎年8月25日〜31日は「災害に強い道路づくり」を目標とした道路防災週間。8月1〜8月31日「道路ふれあい月間」の最終週にもあたる。

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歌舞伎町雑居ビル出火事件

2001(平成13)年9月1日午前1時ごろ、東京都新宿区歌舞伎町の雑居ビル「明星56ビル」(地上4階地下2階建て約500平方メートル)で爆発音とともにビル3階の踊り場付近から出火。瞬く間に異常な黒煙と高熱がビル内を走り、3階のマージャンゲーム店と4階のキャバクラ店を合わせた約160平方メートルを焼き、客と従業員44人(男性32人、女性12人)が死亡。ほとんどが一酸化炭素中毒死だった。助かったのはビルから飛び降りた3人の従業員(重軽傷)のほか、客らしき男性1人が目撃されている。都内で発生したビル火災では1982(昭和57)年のホテル・ニュージャパンの33人を上回る最悪の被害者数。

避難経路は1本の階段のみの、いわゆるペンシル型ビルで、建物前面には一面に広告シートが貼られ、ほかの窓もベニヤなどで封鎖された密室状態。このため避難路ばかりか、煙の逃げ場もない。防火扉も箱などで邪魔されていたほか、火災感知器も内装で覆われて作動しない状況にあったが、それらの電源が切られていたことが後に判明。消防法、都条例、風営法など、幾重もの法令無視が明るみに出た。消防署の防火に対する査察は5年に1回程度、しかもテナントの変りが早く、防火指導も徹底しない。事件後も、防災体制には著しい改善はみられないともいう。「防災の日」であることとは無関係に発生した火災であろうが、なんとも日が悪い。

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特異日(singularity)

ある気象状態が偶然とは考えられないほどの確率で起こる日をいう。9月17日、26日は強い台風の襲来の特異日。過去大きな被害をだした台風では、9月16-17日には、枕崎台風(1945)・アイオン台風(1948)・14号台風(1954)・第二室戸号台風(1961)などが、9月26日には、13号台風(1953)・洞爺丸台風(1954)・伊勢湾台風(1959)などが襲来している。他に特異日といわれるのは、4月5日および23日の晩霜、7月14日の梅雨明け、10月10日は秋の長雨あけ(東京五輪開会式をこの日に設定して大成功)、11月3日(文化の日)秋晴れなど。

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伊勢湾台風

1959年9月26日、東海地方を襲った強い台風。死者・行方不明者計5041名という未曽有の被害をだした。紀伊半島の潮岬に上陸したあと岐阜、富山をぬけ新潟沖を移動して、秋田県能代付近に再上陸、青森東部にぬけるというコースをたどり、全国各地に爪痕を残したが、最大の被害がでたのは、伊勢湾の高潮によるもの。あまりの惨事に、この後、都市防災の計画がすすみ災害対策基本法が制定(1961)されるなどした。

このため、1960-61年あたりをさかいにして、わが国で“懸念される自然災害”の種類がかわってきた。治山・治水事業や台風進路等情報の配信整備によって台風被害はそれほど大きくなり、死傷者の実数も激減、かわって崖崩れ土砂・土石流などの土砂災害が対策のメインとなっていった。

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気象予報士試験

直近では8月25日、気象予報士試験が行われる。気象予報士は、1994(平成6)年、気象業務法の改正によって導入された制度。「防災情報と密接な関係を持つ気象情報が、不適切に流されることにより、社会に混乱を引き起こすことのないよう、気象庁から提供される数値予報資料等高度な予測データを、適切に利用できる技術者を確保することを目的として、創設されたもの」

業として天気予報を行う事業者は、現象の予想を気象予報士に行わせることを義務づけられている。

気象予報士となるためには、気象予報士試験に合格したうえで、気象庁長官の登録を受けることが必要。

気象予報士試験については(財)気象業務支援センター 試験部 まで

〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3−17 東ネンビル

TEL:03-5281-3664

URL:http://www.jmbsc.or.jp/

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脱ダム宣言

2001年2月20日、田中康夫前長野県知事(失職ののち選挙中)が発表した河川・湖沼政策に関する宣言。もちろん今次、知事選の争点のひとつでもある。脱ダム宣言の要点は、<1>河川・湖沼は子孫に残す資産、<2>ダムは環境に大きな負担を与える、<3>改築や保守に多額の費用を要するということ、また「治水、利水共に、ダムに拠(よ)らなくても対応は可能であると考える。(宣言より)」など。たしかに治水・利水を同時に行う多目的ダムを核とした河川行政は、米ニューディール政策の手法の流れをくんだ70年代の高度成長期的なモデルであり、環境面での副作用が大きく、いまはあまり流行らない。治水に関しては、ダムや河道に頼らない複合的な対応が流行りである。そういう背景からいっても、田中氏の論は、安易な環境論ではないわけだ。

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