山口謠司の1分音読シリーズ
心とカラダを整えるおとなのための1分音読
- 大東文化大学文学部教授 山口 謠司
坊っちゃん、源氏物語、ロミオとジュリエット……
毎朝1分。毎晩1分、おなじみの名文を読めば
心とカラダがスッキリ!!◆本書は原稿の一部を公開しています。お読みいただく方はこちらをClickしてください。→「試し読みサービス」へ
- 定価 1,430 円(本体 1,300 円 + 税)
A5 判/ 128ページ
2017年12月20日 発行
ISBN 978-4-426-12388-8 - *ご注意 発行年月日は奥付表記のものです。実際の発売日とは異なります。
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「音読」というと、学生時代に国語や英語の授業で
教科書を読んだことを思い浮かべる人が多いかもしれません。
大人が文章を読む時には、「黙読」をすることが圧倒的に多いと思います。
しかし、「音読」には「黙読」にはないメリットがたくさんあります。
1.気持ちが落ち着きます。
気持ちを落ち着かせる作用があるセロトニン(神経伝達物質)は、
音読をすることで多く分泌されます。音読を習慣にすることで、
安定した精神状態を導くだけでなく、認知症やうつの予防にも効果が期待できるでしょう。
2.やる気が出てきます。
やる気や自制心を司る脳の前頭葉は、音読によって刺激することができます。
前頭葉は意識して動かすことが必要で、音読はその適した手段です。
フットワークが軽くなったり、ネガティブな気持ちに向き合うことが
上手になったりするでしょう。
3.ストレスが解消し、抵抗力がアップします。
カラオケが好きな人なら、歌を歌ってスッキリした経験があるでしょう。
大きな声を出すことで、ストレスホルモンが少なくなるだけでなく、
内臓の働きも活性化しますから、病気に対する抵抗力も高まる可能性があります。
歌の苦手な人でも音読なら気軽に始められます。
4.脳が活性化されます。
「黙読」では目で情報を読み取って脳にインプットしますが、
「音読」では声に出して文章を読むアウトプットが加わります。
音読は視覚と聴覚の両方を同時に用いることで、脳の活性化に効果があるのです。
5.誤嚥性肺炎の予防に役立ちます。
のどの筋肉は年齢とともに衰えていきます。
本来食道に入るべき食べ物が誤って気管に入ることで起こる誤嚥性肺炎は、
年を重ねるとともに気をつけたい病気のひとつです。
予防のためにも、音読でのどの筋肉を自然に鍛えましょう。
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「音読なんて、学生時代以来だわ」という人も
少なくないかもしれません。
小学生、中学生の時は、よく音読をさせられましたよね。
高校生になっても、「マル切りで」などと言われて、
句点までの音読みをさせられたりしたことは
ありませんでしたか?
でも、高校で大学受験の準備が始まる頃から、
だんだん音読はしないようになりました。
それは、音読をしていると、試験の問題を解く時間が
足りなくなってしまうからなのです。
ただ、本書を手に取っている方々の多くは、
試験のための読書をなさる世代ではないかと思います。
そうであれば、ぜひ、小・中学校時代に戻ったように、
楽しく音読をしてみませんか?
黙読では読み飛ばしていたところに
気づくこともあるでしょう。
そして、自分の声を通して、文章がもっと心と頭、
体に響くことを感じるかもしれません。
この本には、小説や随筆、詩や短歌など、
「1分を目安に読める文章」を掲載しています。
1分はあくまで目安ですが、長めの文章はスピーディーに、
短い詩は2回繰り返すなどするとよいでしょう。
本書に収めた名作の数々が心と頭、
体に響いてくることを経験したら、
今度は原書を手に取って読んでほしいと思うのです。
さて、小学校1年生の時、元気いっぱいに
音読をしていた時のことを思い出してみましょう。
大きな口を開けて、顔全体の筋肉を使って、
明るく元気に大きな声を出して本を読みませんでしたか?
みなさんに、ぜひあの時の元気を、
もう一度取り戻してほしいと思うのです。
そして、文章の中の主人公になってほしいのです。
朝から音読をすると、気分が爽快です!
夜寝る前にいいお話を声に出して読むと、
いい夢に包まれることもありますよ。
現実も大切ですが、音読によって、しばし、
本のなかにある世界にたっぷり身を浸すことも、
心身に豊かな元気の素を育むことになるのではないでしょうか。
これを機会に、小・中学生以来忘れていた、
音が奏でる文学作品散策を再発見し、
さらに楽しんでいただきたいと思うのです。
(著者「はじめに」より)