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《食べる》漢方の事典☆7月の食材
執筆者 久保田恵美

《食べる》漢方の事典☆7月の食材

しそ  Shiso

生薬名は「蘇葉(そよう)」。しその旬は、青じそが6〜7月、赤じそは7〜10月です。しその香りには精神安定作用があるため、料理の薬味として少し添えるだけで疲れが和らぐ効果があります。また、抗アレルギー作用があるため、アトピー性皮膚炎、花粉症に有効。ほか、消化を助ける作用、解毒・抗菌作用から、風邪や胃潰瘍の治療、予防にも効果的です。

摂取法は、普段の食事にアクセントとして添えるだけで十分。刺身のツマはもちろん、豆腐の薬味、餃子や春巻きの具材として使ってもおいしく摂取できます。→しそ酒

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しそ酒

しその摂取法の一つに、青じそをお酒に漬けた薬酒「しそ酒」があります。まず、青じそ(約150g)を水洗いして水分をしっかり拭き取り、2〜3日自然乾燥させます。それをホワイトリカー(1.8L)に入れ、3カ月ほど漬けておきましょう。このとき、好みではちみつを1カップ程度(または、氷砂糖100g程度)入れると飲みやすくなります。1カ月ほどで飲むことはできますが、おいしく飲むには3カ月待つことがベスト。薬酒にする場合は赤じそでなく、香りのよい「青じそ」を使ってください。

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あんず  Apricot

生薬名は「杏仁(きょうにん)」。これは、あんずの種のことです。さらに詳しく示すと、種の中にある仁(さね)という部分のこと。それを粉末状にしたものは「杏仁霜(あんにんそう)」と呼ばれています。これは、杏仁豆腐に使う材料として一般的な食材です。

効能は鎮咳、便秘解消、解熱など。酸が強いため、多食することはおすすめできません。また、干しあんずやジャムとして摂取するよりも、生のほうがより効果的です。6〜7月は、おいしいあんずが出回る季節なので、ぜひ「生」をお試しください。→杏仁茶

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杏仁茶

「杏仁茶」とは杏仁霜(あんにんそう)をお湯で溶いたもの。美肌や、体を温めて風邪予防に効果があるため、中国では古くから親しまれている飲み物です。日本でいう甘酒のような存在で、風邪のときもおすすめ。杏仁霜にくず湯を注いでとろみをつけたり、はちみつや砂糖で甘味をつけたりしてもおいしくいただけます。

また、「緑茶と杏仁霜」を合わせると、便秘やガン予防に効果があると言われています。杏仁霜は、スーパーや百貨店の菓子材料コーナーで簡単に入手可能です。

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ライチ  Lychee

生薬名は「茘枝(れいし)」。楊貴妃(唐の玄宗皇帝に寵愛された伝説の美女)が好んで食べていたという果物です。気品な芳香と味わいから「果実の女王」とも呼ばれています。

効能は胃痛・歯痛の鎮静作用、生理不順・貧血の改善など。滋養強壮の効果もあり、疲労回復に最適です。ただし、食べ過ぎは逆効果なので、適度を心がけましょう。

ライチの旬は5〜7月頃ですが、缶詰、乾果、冷凍品として通年出回っています。

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ホンカンゾウ   Daylily

ホンカンゾウの蕾(つぼみ)のことを「金針菜(きんしんさい)」と呼びます。これを乾燥させたものが生薬として販売されています。生の金針菜は緑色でアーモンドを引き伸したような形をしています(長さ3cm程度)。下ゆでしてサラダに添えたり、炒め物やスープの具材にしても美味。野菜に近い淡白な味わいと、歯ごたえのある食感が特徴です。

効能は体内の熱や気を鎮める作用、抗ストレス作用、造血作用など。よって、自律神経失調症や貧血の方に最適です。鉄分はほうれん草の約20倍、ビタミンも豊富なので、ぜひ料理の材料として取り入れてください。生の金針菜は、アジア食材を豊富に扱う野菜売場や通信販売で入手できます。乾燥タイプは、中華材料コーナーで入手可能。お湯か水に約10分漬けてもどしてから使ってください。

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紅花  Safflower

べにばな。生薬名は「紅花(こうか)」。梅雨のはじめから7月にかけて紅色の花を咲かせます。その花冠(かかん=複数の花びら)を乾燥させたものが生薬として販売されています。

効能は血液の流れをスムーズにし、体を温めます。月経痛、生理不順、更年期障害などの婦人病や、高血圧、狭心症、動脈硬化、脳梗塞などの疾患にも有効。さらに、美肌効果があるため、中国では薬膳料理にもよく使われます。

簡単な摂取法は、お茶として飲むこと。味がもの足りない場合は、好みのハーブティーなどに紅花を小量加えて飲むとよいでしょう。また、スープや炒め物の仕上げにアクセントとしてパラッと散らすこともおすすめです。彩りも鮮やかで食欲増進にもつながりますよ。紅花は漢方薬局や中華食材を扱うスーパーなどで入手可能。

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紅花油

打撲や外傷には、紅花油や紅花酒(米酒で紅花を煎じたもの)を患部に擦りこむ方法が効果的です。また、紅花油はコレステロールを低下させる作用があるため、動脈硬化などの防止に。生活習慣病が気になる方は、普段の食事に取り入れることをおすすめします。

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フェンネル   Fennel

和名であり、生薬名である「小茴香(しょうういきょう)」。地中海沿岸原産のセリ科の植物です。小茴香は実が熟す前に収穫して乾燥させたもの。別名「フェンネルシード」とも呼ばれ、香辛料やアルコールの香りづけなどに用いられます。甘い香りとほのかな苦味が特徴で、パンや焼き菓子に使ってもおいしく仕上がります。

効能は冷えの改善、食欲増進作用、消化促進。冷えによる腹痛時はぜひお試しください。また、胃痛、消化不良の際は胃腸薬としての効果を発揮します。乾燥したフェンネルシードはスパイスコーナーで、生のフェンネルは百貨店の野菜コーナーなどで入手可能です。→フェンネルティー

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フェンネルティー

小茴香(しょうういきょう)の手軽な摂取法は「フェンネルティー」。食後にお湯を注いで、香りを楽しみながらどうぞ。また、魚との相性がいいので、好みのハーブと組みあせて散らし、塩・こしょうをしてオリーブオイルをかけ、グリルで焼くだけで十分おいしくいただけます。→フェンネル

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