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安全と危険に関する単位と数値
著者 白鳥 敬

安全と危険に関する単位と数値

海外危険情報

世界的にテロが頻発するなどなにかと物騒な世の中になってきました。特に海外では、国によっては日本にいると想像がつかないくらい治安の悪い国がたくさんあります。外国の危険度を知る目安に、外務省が出している「海外危険情報」がありますので、海外渡航を予定している方は同省のホームページからチェックしておくのもよいかもしれません。なお、各レベルの詳細は以下の通りです。

「危険度1」:

  十分注意してくださいという「注意勧告」。

「危険度2」:

  渡航の是非を検討してくださいという「観光旅行延期勧告」

「危険度3」:

  渡航の延期を勧める「渡航延期勧告」

「危険度4」:

  待避を勧告し渡航は延期するようにすすめる「家族等待避勧告」

「危険度5」:

  現地に滞在しているすべての邦人に対して安全な国や地域への待避を勧める「退避勧告」

2006年6月の時点で、インド・カシミール地方の管理ライン付近、東ティモールの首都ディリなどに危険度5の退避勧告が出ています。

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デフコン(DEFCON)  Defence Condition

デフコンはアメリカ軍の戦闘状態の段階を示すものです。それぞれの段階については以下の通りです。

「デフコン1」:

  最大の軍事力の準備

「デフコン2」:

  レベル1以下で最大の軍事力の準備

「デフコン3」:

  軍事力の強化

「デフコン4」:

  平時。情報を収集し、安全度を強化する

「デフコン5」:

  平時

デフコン3は、1962年10月のキューバ危機、73年10月の第4次中東戦争、そして2001年9月11日の同時多発テロのときに発令されました。デフコン2は、キューバ危機の間、アメリカ戦略空軍(SAC)に対して1回発令されました。1は幸いなことにまだ発令されていません。

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国土安全保障警報システム  Homeland Security Advisory System

9.11テロの6カ月後につくられたアメリカ国内向けのテロ警報システムです。これは5つに色分けして警戒のレベルを表しています。この分類は、テロ攻撃が行われる確率の高さによって以下の通りに色分けされています。

「Green(緑)」:

  Low Risk。リスクは低い

「Blue(青)」:

  Guraded Risk。慎重に注意すべきリスクあり

「Yellow(黄)」:

  Elevated Risk。リスクが高くなりつつある

「Orange(橙)」:

  High Risk。高いリスクあり

「Red(赤)」:

  Severe Risk。深刻なリスクあり

なお、いちばん低いGreenレベルでも、家庭に非常時用キット(食料、救急用具等)を準備するよう通告されています。

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機密レベル(アメリカ)  Classification levels

ネットワークの時代を迎えて情報保護(セキュリティ)に関する技術や制度がこれまで以上に求められるようになってきました。最もセキュリティが必要な組織は、政府機関と軍でしょう。アメリカ軍の機密レベルは次のようになっています。

「Top Secret」:

  国家の安全保障にきわめて甚大な損害をもたらす情報。

「Secret」:

  外部に漏れると深刻なダメージを国家に与える情報。

「Confidential」:

  外部に漏れると、国家に損害を与えたり不利となる情報。

「Restricted」:

  外部に漏れることが望ましくない情報。

「Unclassified」:

  秘密取扱資格を持たない人間でも見ることができる情報。

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日本の機密情報

アメリカの機密レベルは別項の通りですが、日本にもアメリカのレベルに対応した機密レベルがあります。また、諸外国にも同様の機密レベルがありますが、国ごとに名称や、定義は異なります。日本では次のような順番になっています。

 「機密」:Top Secretに相当。

 「極秘」:Secretに相当。

 「秘」:Confidentialに相当。

 「取扱注意」:Restrictedに相当。

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国際原子力指標評価尺度(INES)  International Nuclear Event Scale

INESは、原子力発電所等の放射能漏れなどとトラブルのレベルを示す指標です。1992年に、国際原子力機関(IAEA)と経済協力開発機構の原子力機関(OECD/NEA)が策定し、日本も同年8月から運用を開始しています。「レベル7」から「レベル4」までが大事故に分類されており、「レベル3」から「レベル1は「異常な事象」、「レベル0」は「尺度以下」とされています。

「レベル7」:

  深刻な事故。よう素131等価で数万テラベクレル[TBq]相当の放射性物質の外部放出。

「レベル6」:

  大事故。よう素131等価で数千から数万テラベクレル[TBq]相当の放射性物質の外部放出。

「レベル5」:

  所外へのリスクを伴う事故。原子炉炉心の重大な損傷。

「レベル4」:

  所外への大きなリスクを伴わない事故。原子炉炉心のかなりの損傷。従業員の致死量被爆。

「レベル3」:

  重大な異常事象。放射性物質の外部放出量は、10分の1ミリシーベルト以下。所内では、急性の放射線障害を生ずる被爆。

「レベル2」:

  異常事象。所内では、法律で定められた年間被爆量(線量当量)限度を超える被爆。

「レベル1」:

  逸脱。深層防護においては運転制限範囲から逸脱する。

「レベル0」:

  尺度以下。このレベルは「0+」(深層防護において安全に影響を与える)、「0-」(安全に影響を与えない)に分けられています。

ちなみに1986年のチェルノブイリ事故は「レベル7」、79年のスリーマイル島事故は「レベル5」。99(平成11)年の東海村のJCO事故は「レベル4」に分類されます。

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電磁波の安全基準/SAR

携帯電話等の弱い電磁波の人体への影響については、総務省の「電波防護指針」によってSAR値が定められるなど、安全上の基準が定められています。

SARとは、Specific Absorption Rate(比吸収率)のことで、単位質量あたりの人体の組織に単位時間に吸収されるエネルギー量のことです。単位は、「W/kg」。SARには、全身平均SARと局所SARの2種類があって、携帯電話などの小型の無線機器については、局所SARが適用されます。

「電磁波防護指針」によると、100kHz〜3GHzの周波数で任意の組織10gあたりの局所SARは、2W/kgとなっています。市販されている携帯電話はすべて、この範囲に収まるように設計されています。

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致死量(LD)  Lethal Dose

LDは、薬物等によって人や動物を致死させる量のことをいいます。また、半数の人や動物が死ぬ量を「半数致死量(LD50:50% Lethal Dose」といいます。この指標は薬物の急性毒性の強さを表すときに用いられます。

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毒薬/劇薬

毒薬は毒性の強い薬品、劇薬は、毒薬より弱い毒性を持つ薬品で、薬物の種類は、毒薬・劇薬とも薬事法によって指定されています。一般的に、劇薬は毒薬の10分の1の毒性を持っていて、LD50が300mg/1kg以下のものをいいます。劇薬には、白地に赤い文字で「劇」の表示、毒薬には、白地に黒い文字で「毒」の表示が義務づけられています。

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