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スマートで快適な滞在をたのしむホテル用語
執筆者 松田朝子

スマートで快適な滞在をたのしむホテル用語

コンシェルジュ  concierge

アメリカではゲストリレーションズなどとも言われているコンシェルジュ、フランス語では「案内人」のことを指す。その名のとおりコンシェルジュは、近隣の観光名所の案内や、お勧めのレストランの紹介や予約、ショーチケットや航空券の予約や確認など、滞在中のお客様のあらゆる要望に対応してくれる頼もしい常駐スタッフ。人を使うことに慣れていない日本人にはいまだ馴染みのない存在だが、ガイドブック数冊分もの情報を持ったコンシェルジュを、もっと利用してもいいのではないか?土地勘のない場所でガイドブックを頼りに右往左往したり、レストランの予約やショーチケットの手配のために電話にしがみついていては、限られた旅先での時間が勿体ない。そんな犠牲を払っても目的を果たせなかったら、同行者とのトラブルは必至、どちらかがキレて旅乱と化してしまうだろう。楽しくあるべき旅で嫌な思い出を残さぬよう、コンシェルジュを上手に利用しよう。

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スィートルーム  Suite Room

スィートルームとは、「2部屋以上の続き部屋のある客室」のこと。このスィートを甘い(sweet)と解釈して、ハネムーナー用の「甘いムードの部屋」と誤解している人は結構多い。スィートルームには、ベッドルームの他にパーラー(リビングルーム)など続きの部屋がある。なかにはダイニングコーナーなども備わっていて、プライベートなパーティーができるようなスィートもある。気の置けない同士の集まりなら、居酒屋の小部屋で時間に追われるよりは、こういう空間を利用するとお洒落だろう。

そしてスィートルームは、そのホテルのグレードを示す象徴。憧れのホテルがあるならば、スィートルームに滞在してみないとそこのコンセプトに触れられないかもしれない。「名門○○ホテルに泊まったけど、たいしたことなかった」

と言う人は、ケチって一般の客室に泊まったからである。

だが、スィートルームの予約は、誰もが奮発すれば取れるというものではない。

それぞれのホテルでは、自分のところのスィートルームに滞在するのにふさわしい客のイメージを持っている。だから、予約の際に、

「金に糸目は付けねえから、最高級スィートをとってくれ」

なんて手合いは、いくら支払い能力があったとしても、門前払いを食らうだろう。

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ステューディオタイプルーム  studio type room

ステューディオ、といっても音楽を収録したりするわけではなく、もっと広い意味での「仕事場」をコンセプトとした客室。昼間は会議も開けるリビングルームや、壁の一部がスクリーンになっている部屋もある。これをもっとコンパクトにしたのが、ステューディオシングル(studio single)。 部屋にはシングルベッドと、夜はベッドとしても使えるソファがあり、ちょっと高級なビジネスホテル風。受験生などには、普通の客室よりステューディオシングルのほうが、勉強がはかどりそうだ。

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コネクティングルーム  connecting room

隣合わさった2つの部屋のそれぞれに、内部から行き来ができるよう内扉がついている構造。ドアは2重になっていて、そこを閉めてしまえばそれぞれ独立した部屋としても使える。グループや家族など人数の多い団体旅行のときは、いちいち廊下に出なくともそれぞれの部屋を行き来できて便利。また、男女問わずペアでの旅行でも、終始一貫相手と一緒の部屋だと、お互いが気まずくなることも。ストレスを溜めてしまい旅乱となる前に、時にはこうした部屋を利用して相手との距離を置こう。ホテルによってコネクティングの部屋数はまちまちだが、いずれも限られているので早めにリクエストをしておきたい。

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アジョインイング・ルーム  adjoining room

グループや家族などの宿泊の際、運悪くコネクティングルームが取れなかった場合は、隣合わさった部屋、アジョインイングルームをキープしよう。これは 隣り合った部屋のこと。お互いの部屋を行き来することが必至な場合は、いちいち靴を履いて廊下を歩くのは面倒。またいくら注意してもスリッパのまま廊下に出てしまう旅乱なおじさん、廊下を走る子どもなど「困った親戚」の迷惑行為を未然に防げる。ただ、たまたま冠婚葬祭などで集まった仲の悪い親戚同士とか、みんなと離れてコソコソ何かをしたい人たちのグループには、隣り合わせの部屋など、要らぬお世話なのかもしれない。

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ハリウッドツイン  hollywood twin

ツインルームを一人で使うとき(シングルユースと言う)、隣の空いたベッドを見ていると空しくなるもの。

「ツインの料金を払うんだから、両方のベッドを使わなければ損!」

とばかり、2つのベッドを夜毎に取り替えて使っている人もいるかもしれない。そこまでしてツイン料金のモトを取りたいなら(?)、2つのベッドの配置を「ハリウッドツイン」にしてもらおう。これは、シングルベッド2つを密着させてダブルベッドとして使うという方法。構造上、ハリウッドツインが不可能な部屋もあるので、ハウスキーパーにたずねてみよう。ハリウッドツインのネーミングは、ベッドがくっついたり離れたり、イージーに変えられることから、結婚、離婚を繰り返すハリウッドスターを揶揄してそう呼ばれるとか。

もっとも、シングルユースだけではなく、カップルでチェックインして、運悪く(?)ダブルベッドを確保できなかった場合にも、ハリウッドツインは使える。これで、

「寝るときは手をつないで〜」

などと言う、ちょっと鬱陶しい彼女のご機嫌を損ねることはない。もっともそんな熱々のカップルのみならず、ダブルベッドだと相手の寝返りが伝わって安眠妨害、というカップルもこのハリウッドツインがお勧めだ。そんな風にベッドの位置を調整しつつ、相手と自分の「旅乱にならない快適な距離」を常に調整して欲しい。

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ターンダウン・サービス  turn down service

夕食などで外出し、部屋に戻ってきたら、出る前とベッドの様子が違う・・・・。

すわ!泥棒とばかりフロントに駆け込んだりしては、同行者からも旅乱を疑われてしまう。これは泥棒ではなく、ターンダウン・サービスと言って、ハウスキーピングの人が、夜、ベッドカバーをはずして、眠りやすいようにベッドを整えてくれるサービスである。客室数が千単位の超大型ホテルなどでは、このサービスが省略されているところもある。またベッドを整えるだけではなく、使ったタオルを新しいものに取り替えてくれたり、ベッドサイドのテーブルにミントチョコを1枚置いていってくれたり、翌日の天気を記したカードをベッドの上に置いていってくれたり、ホテルによってそのサービスはまちまちだ。

夕方から部屋に篭って誰かと何かに励んでいる人は、このターンダウンが部屋を訪ねてくることを頭に入れておくと、あわてずに済むだろう。

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コンプレイン  complain

苦情、不満。 略してコンプレとも言う。たとえば、窓の鍵が壊れている、エアコンの調子が悪いなどといった部屋の設備の欠陥から、隣室がうるさいなどといった対人的苦情まで、コンプレの理由は様々だ。もし、部屋にいてそういった不備や不都合な目に遭ったら、自分さえ我慢すれば・・・とか、面倒くさいから、などと思わずにすぐ申し出ることだ。そういった安易な妥協は、ストレスとなって旅乱の温床となってしまう。

また、霊感の強い人が、

「どうもこの部屋は何かおかしい」

というのも、立派なコンプレなので躊躇しないで申し出よう。もっとも欧米では、その「出る」ことを売りにしているホテルもあるので要注意。最初にフロントで、

「この部屋は出るけど、いいか?」

と嬉しそうに聞いてくれるから心配は要らない。また、不備不都合に過剰に反応して、

「責任者を出せ!」

などと必要以上に怒りをあらわにすると、不良客というレッテルを貼られかねないので

気をつけよう。

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スキッパー  skipper

宿泊料金、飲食代金を踏み倒して逃げる人のことを指す言葉。

ほとんどのシティーホテルでは、チェックインをすると宿泊料金、館内での飲食、施設内ショッピングアーケードでの買い物が、全てをルームキーで支払いでき、チェックアウト時に精算するシステムになっている。最近はチェックイン時にクレジットカードを提示したり、現金払いの客にはデポジット(前払い金)でいくらかを払わすのだが、それでもこういった犯罪は起こるという。スキッパーの典型的な手口は、

・事前にきちんと予約を入れてくれる、男性の一人客か男女のカップルで、必ず2,3泊の連泊をリクエスト。

・連泊のわりには荷物が少なく、最大の特徴はルームサービス、館内レストランでゴージャスな食事とワインをオーダーしていること。もちろん、支払いはルームキー提示でサインのみ。

・チェックアウト前夜に姿を消す。

何だ、誰でもできそうではないか、などとは思わないで欲しい。スキッパーの被害にあったホテルは、同エリアで同じような被害が出ないようにするため、他のホテルに不良客情報を流しているのだ。また、こういった人を事前に見分けることは不可能のように思えるが、ホテルマンたちの「職業で培われた人を見る目」をあなどってはいけない。

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U.G  Undesirable Guest

アンデザイアブル・ゲストの略。ホテルにとって不適切な客のこと。

UGとはスキッパーや、利用客を装って他の客への嫌がらせなど、迷惑行為を目的とした暴力団、他の利用客に強い不快感を与える者、ホテルへ不当な要求を行う者などで、一たびUG客のレッテルを貼られた者は、ホテル同士の情報網により、どこのホテルに行ってもUG客として扱われてしまうから気をつけたい。旅の恥は掻き捨て、とばかりあちこちで傍若無人に振舞うと、旅乱どころではないしっぺ返しがくると肝に銘じることだ。

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バレーパーキング  valet parking

車をホテルの正面玄関に乗り付けて、エンジンも切らないでロビーに向かう。

映画のシーンのような風景を、欧米のホテルのエントランスで見かけるが、これがバレーパーキング。ここから先は、バレーのスタッフから預り証のチケットをもらい、車を駐車場に入れてもらう。バレーは基本的に無料だが、車を出してもらうときにはスタッフにチップを渡す。(欧米の場合)このスマートで便利なシステムは、パーティーなどでドレスアップしているときなど、すすけた駐車場を歩かずに済むし、足場の悪い駐車場を歩かせるのには忍びない老人、子どもが一緒のとき、女性をカッコよくエスコートしたいときには是非利用したい。まだ日本のシティホテルでは普及していないが、海外でレンタカーをしてホテルに向かうとき、このシステムを知っていると同行者から一目置かれること請け合いだ。ただ、調子に乗ってカッコつけすぎると、同行者がどんどん卑屈になって旅乱化するので、ほどほどに。

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デイユース  part day use

ホテルによってその設定があるかないかはまちまちだが、デイユース・プランを謳っているところでは大体、チェックアウトタイムの昼前後から、夕方のチェックインのピーク時までの間の約4時間を対象にした料金設定を設けている。カップルだと、「サービスタイムのラブホテル」みたいでちょっと気恥ずかしいが、夏休みシーズンのシティホテルなどは、ランチやプールの利用もついたセット料金を提示しているところもあり、情事や仮眠に当てては時間が勿体無いほど、リゾート気分を味わえる。

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タイムシェア  timeshare

タイムシェアとは、リゾートタイプのコンドミニアムの一室を週単位で購入するという、最近の欧米人の間でじわじわと浸透している、合理的なリゾート共有のシステム。もちろん扱いは通常の不動産と同じように登記され、代々に相続もできる。タイムシェア・リゾートは、一般のホテルとは違って、キッチンや調度品、ジャグジーなどがある、高級住宅風の施設。また大手ホテルチェーンでも、タイムシェア・プログラムを展開しているところもあり、それによって傘下の提携リゾートを、世界中どこに行っても使えることになる。日本の旅行代理店でも、このタイムシェア見学ツアーを行っているところもチラホラ見かけるので、そういう機会に体験してみよう。海外の高級リゾートを我が物顔で使いこなすことができたら、みんなからは羨望の眼差しで見てもらえるし、同行者だって不機嫌になることもないだろう。

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ベルキャプテンデスク  bell captain desk

アメリカで誕生したページとポーターを兼ね備えた職種は「ベルマン」で、玄関口でお客様を向かえ、フロントに案内。ベルキャプテンディスクは、ロビーのフロント付近や、目立つ場所にあり、ベルマンの指揮をするベルキャプテンが立つ場所。タクシー関連や、荷物の管理をおこなっている。コンシェルジェのいないホテルでは、その業務を変わりに行っていることが多く、各種手配や案内も行っている。

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