月刊基礎知識
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現代用語に見る商売のあれこれ半世紀

非合法(またはグレー)な商売

ショバ屋

1951年本誌掲載。以下、

隠語で、場所のことをショバというが、戦後、交通機関の混乱に乗じて生まれた非合法の商売。列車改札を待つ乗客を目当てに行列の前の方のいい席をとり、その場所を売りつけるのを商売にしている人間。上野や大阪駅などに一番多く、大抵数名がグループになっている。

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ポンコツ屋

1951年本誌掲載。以下、

クツ屋などがポンポンコツコツと釘を打ったりする金槌をポンコツというが、そのポンコツでトントンやり、老朽車や、故障車や、戦災車や、中古品などの自動車を修理して、一見新品車やそれに近いものに見えるような車に仕上げる商売をポンコツ屋という。

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脱税屋

1951年本誌掲載。以下、

看板には経済相談所などとなっているが、裏から見れば、税金の安くすむ法、脱税の秘訣などの伝授所もあるので、そうした種類の相談所を呼んだ名。

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団体屋

1951年本誌掲載。以下、

最近修学旅行や、一般団体の旅行を斡旋すると称する業者の中でインチキなものがふえて来た。こうした類の業者を“団体屋”と呼ぶ。

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カッパ屋

1952年本誌掲載。以下、

劇場、映画館などのヤミ切符のブローカーのこと。ダフ屋(札屋)とも呼ばれている。劇場街で、2倍から4倍もの高値で切符を売りつける。

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プーバイ

1954年本誌掲載。以下、

符売と書く。急行券、寝台券、劇場の切符などを手に入れ、買いそびれた人に2〜4倍の値段で売ってサヤを稼ぐ。駅や劇場の周辺に屯してこれを生業とする人種をカッパ屋とかプー屋とか称する。

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なきばい

1954年本誌掲載。以下、

街頭イカサマ商売の一種。サクラに電車賃を掏られたの、工場が潰れたのと泣言をいわせ、客を装った者がその持物を見て有名品だと騙って他の客にも買わせる仕組である。

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みず屋

1954年本誌掲載。以下、

地方から大都会へくる修学旅行や観光の諸団体をバス業者や旅館へ斡旋して不当な手数料をとるヤミ旅行案内業者のこと。

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パンマ(撫でっ子さん)

1954年本誌掲載。以下、

一名を「撫でっ子さん」。新橋、上野、新宿のホテル街や熱海、伊東、鬼怒川などの温泉宿に出入するヤミの女アンマ。勿論レッキとした免状持ちもいるが、その多くは按摩が看板で後は売春かそれに近いものといってよい。熱海では芸者がパンマ攻勢に音をあげたというが、事実これで月に10万を稼ぎ出したのもいるという。

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ノミ屋

1956年本誌掲載。以下、

私設馬券屋のこと。語源は人の金を丸ノミにするとか、馬にはつきものの蚤のようにあちこちでゴソゴソする態からきたとかいわれていて定かでない。とにかく勝馬投票の購入を委託され、当れば配当から手数料を引いて支払うが、当らなければそのままふところにのんでしまう。競馬が国営から民営に移ったとき同法からこの商売の削除が行われたためたちまちまんえん、あわてた当局がやっと「3年以下の懲役、30万円以下の罰金」規定を作って弾圧したので、夏頃から下火になった。

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導入屋/預金屋

1956年本誌掲載。以下、

たとえばA会社が甲銀行から預金もなくて融資を受けようとするばあい、導入屋に頼むと彼はかねて予約している預金屋を利用して甲から金をひき出してくる。

A会社は預金屋には普通の利子のほかに2分〜3分の謝礼、導入屋には斡旋料を支払うことになるが街の金融機関よりはずっと低利で安心して借りられるわけ。

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ハンカチ・タクシー

1959年本誌掲載。以下、

古本タクシーともいう。自家用車を使ったモグリ・タクシー。フロント・ガラスに「営業中」という札をかけているから、一見、営業用タクシーのように見え、これに乗ると普通のタクシーより2割方安く、しかも景品にガーゼのハンカチやくつ下、あるいは古雑誌、ゾッキ本などをくれる。法律では自家用車をタクシーに使ってはならないことになっているので、もし交通係の警官に見つかるとこういいのがれる。「いいえ、品物を買って下さったお客さんに無料サービスをしているだけです。」

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週末屋

1963年本誌掲載。以下、

駅の出札所の前にたむろしてヤミ切符を売るダフ屋−これは終戦直後に見なれた風景だが、これがまたぞろ東京駅あたりで見うけられるようになった。ただ最近のはレジャー・ブームを当てこんで、週末の温泉・行楽地行きの準急券をねらうの特徴、週末屋と呼ばれるゆえんである。「→プーバイ」 →「カッパ屋」

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当たり屋/事故屋/示談屋/免許屋

1963年本誌掲載。以下、

今年の当たり屋といったものではない。会社社長、芸能人などの高級新車にぶつかっていって、いろいろといんねんをつけ、三面記事にならぬよう示談にもちこみ、金をゆする知能犯。別名事故屋ともいう。またこうした事件を示談にして双方から金をとる商売があり、それを示談屋、これ専門の民事弁護士を示談弁護士という。また事故をおこすと、免許を取りあげられるので、替え玉になって免許証を売り歩く免許屋もある。

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パクリ屋

1966年本誌掲載。以下、

金融や手形を材料として、おどしやたかりを働く暴力団。その手口は高利で金を貸し、返済期限がきても返せないと、暴力的に商品を奪い取ったり、金を貸すといって約束手形を書かせ、そのまま持ち逃げしたり、その手形を取返してやるといって、謝礼金をせびるといった悪どい方法を用いる。

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整理屋

1981年本誌掲載。以下、

企業の倒産に介入し、債権・債務の整理に際して不当な利益をあさる者をいう。大半は倒産企業の手形を入手し債権者として乗り込んできて、巧妙な手口で理不尽な解決を強要する形をとり、暴力や恐かつはむしろ少ない。このため、他の暴力的取り立てから逃れるため、整理屋に頼り、いっそう悲惨な結果を招いている例も少なくない。

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B勘屋

1988年本誌掲載。以下、

ブラックマネー(B)、あるいは裏勘定(勘)を用いて土地転がしをする不動産業、あるいはその業者を指す。ニセ領収書をつくり、実際にはなかった土地取引が、あたかもあったように見せかけ、法外の手数料をとる。地価高騰の続く巨大都市、とくに東京でB勘屋の暗躍が目立つという。

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かぶり屋/一発屋

1989年本誌掲載。以下、

新手の脱税専門屋。不動産取引の売買益をごまかすのに使われる。狂乱地価で、がっぽり稼いだ不動産業者に介在し、幽霊法人を使って、税金をごまかすのが「かぶり屋」。一獲千金を狙うモグリ不動産業者が「一発屋」。「かぶり屋」の役目は不動産取引について、帳簿上での利益を減らすことにある。売買手数料を受け取ったとして領収証を発行するが、実際は少額の手数料だけ受け取り、姿を消す。「一発屋」は大企業のダミーが多く、調査時期になると、同様に所在が不明となる。ニセ領収証発行を専門とする消し屋もいる。

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カード屋

1991年本誌掲載。以下、

パブやレストランの名義でカード会社と契約し,この権利で,ソープランド,ファッションヘルス,ホテトルの支払いを引き受けて,1〜3割のマージンを稼ぐ商売。(大どころの暴力団が新しい資金源として「カード屋」商売に力を入れているという情報もあります 週刊テーミス1990.7.4〜11)

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マニング屋

1991年本誌掲載。以下、

もぐりの船員あっせん業者。man(人)が「人を雇う」という動詞になって,それから作られた。→「手配師」

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地下げ屋

1997年本誌掲載。以下、

占有屋、妨害屋。賃借権を悪用して金融機関や住専の債権回収を妨げる。背後に暴力団の影もちらつく。ビルを売却しようとしても彼らが居座っていれば買い手はいない。そこで高額な立ち退き料を要求したり、担保物件を買い叩いたりする。

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年金屋

1997年本誌掲載。以下、

年金証書や印鑑、通帳を預かって年金立替えする消費者金融業者。

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カバン屋

1997年本誌掲載。以下、

パチンコやパチスロの裏ROM(正規のプログラムに細工をし、規格外の連チャンなどを起こす)を作りホールに売る違法の商売を行う連中のことをカバン屋という。改造器具などを入れたカバンを持ち歩いていることから。次々と出現する新台への対応、プログラムの改造を防ぐセキュリティとの戦いなど、儲けは大きいとはいえ相当にシビアな世界。

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多重債務の「紹介屋」「整理屋」

1999年本誌掲載。以下、

複数の消費者金融やクレジットカード会社などへの返済に追われる債務者の弱みにつけこみ、多額の手数料で他の消費者金融業者を紹介したり、借り換えをあっせんする「紹介屋」、返済計画を立てたり借金を一本化する「整理屋」が荒稼ぎをしている。1998(平成10)年3月には、東京都内の「紹介屋」が約11億円の所得を隠していたとして東京国税局が告発したが、その業者は借り換えを仲介したように装っていたものの実際は何もしていなかったという。悪質な業者と提携する悪徳弁護士もいることから、東京の3弁護士会は、「クレジット・サラ金相談電話」窓口を開設した。

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口座屋

2001年本誌掲載。以下、

インターネットで架空名義の銀行口座を売りさばく者。警察庁によると、1998(平成10)年4月から99年10月までに、仮名や借名の架空口座が使われた犯罪、全国で99件摘発、うち11件がインターネット上で売買。

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占有屋

2002年本誌掲載。以下、

競売にかけられた建物に、あたかも居住しているかのように表札を掲げたり、元の所有者と短期の賃貸契約を結んだりして、落札者に立退き料を要求する手口。競売物件を違法に占拠することからの名。悪質な活動を許さないための競売妨害罪の罰則強化を求める声が出ている。

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ID屋

2004年本誌掲載。以下、

他人のパスワードなどを、販売目的で不正な手段を用い入手すること。2003(平成15)年5月、京都府警は大手プロバイダのオークションサイトから他人のパスワードを入手した男を不正アクセス禁止法違反で逮捕した。男は入手したパスワードなどを、ネット上の掲示板に1〜5万円で販売する広告を掲載し、数万円の利益を得ていた。

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名簿屋

2004年本誌掲載。以下、

多重債務者のリストを売る業者。1業者当たり個人情報を数十万人分保有し、それらをパソコンで管理、1人分数十円から数百円で売っている。東京都内に30業者以上あるとみられ、警視庁ヤミ金融特捜本部は出資法違反(高金利)の幇助罪で摘発。

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