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阪神タイガースが強い、名古屋だけ好景気…ということに
―― 大阪と名古屋その他を考えるの用語集
 

そのほかの町の《方式》

高校入試・京都方式

本誌1968年版収録

京都市が実施している高校入学者選抜方針。京都府では京都市を除き1高校1学区制が維持されており、京都市では独自の総合選抜制が行なわれている。すなわち同市では市内の府立校・市立校合わせて12校の公立普通高校が合同選抜を行ない、12校の総定員8000人を一括決定し、合格者を各自の居住地にあわせて各校にふりわける。結果的に1校1学区の小学区制となるが学区の範囲は毎年いくらかずつ変わる動的なものとなっている。今日、学校格差という観念は京都からまったく消滅したが、大学進学状況は順当であり、京都市の公立12校についてみれば東京などで東大入学者が特定の高校に極端に片よっているのに反し、京大入学者が12校にほぼ均等に行きわたっている。”京都方式”にたいしては不満の声もさして聞かれず、この方式はほぼその土地に定着しているものとみられる。

蜷川虎三府政時代に、「15の春は泣かせない」政策として始まった総合選抜制度は、保守府政に切り替わってからも継続し今日に至っている。たしかに公立高校間の学校格差はなくなったが、国私立高校との学力格差は拡がるばかり。地元の京都大学へもほとんど進学できない。1985年から徐々に修正を行ってはいるものの、義務教育でもない高等学校を、生徒自身が選択できないという不自由さ、在校生の学力低下を止められず進学実績が芳しくないという2点において、府民のニーズとずれが生じているのも事実である。

一方では、思い切った入試制度改革を行った京都市立高校の一部が驚異的に進学成績を向上させており、制度も曲がり角に立っている。

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高校入試・兵庫方式

本誌1968年版収録

兵庫県教育委員会が昭和43(1968)年度から実施を決定した高校入学者選抜方針。合格者は、調査書を主資料とし、学力検査を補助資料として決定する。<1>調査書−主として3カ年の累積記録である調査書によって合格者の決定を行なう。<2>学力検査−言語素材による検査によるすべての教科の学習目標にできるだけ共通する基礎的な能力(主として思考力)を調べる。運動能力や運動技能などを実技により検査する。ここにいう言語素材による検査とは、結論やまんなかの部分がない文章や数式、理科実験などを示し、受験者にこれに適切な文章や説明を記入させるもの。この“兵庫方式”については、教育界・父兄間に賛否両論の声があり、賛成論者は「これで詰め込み教育がなくなり、生徒がのびのびとした中学生活を送れる」と楽観的にみるのにたいして、反対論者は「中学校1年のときから競争意識が激化するし、いまのような過大学級のもとで教育委員会が求めるような詳細な調査書がはたして正確につくれるものかも疑問だし、学校差や学級差の問題もある」と不安をうったえている。

※ベビーブームの影響、高度成長に伴う人口の都市集中による受験戦争激化への対応として始められたこの制度であったが、同様の趣旨で総合選抜制度(→高校入試・京都方式)も推進された。同県の場合、総合選抜方式は、すんなりとは導入されず、単独選抜・連携校方式・総合選抜の3つの制度が共存することになった。

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横浜方式

本誌1972年版収録

自治体が、独自に硫黄酸化物(亜硫酸ガスなど)などの濃度基準を盛込んだ協定書を作成し、臨海工業地帯への進出企業にこの協定をのませる公害防止措置。横浜市が昭和39(1964)年12月、電源開発磯子火力発電所と結んだのが最初で、以後、横浜方式といわれるようになった。同市はこれらの協定で立入り検査権を認めさせるほか、企業が協定を守らず公害を起こした場合、市で必要な措置をとり、経費は企業に負担させるという代執行権まで規定している。

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