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そんなに負担はできやしないの特集
 

減税と増税

今日の増減税は、かなり無機的な、算術的な政策であるように思われる。「その増税は弱者イジメなのか」「その減税は恩恵なのか、国民が当然享受すべき状態なのか」そういうことは、後づけの論題だ。もちろんそれは、徴収される側にとっては額面が第一の問題だが、徴収する側にとっては増減税は手段であって目的ではないということによる。

政策減税(1964)

本誌1964年版収録。以下、

特定の政策を推進するために行う減税。ふつう減税といえば、所得税、法人税など直接税の控除を引き上げたり、消費税など間接税の税率を引き下げたりする(一般減税という)のであるが、政策減税の場合は、たとえば道路など公共用地を買取しやすくするため、土地譲渡所得の一定額以下をある期間非課税扱いにする、といったような措置が取られる。昭和38年度の税改正をめぐり貯蓄増強のための減税がはかられ、一般減税は僅かしかみられなかった。銀行預金の利子課税はすべて従来の半分となり、一率5%となり、また国民貯蓄組合制度にかわって少額貯蓄免税制度が設けられた。配当の源泉徴取、税率も37年度までの10%が5%へ引き下げられることが予定される。一般減税では物価騰貴の傾向を考えると庶民の租税負担はそれだけ重くなるにもかかわらず、所得税の配偶者、扶養、専従者の3控除は5000円の引き上げしか認められず、法人税では同族会社の留保所得税が少し軽減されるに止まった。これらを通じ、政策減税は「金持減税」ではないかという批判が出ている。

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政策減税(1986)

本誌1986年版収録。以下、

租税収入の増加に伴って、その一部減税に充てる場合を一般減税といっているが、政府の特定の政策目的に従って行われる場合を、政策減税といっている。政策減税は物価調整減税とは違い、政治政策実現のための手段として用いられるものである。今日では、租税特別措置法に特定の政策目的に従った減税のための法令が数多くみられる。特に特別償却制度または準備金制度のうちにはこれが多い。

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自動的減税法案(仮称)

本誌1960年版収録。以下、

シャウプ勧告から10年たち、日本税制の全面的根本的改正案を審議するため税制調査会が発足したが、これまでの10年間は毎年繰り返された減税とそのための税制改正の歴史であった。このようなひんぱんな小きざみ税制改正は、税務官吏にとっても納税者にとっても繁雑であるばかりでなく、国民経済にとっても非能率的であるというところから、もし根本的税制改正が行なわれれば、以後は「国民所得の増加に伴う自動的減税に関する法律」(仮称)ともいうべきものを制定し、税の自然増収の一部を自動的に国民に還元するほうがよい、という意見が生まれる。減税の額は自然増収の半額ないし6割を充て、それを所得税、法人税の減税および(間接税に見合うものとして)国民年金など公的年金の拠出金の減額に充てるといった方式が考えられるが、この比率の割り振りの検討は今後に残される。

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ミニ減税・マキシ減税

本誌1973年版収録。以下、

わが国では、<1>所得税の租税弾性値(所得の伸びに対する税収の伸びの比率)が大きく、<2>物価とのかね合いで低所得層の税引後の実質所得水準を維持する必要がある、<3>税負担の軽減ないし公平の見地から、時として税率構造をかえる必要がある、などの理由から、毎年度、所得税の減税を行なっている。したがって、毎年度行なわれる所得税の税制改正は、減税額をどの程度にするかが最大の焦点となる。昭和46〈1971〉年度の減税論議に際し、マスコミを中心に、スカートの丈になぞらえて1,500億円ならミニ減税、3,000億円以上ならマキシ減税といわれたが、実際には、1,666億円の減税に落着いた。

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サラリーマン減税

本誌1974年版収録。以下、

サラリーマンの税負担は、俗に「クロヨン」といわれるように、他の所得に比較して高く、「税負担の適正化」が図られていないのではないかという不満が見られる。このため、サラリーマン減税が最近の問題となっている。

減税の方法としては、サラリーマンに対して必要経費を認め、例えば、所得額の20%〜40%の範囲で所得控除を認める方法や、給与所得控除を引上げる方法(昭和48〈1973〉年度税制改正により定額控除が3万円引上げられ平年度分16万用になるとともに、定率控除の適用所得階層が従来の5割アップとなった)などが考えられる。最近話題となっているのは前者であるが、これには高所得者に対して優遇することとなるとか、税制が複雑化するとかいう問題点があるため、この点に留意して対処してゆく必要がある。

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減税ボーナス

本誌1977年版収録。以下、

日本サラリーマン・ユニオン、全国民間労組委員長懇話会などの4団体が唱えているもので、「平均3万円を5月に払い戻せ」という減税要求のこと。減税対象者は、年収700万円以下で、減税額は平均3万円、非課税対象者には、一律2万円の支給といった内容のもので、総額1兆円と推計される“減税ボーナス”が消費に回れば、生産が刺激され、景気回復→雇用安定といった図式を描いたアイデア。

アメリカで実施された1975年3月成立の減税法では、前年度(74年)にさかのぼって、納められた税金の10%を納税者に小切手で直接返還するという施策が原型になっており、アメリカでは景気回復に大きな効果があったと言われる。わが国においては、賛否両論あり、反対論は赤字国債下のわが国の現状、貯蓄性向などを根拠としており、賛成論は個人消費の伸びを重点にして賛成している。

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物価調整減税(1977)

本誌1977年版収録。以下、

物価騰貴により名目所得がふえると、高い累進税率が適用されるので、実質所得は同じでも、所得税、住民税などの負担が高くなる。そこでたとえば、所得税、住民税の課税最低限をある期間を通じた物価の推移に応じて調整してゆく必要が生ずる。

昭和51年度税制改正に際し、今年度も税負担の面から、少なくとも物価上昇に見合った課税最低限の引上げを行うべきだという主張が行われた。

しかし51年度税制改正においては、わが国における所得税・住民税の課税最低限は外国のそれと比較しても、また平均的な所得・生活水準との対比においても、すでに相当な水準に達していること、課税最低限の引上げは毎年必ず行うべきものと考える必要はなく、物価の推移及び財政事情を考慮して総合的に判断することが妥当である、などの理由から物価調整減税は見送られた。ちなみに、課税最低限は、51年で夫婦子2人の給与所得者の場合、日本183万円に対し、アメリカ186万円、イギリス89万1000円、西ドイツ103万9000円、フランス176万3000円となっている。

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物価調整減税(1985)

本誌1985年版収録。以下、

所得税は課税標準である所得金額が増加するに伴って、税率が累進する。日本はインフレ国といわれるように、物価が上昇する。それに伴い給与所得者等の給与等の収入金額も上昇する。ところが、実収入の増加に伴い所得税率が増大するのに伴って、所得税額もふえる。これでは可処分所得金額が必ずしもふえない。そこで、所得税額が増加しないように、調整のために減税する必要性がおこる。その方法として、所得控除額の引上げという措置が従来とられてきた。それが減税の効果を生んでいたのであるが、昭和52年以来、それが行われていなかったが、59年度の税制改正により、基礎控除額等の引上げ等により、若干の物価調整減税が行われた。

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特別減税(戻し税方式)

本誌1980年版収録。以下、

昭和52〈1977〉年度、53年度に実施された。いわゆる戻し税方式による減税のこと。両年度とも、前年分所得税の納税者を対象に、前年分所得税につき減税を実施したものであり、特別減税額は、納税者本人につき6000円、控除対象配偶者又は扶養親族人につき3000円を合計した金額で、その者の前年分所得税額を限度とされた。還付の方法としては、給与所得者(源泉徴収による納税者)は給与の支払者(源泉徴収義務者)から給与の支払の際に、それ以外の申告納税者等については、税務署から郵便局を通じて還付が実施された。この特別減税は、減税額を一律としていること、利子、配当所得および割引債の償還差益の源泉分離課税分を対象から除くなど、とくに中小所得者に対して配慮したものであり、52年度については、各党の合意に従う議員立法により、53年度については、衆議院大蔵委員長提案に基づく議員立法により、それぞれ、1年限りの臨時的措置として実施された。

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パート減税

本誌1985年版収録。以下、

主婦である妻の働きで収入が多くなると、夫の所得のうちから配偶者控除を差引くことができなくなる。その結果、夫の所得税額が増大する。一方で最近はパートで働きにでる主婦が多くなってきた。この解決策としては、パートで働いた場合の免税点を引上げる他はない。そこで、昭和59〈1984〉年度の税制改正でそれが90万円に引上げられた。妻がパートで働いた場合に、90万円までの給与等の収入金額だったら、夫の所得税の計算で配偶者控除の適用を受けられることになったのである。その内訳は給与等の収入からの給与所得控除額の最低控除額が57万円で、基礎控除額が33万円に改正されたことによる。ところが、内職による収入は給与等の収入ではない。収入金額から必要経費を差引いて33万円以下でなければ、夫が配偶者控除の適用を受けられない。このパート減税については、59年7月の国会で成立した。

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パート減税

本誌1991年版収録。以下、

所得税法では、「自己の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得がある場合、その合計所得金額が35万円以下」であれば、配偶者控除または扶養控除が適用されることになっている。したがって給与所得控除の引上げや内職労働者等の必要経費の最低保障額が引き上げられると「パート減税」となる。

1990(平成2)年の所得税法・租税特別措置法の改正の結果、給与所得控除額の定額部分が57万円から65万円に引き上げられ、それに伴って内職労働者の必要経費の最低保障額も現行の57万円から65万円に引き上げられた。その結果、年間収入100万円以下であれば配偶者または扶養控除が適用される。90(平成2)年1月からさかのぼり実施され、減税総額は約500億円と見込まれる。これを「パート減税」という。

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寝たきり減税

本誌1987年版収録。以下、

寝たきり重度障害者をかかえるサラリーマンと自営業者の場合、昭和57〈1982〉年、租税特別措置法により、扶養控除33万円、特別障害者控除33万円、同居加算控除7万円の計73万円が認められた。これが60年12月に、与野党一致の議員立法「租税特別措置法改正案」として可決され、合計80万円が控除額として認められることになった。この対象となる重度障害者は全国で約25万人、減税規模は小さくわずか42億円。年収600万円の夫婦子ども2人のサラリーマン世帯だと、所得税・住民税あわせて、この改正だけで約1万6000円の減税となる。

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単身赴任減税

本誌1987年版収録。以下、

給与所得者(サラリーマン等)の単身赴任がふえている。ここで単身赴任について確たる定義づけはないが、一応、社命によって配偶者および扶養親族と共に生活の本拠としていた住所および住居を離れて、単身で別の地域に居住し、業務に従事することだと考えればまちがいないであろう。ここでおこる問題は二重生活である。そのための経済的な負担が加重される。日常的な生活費については、本拠である住居においては、共同して生活する家族数人のうち一人を欠くことになるのだから、その分だけ経費が減少し、減少分は赴任した場所で消費されるから、合計すれば同額となり、単身赴任者をかかえた家族共同体としては経費についての増減はまったくないとわりきるわけにはいかない。

単身赴任した住居においては、一人分の生活用具を新たに整え、日常的にも水道光熱等最低必要経費は共同生活であれば100であったのが、たとえば合計して120となるかも知れない。ここにおいて数年来、単身赴任者については二重生活による生活費支出増があるので、相当額の減税をすべきであるとの議論があったが、基本的な問題点に立入らず、昭和60年2月、国税通達をもって単身赴任者の職務遂行に伴う帰宅旅費(宿泊費を含む)を非課税とすることになった。帰宅旅費、それも職務遂行に伴うとの注釈づきの些末な減税であって、本格的な単身赴任者減税が行われたわけではない。

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時短融資/時短減税

本誌1993年版収録。以下、

時短融資とは、中小企業金融公庫、国民金融公庫、環境衛生金融公庫などが時短計画をもつ企業に90年度から実施している低利の融資制度。政府はこの時短促進のための政府系金融機関からの融資制度についてさらに金利引下げや使途拡大などを見直し、1992(平成4)年3月の緊急経済対策のなかに組み入れた。

時短減税とは、時短に役立つ機械、設備を導入した企業に対しその購入金額に応じ法人税を減免する制度で、目下政府が検討中のもの。

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恒久減税/制度減税/特別減税

本誌1999年版収録。〔日本経済用語〕解説より、以下、

恒久減税は、「いわゆる」を枕詞としてつけるべき言葉。正しくは、制度減税。恒久減税という表現は、恒久的に続く減税という意味になるが、もちろんそんな減税はありえない。いちど減税を決めても、また変えることができるからである。制度減税、すなわち制度(例えば、税率、控除額など)の改正によって措置される減税は、制度を変えない限り続く減税なので、いわゆる恒久減税とよばれる。これに対し、期限を限って実施するのが特別減税で、1995(平成7)年、96年と実施したが97年は打ち切った。この打ち切りが、景気悪化の一因との批判が高まり、98年にも2兆円の特別減税が決まっている。97年、98年と、恒久減税を渋る橋本首相に対し、アメリカが恒久減税の圧力を加えるシーンが目立った。

1999年版、〔日本政治用語〕解説より、以下、

実際には租税構造の見直しを意味している。すべての所得階層が減税になるという意味ではない。現在の日本の所得税は、10%から50%まで10%刻みで累進的に上昇する仕組になっている(ただし、課税の対象になるのは控除額を除いた課税所得)。この構造を見直そうというのである。したがって、<1>所得税の対象とならない課税最低限をいくらに設定するか、<2>課税所得層をどのように分けるか、<3>それぞれの課税所得階層に適用される税率をどうするかによって、実質減税になる人々と増税になる人々とに分かれてくる。たとえば、1986年にアメリカのレーガン政権は課税所得層の区分けを2段階にし、税率を15%と28%に簡素化した。この結果、たしかに累進構造は大幅に緩和されたものの、実際には5割以上の人々が増税となった。現在の日本の所得税構造は、中堅・高額所得者層に負担が重いものになっている。96(平成8)年の国税庁の資料によれば、年間の給与収入が700万円以上の納税者の割合は全体の2割であるのに対して、その税負担額は全体の6割に及んでいる。消費拡大を図るためにも中堅所得者層の減税は避けて通れないが、アメリカのような極端な税制改革が行われると、所得格差が急激に拡大し、様々な社会問題も生じてくる。宮澤蔵相は7兆円規模の恒久減税を打ち出したが、まだ具体的な方策は明確になっていない。将来の社会像を見据えた税制改革の議論が望まれる。

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子育て減税

本誌1999年版収録。以下、

政府の総合経済対策の柱のひとつ。現行の特定扶養親族控除の適用範囲を新たに乳幼児に拡大し、控除額の加算措置を行うもので、減税見込み額は国税(所得税)、地方税(住民税)合わせて約1200億円規模。年収700万円程度のサラリーマンで、乳幼児(0-6歳)1人当たり所得税、住民税合わせて年間23000円程度の減税。

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定率減税

本誌1999年版収録。以下、

どの所得階層にも、世帯人数に応じて定額を税額から差し引く減税方式が定額減税。それが1999年から一定割合を差し引く定率方式に切り替わる。一方、小渕首相の公約である「最高税率の引き下げ」を果たすため、所得税と個人住民税を合わせて65%にのぼる最高税率を50%に引き下げる。このやり方だと、中堅所得層から上の階層では最高税率の引き下げ効果で減税額が大きくなる。所得の少ない階層でも少額ながら減税され、「全階層で減税」という目標を達成できるというわけだ。やり方を変えた特別減税に最高税率の引き下げをくっつけた「つぎはぎ減税」というむきもある。

本誌2003年版収録。以下、

fixed percentage tax cut 現行の定率減税は、所得税と住民税について、本来の税額に対し一定比率で減税する制度。景気浮上をねらいに、1999年(平成11年)から実施。所得税については、課税所得に20%を掛けて減税額を算出。住宅ローン控除など税額控除がある場合は、控除後の所得税の20%を減税。ただし25万円が上限。住民税については、所得割りにかかる税額の15%を減税。ただし4万円が上限。政府税調(→別項)は、廃止を示唆。

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住宅ローン減税

本誌2001年版収録。以下、

景気回復の切り札として、政府は低迷する住宅投資を回復させるため、思い切った住宅ローン減税を1999(平成11)年から実施している。従来の住宅取得促進税制では控除期間が6年だったのを15年に大幅延長、対象となるローン残高も3000万円から5000万円に引き上げたほか、減税総額の最高も従来の170万円から587万円に拡大された。また、これまで建物部分だけだった適用対象は敷地にも広げられ、建物の床面積の上限(240平方メートル)も撤廃された。

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花代減税

本誌1959年版収録。以下、

従来は芸者をあげて遠ぶとその花代に対して3割というかなり高い遊興飲食税がかけられていた。ところが第26通常国会で地方税法が改正されこれが半分の1割5分に引下げられた。しかもいままで財政の苦しい府県では、そのまま実施しなくともよいという例外規定があったが、これも削除されたので、各府県とも確実に軒並み1割5分となり、地方財政の収入はそれだけ減る。これは結局、こうした遊興を奨励する結果となるが、政府の処置としては、一般に理解されないものがあり、その裏に料亭方面からの猛運動もあったとうわさされた。

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富裕税

本誌1974年版収録。以下、

富裕税は、富裕な者の純資産に毎年課税を行うことにより、冨の偏在を是正し、投機的保有を抑制しようとする税制であり、西ドイツ、北欧諸国等で採用されている。

日本においては、昭和25〈1950〉年のシャウプ勧告にもとづいて創設され、500万円超の純資産に対し毎年0.5%から3%までの累進税をかけ、一方では所得税を減税していた。

しかし、財産の所存をつかまえにくいことや、収益をうまない資産にも課税することなどの税務執行上の困難が指摘され、わずか3年間で廃止された。最近、土地や株式、書面等に対する投機が異常に高まり、不労所得に対する国民の批判が高まってきたため再び富裕税が問題となっている。

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減税月掛投資

本誌1959年版収録。以下、

証券を月賦払いで買い、同時に減税の特典を受けるのが目的の投資である。月掛を6カ月以上つづけ、積立てていく間の2分の1を含めて、2年間すえおくと、サラリーマンは年末調整のとき、確定申告をするサランーマンはそのとき、商売をしている者は確定申告のとき、投資した金額の3%(ただし最高限度は6000円)の減税を認められる。

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減税國債

本誌1955年版収録。以下、

國債保有者に課税上の優遇を與えることによつて、その消化を圖ろうとする國債のこと。昭和27年8月池田藏相によつて初めて發表された構想であつて、例えば、法人については買入額の21%を法人税額から控除し、また個人については買入額の25%を所得税額から控除することを認めるなどによつて、その消化を圖り、それによつて、特定産業擴充のための財政投資資金を調達しようとするものである。貯蓄國債は民間の資本蓄積を壓迫するから、むしろ税法上の優遇措置によつて民間の資本蓄積を圖るべきである、などとする批判が行われている。

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特別減税国債(1954)

本誌1954年版収録。以下、

減税による資本蓄積と財政投資による資本蓄積との矛盾を調整するために池田貯蓄国債案の発展したもので、昭和28年度より新設の産業投資特別会計の財源として発行せられる国債である。その狙いは、減税と結びつけることにより貯蓄を奨励し、民間資金を吸収して財政投資に活用するにあるが、昭和28年度の特別減税国債についてその具体的内容を説明すると、つぎのごとくである。すなわち、発行総額200億円、表面金利年4分、償還期限最長5年、3カ年据置き2カ年3回抽籤による均等償還となっているが、この国債を購入した者に対しては、<1>個人の場合には、購入額の100分の25に相当する所得税を軽減し(但し軽減額は所得税額の2割を限度とする)、<2>法人の場合には、購入額の100分の21に相当する法人税を軽減する(但し軽減額は法人税の年換算額の2割を限度とする)ことになっている。したがって、この減税額を織込んだ実際の利回りは、償還期限を平均4カ年とすれば、法人年1割5厘、個人年1割2分となる。

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特別減税国債(1959年)

本誌1959年版収録。以下、

減税による資本蓄積と財政投資による資本蓄積との矛盾を調整するために池田貯蓄国債案の発展したもので、昭和28年度より新設の産業投資特別会計の財源として発行せられた国債である。その狙いは、減税と結びつけることにより貯蓄を奨励し、民間資金を吸収して財政投資に活用するにあったが、消化成績はあまりよくなく、昭和28年度限りで廃止された。

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企業減税(1964年)

本誌1964年版収録。以下、

減税は一般の所得税を中心とする一般減税と、企業関係を主とする政策減税に分けることができる。企業減税は企業課税を軽減するもので、自由化に伴って輸出振興と国際競争力の確保のために強く要望され、その内容は法人税の軽減、輸出特別償却の拡充など減価償却の優遇、海外投資に対する圧縮記帳(課税時の所得を時価よりは低く見積もること)、貸し倒れ準備金および価格変動準備金の拡充などである。

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企業減税(1974年)

本誌1974年版収録。1964年版にたいして微妙に表現がかわっている。以下、

減税は一般の所得税を中心とする一般減税と、企業関係を主とする減税に分けることができる。企業減税は企業課税を軽減するもので、自由化に伴って企業体質の強化と国際競争力の確保のために強く要望され、その内容は法人税の軽減、減価償却の優遇、海外投資に対する圧縮記帳(課税時の所得を時価よりは低く見積もること)、貸倒れ引当金および価格変動準備金の拡充などである。

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企業減税公債

本誌1966年版収録。以下、

現在の企業の当面している諸問題、すなわち資本費の増大による利潤率の低下や資本構成の悪化などの事態に対処するためには、自己資本の充実が急務であり、そのためには、大幅な企業減税の必要がある。しかし、他方では、財政支出は今後とも増大してゆくことが予想されるので、減税によって不足する財源を公債発行によって調達すべきであるという主張である。

最近財界においてこのような主張をおこなう人が多いが、その具体的な発行方法や公債償還方法については、それぞれ若干の相違がみられる。しかし、これは一種の税制改正論であって、減税が資本構成是正にはたす有効性、企業税と他の税負担との比較および公債償還時点での企業税負担を他の税負担に転嫁するなどの点についてなお慎重な考慮をする必要があろう。

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投資減税・投資平準化税制

本誌1978年版収録。以下、

投資減税というのは、企業が設備投資をすればその投資額に応じて法人税を減額するというもの。設備投資意欲がもり上がらず不況が長期化するなかで、通産省がその導入を主張している。

これはもっと広くみると、投資平準化税制の一環である。投資平準化税制とは、不況時には設備投資を促し、好況時には抑制して、設備投資と景気の波をなだらかにしようとするものである。昭和51年には同じねらいで通産省は投資平準化準備金制度の導入をはかったが、こんどは税制でそれをやろうというもの。産業構造審議会、日銀は賛成しているものの大蔵省は強く反対しており、成否のメドはたっていない。

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メカトロニクス化促進減税(中小企業新抜術体化投資促進税制)

本誌1987年版収録。以下、

昭和59〈1984〉年度税制改正に盛込まれた投資促進税制の1つ。青色申告を行う中小企業が単価140万円以上の産業用口ボットやコンピュータ等を購入する場合に、投資額の7%の税額控除もしくは初年度30%の特別償却を認めるもの。この制度はまた、リース資産(単価190万円以上)についてもリース料の60%相当額について、7%の税額控除を認めており、この点が本制度の大きな特徴である。61年度の税制改正において、さらに拡充され、その対象となるのは、電子計算機制御を取入れたメカトロニクス機器のうち、食品機械、工作機械、流通・サービス設備と、コンピュータおよび周辺端末装置の計117種の設備。この措置により、中小企業の最新技術投資が促進されるとともに、中小企業の生産性向上が進むものと期待されている。

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減税規模−5兆6000億円

本誌1989年版収録。以下、

政府税調の直接税に関する税制改革案の柱が発表された。その主な内容は以下のとおりであるが、消費税導入の是非をめぐって与野党の攻防が必至となる(昭利63〈1988〉年9月20日現在未通過)。

所得税
  • 税率    10〜50%の五段階
  • 人的控除  35万円。「伸び盛り控除」として、16〜22歳の子の扶養控除は10万円上乗せ。「配偶者特別控除」は35万円。
  • 課税最低限 319万8000円(夫婦子2人の給与所得者、子2人の内1人は割増扶養控除適用)
住民説
  • 税率    5〜15%の三段階
  • 人的控除  30万円。「伸び盛り控除」は5万円上乗せ。「配偶者特別控除」は30万円。
法人税
  • 基本税率  64年度40%、65年度37.5%
  • 中小法人軽減税率  64年度29%、65年度28%
  • 受取配当の益金不算入割合  64年度90%、65年度80%に圧縮
相続税 (適用期日 63年1月1日から)
  • 課税最低限 定額控除4000万円。法定相続人1人800万円。
  • 税率    最高70%
  • 配偶者負担軽減 非課税限度を法定相続分。最低保障8000万円。
  • 小規模宅地等の減額割合の拡大(200平方メートルまで) 居住用50%、事業用60%
キャピタルゲイン課税
  • 申告分離  売却益の20%
  • 源泉分離  売却益の1%
  • 有価証券取引税の引き下げ 株式0.3%。転換社債、ワラント債0.16%
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自動車新税

本誌1972年版収録。以下、

急増する交通量に対応して、道路建設その他の社会資本充実に対する要請が強まり、その財源確保が急務となってきたこと、および自動車の走行が、道路の改良維持をはじめ交通安全、交通事故などに関連して社会に多くの費用をもたらしていることなどを考慮し、広く自動車の使用者に対して負担を求める必要があると考えられ検討されたのが、各種の自動車新税構想である。こうした構想に対しては、自動車関係の税は物品税、石油ガス税、揮発油税、自動車取得税、自動車税、軽油引取税、地方道路税など多種目にわたっており、すでに過重であるうえ、さらに新税を設けることは負担関係を不明確化するという反対意見も出た。しかし税制調査会などを中心として、自動車の使用がもたらしている社会的コストに着目した税として新税を創設することが適当であるという結論に達し、具体的には昭和46年度税制改正で一般的な自動車重量税が創設された。

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消費新税(大型間接税)

本誌1982年版収録。以下、

消費新税(大型間接税)は、昭和55〈1980〉年2月に出された政府税制調査会の中期答申に、「課税ベースの広い消費に着目した間接税」として示されたものである。消費税とは、物品の消費・サービスの享受等の事実をとらえ、その背後の担税力に着目して課税するもので、方式としては、単段階課税と多段階課税の2種類に分類できる。前者は1つの取引段階に絞って課税する方式、後者は製造業者から小売業者まですべての取引段階で課税する方式である。単段階課税には3つの類型があり、製造者が製造するすべての物品について出荷時に課税するいわゆる「庫出し税」、その他に卸売売上税・小売売上税がある。また、多段階課税には取引高税とEC型付加価値税の2つがある。なお、消費新税(大型間接税)導入の手段としては、税収の使途を社会福祉に限定した「福祉税」の形で行った方がよいとする意見も出ている。

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石油新税

本誌1979年版収録。以下、

昭和53〈1978〉年6月1日から実施された石油1キロリットル当たり価格の3.5%の税。輸入石油については、輸入CF価格、国産原油は、油田での積立し価格に対して課される。ただし、これと引替えに、原・重油関税が0.5%だけ引下げられるので実質3%の増徴となる。輸入石油の場合は、1バーレル13ドル81セントとして、石油製品1キロリットルにつき約700円の負担増となる。この負担を、石油製品価格引上げによって転嫁するのが難しいとして、石油業界からの抵抗が強かったが、政府は、これにより初年度(昭和53年度)1620億円、平年度2170億円を見込まれる税収の大半をエネルギー対策費として、業界に還元するという方針をとったため、妥協が成立した。この財源により、政府備蓄30日分上乗せをはじめ、重質油分解装置の経済性評価調査等、一連のエネルギー対策が可能となった。なお、石油化学用ナフサ、漁業用A重油は、この新税からは免除されている。

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福祉新税

本誌1985年版収録。以下、

高齢化社会への対応として社会保険制度のあり方が問われているが、わけてもその財源をいかに確保するかが課題である。増大する年金財政を別枠として扱い、保険料引上げによる収入増のみならず国民負担となる大型間接税としての「福祉新税」導入による財源確保をはかることとし、時代の要求に合う国家財政への転換の具体化として、自民党若手代議士の自由主義経済推進機構による60年度予算へ向けての提言である。

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地方新税

1998(平成10)年に閣議決定された地方分権推進計画において地方税の拡充方針が示され、それを受け、2000年度から地方分権一括法が施行された。同法では、地方公共団体の法定外普通税導入に際する国の関与が総務大臣の許可制から協議制へと緩和された。さらに、特定歳出に充てられる法定外目的税も新設された。いわゆる地方新税とは、同法施行後、各地方公共団体で新規導入が検討されたこれら法定外の税目のことであり、山梨県河口湖町ほかの遊漁税や神奈川県の臨時特例企業税などがある。しかし、制度上は地方の独自課税を行いやすくなったとはいえ、<1>新しい税源をみつけるのが困難、<2>依然として国は新税の導入決定に影響力を維持している、などの問題があり、地方財源の充実ははかどっていないのが現状。

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増税なき財政再建

本誌1986年収録。以下、

土光臨調の内閣に対する最大の注文であり、政府の取るべき政治の基本であったが、時を経ることすでに3年。何等みるべき成果もあがっていない。「増税なき財政再建なんてできっこない」と公言する自民党首脳まで出現した。中曽根内閣としては、増税なき財政再建のために3年続きでマイナス・シーリング(概算要求基準)を実施してきたが、現段階では全く財政再建のメドは立っていない。税をめぐる政治動向は土光臨調の意向とは反対に、むしろ大型間接税の導入による増税に向かっている。増税なき財政再建は今や夢物語となってしまった感がある。

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銀行税(石原新税)

本誌2001年版収録。以下、

地方税法72条19「事業税課税標準の特例措置」を活用した東京都独自の銀行対象の外形標準課税を俗に石原新税という。

2000(平成12)年3月30日、都議会本会議で可決成立。大阪府議会も大手銀行に適用する類似の条例案を同年5月30日府議会本会議で可決成立。類似条例のため都条例の要点を紹介する。<1>資金量5兆円以上の各事業年度末の業務粗利益を課税標、<2>税率3%、特別法人2%、<3>2000年4月以降、5年以内の事業年度に適用する時限法。

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