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「日本新語・流行語大賞」からみる今年のキーワード
 

タマちゃん

北極圏に生息するアゴヒゲアザラシが、北海道近海に流氷とともにやってくることはしばしばあるが、本州、しかも東京あたりにやって来ることはきわめて珍しい。そんなわけで、8月7日に東京都と神奈川県を分ける多摩川丸子橋付近で“突然”発見された「タマちゃん」には、大勢の見物客が詰めかけ、夏いちばんの話題となった。川が汚い、温度が高いなど人間の勝手な心配をあざ笑うかのようにいったん消えたのち南下して横浜・鶴見川、帷子川、大岡川に再出没。国土交通省は世論を気にして保護会議を開くが、扇千景大臣の「自然のものは自然に」発言で手出しせず。

一方、9月19日には、宮城県歌津町の伊里前川にワモンアザラシの子ども「ウタちゃん」が現れた。

受賞者:多摩川で泳ぐアザラシを発見してビデオ映像をテレビ局に持ち込んだ。川崎市民。

佐々木裕司 さん

受賞者:ビデオ映像を持ち込まれたフジテレビの社員で「タマちゃん」の命名者。

黒住祐子 さん

関連語

ウタちゃん

2002年9月19日、宮城県歌津町の伊里前(いさとまえ)川にワモンアザラシの子ども「ウタちゃん」が現れた。

ワモンアザラシは、北極圏に生息する小型のアザラシ。身体にリング状の斑をもつことから「輪紋」名がある。ベーリング海やオホーツク海にも分布し、それが「餌を探す」などして宮城にたどりついたもの。歌津での“滞在”は3日間で、21日朝、海へ泳いで行ったきり姿を消した。

それでもタマちゃんの場合と同様、経済効果を求める商魂たくましい人はいるもので、付近の「えんどう寿司」は「ウタちゃんちらし寿司」を21日から発売。その後も販売している。また、町も「ウタちゃんプロジェクトチーム」を発足。これに商工会や観光協会も協力し、「歌津のウタちゃん」の商標登録、アザラシに関するシンポジウム開催を計画するほか、伊里前川にかかる橋の名称を汐見橋から「ウタちゃん橋」に改名するなどをすすめている。

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アゴヒゲアザラシ

アザラシ類のうち北太平洋に生息するのはアゴヒゲアザラシ、ゴマフアザラシ、ワモンアザラシ、クラカケアザラシ、ゼニガタアザラシの5種。これらは、オホーツク海周辺で子を育て、北海道から東北地方に回遊するので、日本に“やってくる”可能性がある。小型のアザラシ類は全般に、プランクトン、魚類、イカ・タコ類を食物とするが、アゴヒゲアザラシは長いひげをつかって海底の二枚貝を探し出しては食べる。

新生子は北太平洋のアザラシ同様、白毛(ゴマフアザラシの赤ちゃんであるゴマちゃんも白い)。

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ゴマちゃん

森下裕美原作の4コマまんが「少年アシベ」(「週刊ヤングジャンプ」誌で1989〜94年連載)に登場するゴマフアザラシの赤ちゃん。ほのぼのした雰囲気で、1991年あたりに、幼い女の子からOLまで大流行のキャラクター。

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すしあざらし

えだいずみ作の一連のキャラクター。白いあざらしが、すしの「しゃり」に見立てられ、エビやイクラ、トロなどがそれぞれに乗せられて家族を構成している(エビ兄ちゃん、いくらママ、トロパパなど)。

ほのぼのした雰囲気で、女性客を中心に人気。

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たまちゃんアイス

たまちゃん見物客を見込んだ、アイス売りのおじさんの売っていた「たまちゃんアイス」は200円。ミルク味・メロン味・ソーダ味などごくふつうのアイスで、“通常価格”は150円。

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えりまきとかげ

本誌1985年版収録。以下、

エリマキトカゲが爆発的な人気をよんだ。興奮するとエリマキ状のフリルを広げ、ガニ股の二本足(後足は尾)でスタコラサッサと疾駆する。その爬虫類ばなれをしたユーモラスな姿がコアラをしのぐ人気の的となった。TBSの「わくわく動物らんど」に登場し人気の下地があったが、志村けん(『8時だよ、全員集合』)のマネで火がつき三菱息工のミラージュのCMに使用されてから爆発的な人気を呼んだ。キャラクター商品が続出し、ついに著作権制定問題まで生み出している。

産地はオーストラリアの中部以北にだけ分布している保護動物。ナガマ科に属するトカゲの一種で体長は70cm前後、尾が2分の1を占める。エリマキは皮膚のひだで、興奮して口を開くと、舌のなかにある軟骨によって開いたまま保たれる。ふだんは樹木の上にじっとしており、日光浴のため時々地上に降り、水中に入れると死んだふりをし、しばらくすると泳ぎ出す。外敵にあったりするとエリマキをひろげる−−その瞬間をとらえたカメラワークがブームをひきおこした。

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アホロートル

本誌1987年版収録。以下、

axolotl。アホロートルは最近、テレビのCFなどで、その愛嬌のある様子から親しまれているが両棲類のサンショウウウオ科に属し、メキシコ原産で、原産地名をアホロートルといい、学名は、Amblystoma(Ambystoma)mexicana という。アホロートルは、メキシコ語の「水中のたわむれ」という意味で、ウーパールーパー(wooper-looper)と愛称されている。メキシコでは、普通のサンショウウオのように変態して親の形とならず、幼生のままの形で外鰓(えら)がはえた状態で成熟し、いわゆる幼生成熟する。大きさは体長22cm。産卵もする。アメリカに移した実験では普通のサンショヴウオになった。アホロートルに甲状腺ホルモンを投与すると、変態を起こすことから、原産地では低温と食物の欠乏から甲状腺ホルモンの分泌が欠乏し、変態しないようである。

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水質汚染度ランキング

多摩川に現れたたまちゃんが次に移ったのが鶴見川。鶴見川は水質の悪さが全国的レベルだということで知られるが、その「ランキング」の根拠は、国土交通省河川局の「全国一級河川調査」。BOD平均値から水質のランキングがつけられている。調査は、1958(昭和33)年から実施され、72年から全国の一級河川の調査結果が公表されている。現在は、全国の一級河川109水系が対象。

ちなみに現在発表されている平成13年度の結果では、ベストは、上位から尻別川(北海道)、宮川(三重)、雨竜川(北海道)、空知川(北海道)の順。ワーストは下位から綾瀬川(埼玉・東京)、大和川(奈良・大阪)、鶴見川(神奈川)、中川(埼玉・東京)、猪名川(大阪・兵庫)の順。鶴見川は94年以降、常にワースト3内にランクされている。とはいえワースト5に入るこれらの河川の水質は、いずれもここ10年では改善傾向。

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BOD

biochemical oxygen demand 。生物化学的酸素要求量。河川の水質の汚染度合いを表す指標で、好気性バクテリアが水中の有機物を酸化分解するのに要する酸素量を表したもの。

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