月刊基礎知識
月刊基礎知識トップページへ バックナンバーへ
〈ブーム〉の反対語=〈××離れ〉〈脱××〉〈失われた××〉の用語集
―― 衰退は復活のはじまり
 

ライフスタイルの“××離れ”

銭湯離れ

10月10日は銭湯の日。ライフスタイルの変化から、激減した銭湯であるが、昨今、地域コミュニティの場として見直され、また各組合とも精力的に企業努力を行っている。

ページの先頭へ 戻る

仏教離れ

現在の日本では、多くの家庭にとって仏教との関わりは、葬儀・法事・お彼岸・お盆程度なので、仏教離れ(もっぱら仏教関係者から述べられる)の内容は、「戒名料や葬儀のお布施が高いとか、安いとか」また「だから仏式はやめよう」といったことである。また仏教界の対応もその点にスポットがあてられがちで、全国約7万5000の寺院、約60宗派のお寺が加盟する財団法人「全日本仏教会」が「今後『戒名料』という表現は用いない」との報告書をまとめたり、各寺院でそれぞれの金額をディスカウントしたりということが報じられる。いっぽうでは、住職が電子メイルで檀家の相談に応じたりといった“心の問題”にも対応しているが。

いずれにせよ、仏教離れを引き戻した状態がどの状態なのかがイメージしにくい。檀家制度は、江戸時代の農民戸籍管理という封建秩序維持機構としての意味合いが強いものであったから、ここに戻ってもしようがない。だいいち維新の廃仏毀釈の際に“1回目の”仏教離れが起こっている。一部には「過激な新興宗教に若者を流失させてしまった」責任感から寺院と檀家との関係を見直そうというむきもある。

ページの先頭へ 戻る

帽子離れ

生活様式の変化によって劇的に“離れ”が進んだ例が帽子である。かつて紳士服の一部であった帽子という服飾習慣がなくなっていったのは、故・ケネディ第35代米大統領(1961-63在任)によるという。それまで歴代大統領が“身だしなみ”として被っていた帽子を彼は被らなかった。それがカッコよかったことが、今日の事態につながっている。

ページの先頭へ 戻る

きもの離れ

きもの離れは、メーカーばかりでなく問屋の相次ぐ倒産など厳しい状況にある。この業界では、きものが売れない→売れ数が減った分を高額化で補う、というやりくりで経済全体の伸びに成長率をあわせてきたが、バブル崩壊後はそういう緊急避難的な手法ではたちゆかない。売れないときには、商品価値を高めるか価格を引き下げるかのどちらかである。

ページの先頭へ 戻る

スキー離れ

1990-91年のバブル崩壊後、慢性的な不況のなかスキー離れが進行しつづけている(8-9年連続で売上減)。娯楽の安近短化、多様化によって20-30代の客層が減っていること、スキー場は他施設への転用がきかないこと(一時、スキーと入れ替わりで人気のあったスノーボードも伸び止まり)など、典型的なバブル期の遺物的“離れられ”方。現在、各スキー関係者とも、カービングスキーでの新たな魅力提供やスキー場の総合的なサービスアップなどの革新にはげんでいる。

ページの先頭へ 戻る

献血離れ

若者の献血離れは深刻な事態で、過去15年間で半減している。

ページの先頭へ 戻る

庭離れ世代

1977年版本誌収録。以下、

庭付き一戸建てには手が出ないから、若いうちにマンションに入って、いずれ機会をみてというのか、住宅金融公庫を利用したマンション購入者の全体のうち約半数を20代後半から30代前半の若年層が占めた。30歳前後は庭離れ世代となるが、このうち返済に月収の3割以上をあてなければならぬ人がまた3割を超える。庭離れ世代はローンや返済の重き荷を負って遠き道をゆく苦行族でもある。

ページの先頭へ 戻る

テレ寝離れ

余暇開発センターの「レジャー白書'79」による新しい余暇の特徴は、<1>近隣性=身近なテニス、マラソン、野球、手工芸、音楽、絵画へ、<2>計画性=衝動的な国内旅行より何年も前から計画する外国旅行、<3>マニア化=大量レジャーから、自分にピタリのスポーツやホビーへ、<4>能動的時間消費へ=カネを使うよりも、充実した時間を使う。それもテレ寝を離れて能動的に行動するタイプが増えてきた。

ページの先頭へ 戻る

マージャン離れ

サンマ
1991年版本誌収録。以下、

3人マージャン。学生のマージャン離れが著しく、この10年間に都内のマージャン荘はほぼ半減した。最近は、みんな自分のことをやって、つき合いもさらっとしているので、4人そろえることがむずかしくなっている。マージャンは古くて、かっこう悪いという感じで、ガールフレンド、ゴルフになどに流れてしまう。

コミック離れ

若年層の活字読書時間を蚕食しているとして目の敵にされたコミックですら“離れられて”しまう。

ページの先頭へ 戻る

少女マンガ

1991年版本誌収録。以下、

中・高校生の少女を主要読者とする少女マンガは、雑誌の数が多いこともあって、各誌ごとに独自の方向性を打ち出しており、読者もそれによって区分される形になっている。恋愛を中心に少女の共感と恋へのあこがれを描いたラブコメ、ラブストーリーが主流である。お嬢様コメディ「白鳥麗子でございます」(鈴木由美子)「瞬きもせずに」(紡木たく)「麒麟館グラフィティ」(吉村明美)「ガールズ」(吉田まゆみ)といった作品が人気があり、槙村さとる、松苗明美、富永裕美らも支持された。自立する女性を描く「プライド」(万里村奈加)をはじめ、親娘の葛藤を描いたものも増えはじめている。宮脇明子、大和和紀、一条ゆかりらのシャレたコメディも注目された。一方では、少女の夢をSFやファンタジー、「少年」などをテーマにした作品の流れがあり、マンガ情報誌の人気ベスト10はこちら側の作品が占める。萩尾望都、竹宮恵子、大島弓子、山岸凉子といった24年組(昭和23〜25年に生まれた少女マンガ家の一群で、1970年代少女マンガ変革の中心となった)、つづく「バナナフィッシュ」の吉田秋生、完結した「CI‐PHER」の成田美奈子、日渡早紀、市東亮子、岡野玲子、那州雪絵、樹なつみ、わかつきめぐみといった作家たちが人気がある。雑誌としては『LaLa』『花とゆめ』『ぶーけ』『プリンセス』『別冊少女コミック』などがそうした傾向のもので、川原泉、佐々木倫子といったユニークなコメディの描き手も根強い人気がある。これに加わったのが同人誌のアニパロ系から登場した高河ゆん、CLAMP、尾崎南、みずき健といった作家たちであり、SF、少年といったものをテーマに新感覚の作品を発表している。もっとも、少女マンガの大半は、変らず”学園ラブコメ”とよばれる学校を舞台にした「ボーイミーツガール」のドラマであり、次々とデビューする新人によって続々と生み出されている。しかし女の子たちの少女マンガ離れが一部で進んでおり、それに代ってコバルト文庫を代表とするジュニア小説の台頭が著しい。氷室冴子、花井愛子、藤本ひとみといった人気小説家がいるが、たっぷりと入った挿絵は人気少女マンガ家たちによって手がけられ、描かれる世界も少女マンガと同じといってよい。マンガ家から小説家に転身する者もいる。

ページの先頭へ 戻る

少年マンガ

1993年版本誌収録。以下、

『少年サンデー』『少年マガジン』『少年ジャンプ』『少年チャンピオン』の週刊四誌および各月刊、増刊を中心とした中・高校生の少年を対象にしたマンガだが、そのまま読み続けている成人読者、少女読者も多く、マンガの主流と見なされることが多い。スポーツ物、学園物を中心に、SF、ファンタジー、ラブコメ、時代劇、ギャグなどその中身はバラエティに富み、少年主人公のキャラクターの魅力でドラマは展開していく。九二年初頭六三〇万部を発行し変わらぬ強さを見せた『ジャンプ』の「ドラゴンボール」(鳥山明)「SLAM・DUNK」(井上雄彦)「幽遊白書」(冨樫義博)などが幅広く支持された。スポーツ物ではかつて主流だった野球物が衰退しバスケット、テニス、サッカーと多様化しているが、ボクシング物「はじめの一歩」(森川ジョージ)ショートボクシング「グラップラー刃牙」(板垣恵介)柔道物「帯をギュッとね」(河合克敏)キックボクシング物「破壊王ノリタカ」(村田ひでお・刃森尊)といった格闘技マンガが強い。また「カメレオン」(加瀬あつし)「ろくでなしブルース」(森田まさのり)「特攻の拓」(佐木飛朗斗・所十三)「今日から俺は!!」(西森博之)「男組」(石山東吉)などの硬派・ツッパリ物の人気も高く、日常の中での戦いというパターンは読者を魅了しているようだ。他では妖怪アクション物「うしおととら」(藤田和日郎)コメディ「らんま1/2」(高橋留美子)ファンタジーアクション「ダイの大冒険」(堀井雄二・稲田浩二)などが人気を得、時代劇、忍者物、ノンフィクションなどの試みもなされた。さほど大きな変化はなく、安定した感じがするが、一方では子供達のマンガ離れも起こっていると報道されており、このジャンルもそろそろ大きく動き出しそうな気配である。

ページの先頭へ 戻る

結婚離れ症候群(unmarriage syndrome)

1999年版本誌収録。以下、

「非婚・少子化現象」。1997(平成9)年の6月に厚生省が18歳から34歳の独身者7600人を対象に調査した結果、25歳以上の場合4人に1人が「結婚に利点がない」と考えていることが分かった。また、結婚しない理由としては「適当な相手がいないから」と答えたものが最も多く、25歳以上の場合男女とも約半数に達した。「結婚する必要性を感じない」という独身貴族傾向も強く、やはり25歳以上の3人に1人がそう考えているという事実も明らかとなった。ただでさえ晩婚化・少子化現象が進んでいる折から、ますます高齢化社会を支える若者の数が減るものと見られ、日本の将来に暗い影を投げかけている。

ページの先頭へ 戻る

家族離れ

それがごく一般的な状況になったためか、今日ことばとしては残っていない。

外さま
1991年版本誌収録。以下、

味の素がまとめた「主婦の食生活意識」調査のなかで使ったことば。奥さまの対語で、主婦の家族離れを示す。

ページの先頭へ 戻る

ゲーム離れ

テレビゲーム機の進化と子供のテレビゲーム離れ現象
1998年版本誌収録。以下、

1996(平成8)年から97年にかけて、32ビットゲーム機の「サターン」(セガ)と「プレイステーション」(ソニー)、それに後発の64ビット機の「ニンテンドー64(N64)」(任天堂)の高性能テレビゲーム機3機種が三つ巴になって激しいシェア争いを繰り広げた結果、プレイステーションが抜け出して圧倒的な優位を示している。ハードの国内出荷台数は、97年6月末時点で、プレイステーション約800万台、サターン約500万台、そしてN64は3月末時点で204万台と推計されている。プレイステーションは9月時点で1000万台突破ともいわれている。このようなプレイステーション優位の要因は、任天堂のスーパーファミコンの超人気ソフト「ファイナルファンタジー(FF)シリーズ」を供給してきたスクウェアが、その最新作「FF7」と「FFタクティクス」をプレイステーション用に移籍したこと、「ダービースタリオン」(アスキー)、「パラッパラッパー」(ソニー)、「ぷよぷよ通」(コンパイル)、「バイオハザード」(カプコン)など多様なジャンルの人気ソフトが布陣されたことに求められよう。N64は、「マリオカート64」「スターフォックス64」「実況パワフルプロ野球4」などのソフトで、小・中学生の一定の支持を集めながらも、全体として64ビット機の機能を生かしたソフトが十分に揃えられず、もうひとつ市場の伸びにはずみがついていない。

このように、テレビゲーム機の高性能化に対応して、その中心的ユーザー層も子供かヤング・アダルト層に移行し、そのソフトも成人のゲームマニアを満足させるように、いっそう複雑高度な内容に進化するに至った。ソフトがあまりに複雑難解になると、子供たちはそのゲームを遊びこなせなくなる。こうして最近、子供たちのテレビゲーム離れ現象が顕著に表れ始めた。塾やスポーツクラブで忙しい近頃の子供は、ひまな大人のように一つのゲームにいつまでもかかずらわってはいられないのである。子供たちは、シンプルで素朴な携帯液晶ゲーム機「ゲームボーイ」で、自分たちの等身大の遊び感覚にぴったり合った「ポケモン」に熱中しているのである。

ページの先頭へ 戻る
All Right Reserved, Copyright(C) ENCYCLOPEDIA OF CONTEMPORARY WORDS