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〈ブーム〉の反対語=〈××離れ〉〈脱××〉〈失われた××〉の用語集
―― 衰退は復活のはじまり
 

食の“××離れ”

和食離れ

昭和30年代以降の食生活の多様化で、相対的に、中長期的に《和食離れ》が進行している。といってその多様化が世界中どこでもそうなのかというとそうでもなく、イタリア人などは3食イタリア料理を食べているし(日本でイタメシ・ブームだといっても3食イタリア食のひとは少なかろう)、中国でもしかり。やはり日本人は、一線を越えたレベルで和食から離れていっているようだ。実例でいえば、和食の中心をなすコメの消費量が、40年前の約半分にまで落ち込んでいる(米の収穫量)。食の嗜好は、2歳前後から小学校入学のころまでの食生活で刷り込まれるというのが定説だが、どうしたわけか子どもに限って、和食よりハンバーガーやピザを好むし、親も子どもを喜ばせようとすればなぜか味の濃くてカロリーも高い食事(和食の対極にあるもの)を出しがちだ。お子さまランチも例外なく洋食であります。これでは、若い女性で顕著といわれる和食離れも仕方がない。和食陣営は、子どもの喜びそうな和食を開発せねば…。

わが国も惨状とはうらはらに、欧米のみならず東南アジアなどでは、健康面への配慮から《和食ブーム》がおきているというのに。日本でも粗食ブーム、和ブームがしばしばやってくるが、前述のとおり、子どもに和食を刷り込む戦略を練らない限り、根本的な巻き返しは無理である。

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野菜離れ

野菜離れがデータにもとづいて指摘されている。

1985年に一人当たり約111キロだった野菜の年間消費量は、99年には約103キロに減少。とくに若者の野菜不足は嘆かわしい限りで、農水省などの示す目標摂取量1日350グラムに対して、20代は約260グラム、15-19歳は約250グラムにすぎない。これを〈洋食化〉に求める見解があるが、必ずしも正確ではない。〈洋食〉民族のなかでもとりわけ不健康そうなイメージのあった米国(ステーキ肉やハンバーガーが大好きだったり、カウチポテト族発祥の地だったり)に対してすら一人当たりの野菜消費量は劣っている。というより95年を境に差は開く一方だ。

それも「年中すきな野菜が買える」「安値傾向がずっと続いている」という、野菜を買いやすい条件が整っているにもかかわらず。年中…や安価…をもとめるあまり野菜が不味くなっているということはあろうが。

米国の話にもどれば、国をあげての「ファイブ・ア・デイ」という消費拡大運動が奏功した。野菜や果物を毎日5皿食べようという運動で、もちろん健康のためである。日本でも「ファイブ・ア・デイ協会」が発足している。

野菜離れは、若い層から悪化が進んでおり、男女を問わない。男性は不摂生・不養生によるもの、女性はダイエットのためにコメ、野菜の総消費量が減少している(←これはやりかたを間違っているわけだ)。

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牛肉離れ

BSE問題で牛肉離れが進んだものの、最近は落ち込みに歯止めが掛かってきている。ひとつには諦めか、もうひとつは「肉がすき」。

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たばこ離れ

日本における喫煙率(JT調べ)は1965年に調査を開始して以来、66年の49.4%をピークにして、微減傾向にあり、2000(平成12)年では32.9%(男性53.5%、女性13.7%)、男性は減少傾向、女性は横ばいである。たばこ離れが進行しているのは、健康推進など啓蒙活動、また喫煙スペースの縮小など物理的な事情によるもの。

また英国の医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」は2000年11月、低年齢層の禁煙率の低下を「たばこが携帯電話にとってかわられたため」と発表している。その主意は「昔は喫煙がかっこよかったが、いまでは古臭くみえる。いっぽう携帯電話からは新しい息吹が感じられる」ということ。要はカッコイイ・カッコワルイの問題だ。そちらのほうが的を得ているかもしれない。なにしろ1492年コロンブスが新大陸を「発見」した際に旧世界に伝えられた喫煙が、いまや全世界に習慣として拡がった随所随所の転機は、その効能や味より「スタイルとして」「かっこいいから」が主たる理由であったのだから。

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コメ離れ

農林水産省の調査によれば、2000年度に1人が食べたコメの平均量は64.6キログラム(=430合強≒1.07俵=0.43石 →米の収穫量)。1962年の118.3キログラムをピークにほぼ一貫して減り続けている。

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魚離れ

長らくいわれていた子どもの“魚離れ”をくい止めたのは、DHA/EPAと回転寿司と名曲「おさかな天国」である。

魚離れ
1985年版本誌収録。以下、

昭和52(1977)年、200カイリに伴う魚価暴騰から魚の消費が急減し、この言葉が一般化した。高度成長期における国民の生活様式の変化が、若年層を中心に鮮魚消費を減退させてきたという、長期的な動向がその背後にあった。この傾向に対し、58年の漁業白書は、消費者の間に最近、魚介類を見直す動きがあり、国民の魚離れに歯止めがかかり始めた、と述べて注目をひいた。水産物の栄養特性の見直しもその一つであり、とくに心筋梗塞、脳梗塞等の血栓性疾患を予防する高度不飽和脂肪酸・EPA(エイコサペンタエン酸)や血中コレステロールを下げる作用のあるタウリン(アミノ酸の一種)の含有が、健康食品の評価を高めている。

DHA/EPA
1992年版本誌収録。以下、

高度不飽和脂肪酸のひとつであるDHA(ドコサヘキサエン酸)は脳の発達において重要な役割を果たすことが知られ、また後者のEPA(エイコサペンタエン酸)も同様の脂肪酸で血液中の血小板凝集を抑制して血中のコレステロールや中性脂肪を低下させる作用があるといわれる。水産物、とりわけ多獲性魚は栄養価として、あるいは家庭や給食などでの食材メニューとしてあらためて見直される風潮が強まっている。ただし、水産業界や行政はなんとか一般消費者の「魚ばなれ」をくい止めたいとの思いがあり、魚肉のこのような特性がかねてからの魚食普及運動強化の一環として「魚を食べれば頭が良くなる」方式の誇大宣伝に使われているフシがないではない。

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清酒離れ

1985年版本誌収録。以下、

ここ数年伸びているウイスキー、ワイン、焼酎に比べ、清酒業界は消費者の清酒離れにあえいでいる。消費量は昭和50(1975)年どの167万5000キロリットルをピークに、わずかずつ減りつづけ、57年には1割減の約150万キロリットルに減った。この清酒離れの原因として、<1>「水割り」の流行で、すし屋、料理屋といった場所にも、ウイスキーが進出した、<2>食生活の変化や「軽薄短小」傾向で軽いワイン、ビールなどが好まれるようになったこと、などが考えられる。その中で2級酒だけは順調な伸びを示しており、今後大手メーカーの2級酒市場への進出、それに対する中小の酒造メーカーの対策など、2級酒をめぐる動きが注目されている。

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