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クールジャパンの最近事情を示す用語集
執筆者 伊藤幸太

クールジャパンの最近事情を示す用語集

和食

2013年12月5日、「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録された。日本文化の一端を担う「和食」に対する関心が、さらに高まることが期待されている。風土に根ざした四季折々の食材、その生産、加工、調理における「おもてなし」、年中行事に関わる食のあり方など、一連の技術や知識、慣らわしなどが評価された。

以前、会席料理など豪華な日本料理を登録しようと試みたものの、一部の限られた層だけのものと理解されかねないなどといった指摘を受け、日本の食全体に係る文化や伝統を含めようと検討が重ねられてきた。「食育」を進める中で、多くの子どもたちが日本の伝統的な料理を知らないといったことも、登録を目指した背景の一つとされる。

特定の料理ではなく、文化や慣習といったものを包含し、無形文化遺産となった和食。今回は他にも韓国の「キムチ作りの文化」や、「古代グルジアの伝統的な発酵ワイン作り」「トルココーヒーの文化と伝統」などが登録されている。

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きゃりーぱみゅぱみゅ  Kyarypamyupamyu

正式名称はきゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ。個性的なファッションと最先端の音楽で、たちまち日本を代表するアーティストとなった。オリジナリティあふれる奔放なスタイル、エレクトロ・ミュージックと奇抜な歌詞を合わせた独自の音楽性は、日本のみならず海外でも圧倒的な人気を誇る。クールジャパンにおける「カワイイ文化」を代表するアイコン。高校生の頃からモデル活動を開始し、ファッション誌を中心に活躍。アルバム発売前にiTunesの音楽配信から世界的な人気を博しはじめた。楽曲に『にんじゃりばんばん』『もったいないとらんど』など。

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インド版『巨人の星』

かつて一世を風靡した『巨人の星』がインドでカムバックした。その名も『スーラジ ザ・ライジングスター』。日本のコンテンツを世界に広めるクールジャパン戦略の一環で、インド・ムンバイを舞台にしたスポーツアニメとしてリメイクされたのだ。

とはいえその中身は大きく異なる。まず野球ではなくクリケット。インドのムンバイでは、あちらこちらでクリケットが行われている。さながらそれは草野球のようでもある。つまり、国民的スポーツとして人気のある「コンテンツ」が選ばれているのである。

主人公の名はスーラジ。星飛雄馬ではない。貧しい少年が厳しい父のもと成長していくストーリーは変わらないが、このように原作を大胆にアレンジし、現地の慣習や好みに合わせる「ローカライズ」という手法によって、日本のコンテンツを輸出して出来たのが、インド版『巨人の星』すなわち『スーラジ ザ・ライジングスター』なのである。

ちなみに星一徹はシャーム、花形満はヴィクラムというキャラに対応。劇中では全日空の飛行機、自動車メーカー・スズキの車なども登場し、露骨なまでの資本主義的商売根性も顔をのぞかせる。

しかしそうした内容を差し置いて、インド版「養成ギプス」、シャームによるインド版「ちゃぶ台返し」など、瞬殺ネタに思わぬときめきを覚えるのはなぜだろうか。

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ローカライズ  localize

ローカライズ、あるいはローカライゼーションという言葉は、モノやサービスを輸出する際に、元となる製品などに手を加え現地の慣習や文化に合わせるという意味がある。ニーズにあうよう修正や改定を行うことは、グローバリゼーションが進む中にあってより一般化した。インターネットやパソコン、ソフトウェアなどの情報技術では輸出先や使用者の言語環境に対応させる必要がある。これがローカライゼーションという言葉が使用される典型的な例である。

さらに、世界中のファストファッション産業が自国以外でビジネスを展開する際、その国に住む人々の体型や宗教的慣習などを考慮することもまたローカライゼーションである。昨今はアニメにおいてローカライズした作品の輸出、輸入が行われつつあるが、その文化的ギャップ自体に注目が集まっている向きもある。

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ジャパン・エキスポ  Japan Expo

フランス・パリ郊外で2000年から開かれている日本文化の博覧会。マンガ、アニメ、音楽、ゲームといったポップカルチャーを中心に、現在進行形の日本文化を紹介するイベントは海外の若者の強い支持を集めている。入場者数は年々増え続け、13年は4日間で23万人もの人が会場に詰め掛けた。ライブステージやコスプレイベントも行われるほか、展示ブースにはフランスの漫画出版社、日本からも関連企業が出展するなどしている。今年で15周年を迎え、7月2日〜6日の5日間での開催が決定。

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クールジャパンファンド

アニメや伝統工芸品、食など日本の生活文化産業を海外へ展開し、モノやサービスを戦略的に輸出していくために官民で設立されたファンド。2013年11月に発足。正式には株式会社海外需要開拓支援機構で、略称はクールジャパン機構。代表取締役社長は太田伸之。

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観光立国

2013年、訪日した外国人の数が年間1000万人を突破。円安や格安航空路線の充実、官民あげてのPR活動が功を奏し、観光やビジネスを目的とした来日者数が増加している。特に東南アジアではビザの緩和も手伝い、台湾や香港、タイ、シンガポールなどの国からは過去最高の訪日者数を記録した。一方、韓国、中国では原発汚染水漏れ、尖閣諸島国有化などの問題が影響しその数は減少。安倍首相は東京オリンピックを念頭に、20年には年間2000万人の来日者数を目指すとしているが、隣国との関係修復を行えばその数は容易に実現可能かもしれない。

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パリ・ラーメンウィーク・ズズット

博多の有名ラーメン店「博多一風堂」など日本の人気ラーメン店がパリに上陸。クールジャパン戦略の一環として今年1月20日〜25日に開かれ、パリっ子の舌を魅了した。PARIS RAMEN WEEK ZUZUTTO。期間中は子どもにラーメン・餃子作りなどを体験してもらう「チャイルドキッチン」なども開催された。

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