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「平成ヒストリア」その8=平成8年、鳩山と菅/民主党が誕生した年

「平成ヒストリア」その8=平成8年、鳩山と菅/民主党が誕生した年

民主党

新党さきがけ代表幹事の鳩山由紀夫は、1996年に入って、新党を模索した。新進党の船田元をパートナーとして、いわゆる“鳩船新党”構想があった。結局のところ、船田新保守主義と、リベラル合同を目指す鳩山との意見調整はできず、決裂。鳩山は、厚生大臣菅直人との連携に入り、8月末、鳩山新党に踏み出した。9月、菅直人も合流し、民主党は産ぶ声を上げた。現職52人で旗揚げ、自民・新進両党に次いで、第三党の地位を占める。鳩山・菅の2人代表制を取り、“市民が主役”の民主党というキャッチフレーズで、霞が関の解体・再生を目指し、行革による民中心の政治を主唱している。

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自分で自分をほめたい

「メダルの色は一つ落ちましたけど・・・」日本陣営が振るわなかったアトランタ五輪で、唯一広く記憶にとどめられた有森裕子選手の美しいコトバ。「終ってから、どうしてもっとがんばれなかったんだろうというレースはしたくなかったし、今回は自分でそう思ってないし…、はじめて自分で自分をほめたいと思います」。女子マラソンの有森選手は、バルセロナ五輪に続いて惜しくも銅メダルだったが、その控えめな態度を通じて、真にがんばることとはどういう意味なのかを伝えてくれた。

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メークドラマ

巨人軍長嶋茂雄監督が、2年越しで訴え続けてきたスローガンが、この年現実になった。夏まで他チームを引き離していた広島カープを後半戦で捕らえ、ドラマティックに逆転優勝。その後の「メークミラクル」はなかなか実現せず。

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チョベリバ

コギャルたちは何でも「超」を付ける、そのうえ短縮語をつくる。そうなると「超ベリーバッド」が〈チョベリバ〉。反対語は〈チョベリグ〉。女子高生たちはさらに、東北弁のように抑揚を押さえて、口を大きく開けないで発音する。

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ルーズソックス

ハイソックスをたるませてはく女子高生の風俗。都心から始まって、地方にも及び、全国あらゆる町の女子高生が同じようにルーズなスタイルを実践した。

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ジミ婚

それまで芸能人たちの結婚式はテレビだ、中継だ、と〈ハデ婚〉を競い合っていたが、ここに来て地味な結婚式を意味する〈ジミ婚〉が流行。豪華披露宴を挙げることの方がかえってカッコ悪いという判断だろうか。プライバシーを切り売りすることのカッコ悪さに気づいたわけだが、この傾向は芸能人にとどまらなかった。

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援助交際

「援助」という名のもとに性を商品化する女子高生の大量発生が社会問題化した。テレクラを利用しては、援助交際という名目で男性に金銭を要求、見返りとして肉体関係を許すというパターンも。これでは売春となんら変わりはない。

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オヤジ狩り

高校生らが誘い合って、千鳥足で帰宅する中年男たちを襲って金品を奪うこと。「エアマックス強盗」も現れ、翌年には「たまごっち強盗」も。

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O157  おーいちごなな

O157は、5月末の岡山県での集団発生を皮切りに、7月末までに全国で死者7人を出した。大阪・堺市内では小学校児童を中心に6500人という、記録的な食中毒被害を引き起こした。

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MM

若者ことば。まじに、むかつくこと。に本当に腹が立つこと。もっとむかつく場合は、「超MM」。

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不作為責任

なすべきことをしなかった責任。薬害エイズ事件で、非加熱製剤の回収命令を出さなかった厚生省官僚に対する追及の言。「消防車が火のついた建物の前を無視して通り過ぎたのに似ている」行為じゃないか。刑事責任という最も重い法的責任が認定されるには、「しなければならなかった」という極めて切迫した状況にあったことを立証する必要がある。

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ロングバケーション

フジテレビのいわゆる月9ドラマ『ロングバケーション』で、山口智子と木村拓哉が主役の二人を演じ、最終回の視聴率が最高で36・7%という大ヒットになった。脚本は北川悦吏子。ピアニストを目指す瀬名と、結婚式当日に花婿に逃げられた南のもどかしい恋模様を、二人がコミカルに演じた。キムタク(木村拓哉)が演じるピアニスト役の影響で、ピアノを習い始める男性が増えたというような「ロンバケ現象」を巻き起こした。トレンディドラマの金字塔ともいえる作品である。

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キムタク

「キムタク」の愛称で親しまれた木村拓哉はSMAPのメンバー。1988年のSMAP結成当時は15歳。93年テレビドラマ『あすなろ白書』でブレイク。『ロングバケーション』は社会現象を起こした。94年、雑誌「anan」の名物企画「好きな男・嫌いな男ランキング」で好きな男の1位となり、2008年まで、連続1位を堅持している。まぎれもなく、同時代を代表する国民的アイドルである。

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アムラー

シャネルの熱狂的ユーザーをシャネラーと呼ぶように、歌手・安室奈美恵に成りきったファンをこう呼ぶ。具体的には底の厚いブーツや超ミニ、日焼けサロンで焼いた真っ黒な肌や細い眉といった、まるで風俗業界のお姉さまみたいな安っぽさが特徴。スレンダーなプロポーションで激しいダンスナンバーを踊り歌う安室は、若者のファッションリーダーとなり、「アムラー」は、この年の日本新語・流行語大賞に入賞した。

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司馬遼太郎

全著作の刊行部数が1億冊をはるかに超える国民的作家・司馬遼太郎が1996年2月12日、腹部大動脈瘤破裂で亡くなった。司馬は、37歳で直木賞を受賞した。それまでは産経新聞大阪本社の学芸記者。毎日京都大学に通っていた。折からの剣豪小説ブームを横目に、司馬は京大から独自な文明史観を手に入れ、それがのちに司馬史観といわれるものに育っていく。山岡荘八『徳川家康』が高度経済成長へ向かうサラリーマンの教科書のように読まれた62年、司馬は『竜馬がゆく』『燃えよ剣』、63年には『国盗り物語』と、まったく新しい歴史書を読むような小説を発表、以降の司馬スタイルとなった。

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Shall We ダンス

この年公開された周防正行脚本・監督の映画『Shall We ダンス?』が大ヒット。日本映画界の賞を総なめにした。仕事にも人生にも疲れたサラリーマンが、社交ダンス教室の個性的な人々とダンスによって、いきいきとした人生を取り戻していく(主人公に役所広司、ダンス教師にバレリーナの草刈民代を起用した)。豊かなキャラが登場し、しみじみと幸福感が残る周防映画は、翌年アメリカでも黒澤明『乱』を抜く興行収入を記録。

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