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未病に備える東洋医学の話☆冬の巻
執筆者 久保田恵美

未病に備える東洋医学の話☆冬の巻

寒邪

寒邪(かんじゃ)とは「主に冬の時期に、体の中に入りこむ冷たい邪気(じゃき)」のこと。冬以外でも、雨に濡れたり、冷房で冷えたりした際にも生じることがある。一般的に、寒邪に犯された症状は風邪(かぜ)と呼ばれている。

特徴は「体を温める機能の低下(寒気)、悪寒がするのに汗がでない、頭痛、関節痛などの体の痛み、けいれん、引きつけ」など。鼻やのどに症状がでやすい風邪症状とは違って「寒気」が強いことが大きな特徴だ。対処法は「体の内側を温める」こと。手軽な方法として「黒糖しょうが茶」がある。千切り、またはすったしょうがと黒糖をカップに入れてお湯を注げばできあがり。しょうがと黒糖の組み合わせは温める作用や即効性が高いため、風邪の初期症状に適した飲みものといえる。

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東洋医学でいう「腎(じん)」とは、西洋医学でいう「腎臓」単体を指すのではなく、腎臓、副腎、膀胱、生殖器、泌尿器など広範囲にわたる意味をもつ。体の中において「生命をつかさどる場所」として重んじられている部分である。腎の機能を高めることで、免疫力があがり、病気になりにくい体を維持できる。また、老化、美容、生殖機能といった面と大きな関連をもつ。「若々しくありたい」と望む場合は、この腎が弱らないように機能を高めることが大切といえる。日々の養生法としては食事を工夫することが重要。おすすめ食材は以下のとおり。野菜類〜れんこん、かぼちゃ、山芋、さやいんげん、しいたけなど。肉類〜レバー、豚肉、鴨肉、ラム肉。乾物・果実類〜松の実、くこの実、はすの実、なつめ、くるみ、黒豆、栗、くるみ、黒ごま、昆布、ぶどうなど。魚類〜えび、牡蠣(かき)、たい、あわび、いか、うなぎなど。

また、日本の冬は乾燥している傾向にあるため、体を潤す食材も摂取すると若返り効果的が高まるという。適した食材は、豆腐、ほうれん草、きくらげ、百合根、梨、りんご、アーモンド、ピーナッツ、牛乳、はちみつ、ごま油など。

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先天の精

先天の精(せんてんのせい)とは「父母より受け継いだもので、成長して生き続けていくための素(もと)」のことを意味する。「精」とはわかりやすくいうと「元気の素(もと)」といえる。先天の精は、東洋医学でいう「」という部分に蓄積されていて、不足すると飲食や呼吸から取り入れた「後天の精」というエネルギーによって補充される。生命の根源である「先天の精」が不足しすぎると、様々な体の異変が生じることになる。メインとなる症状は老化現象。具体的には、排尿障害、更年期障害、骨粗しょう症、健忘症、認知症、耳鳴り、難聴、髪の毛が抜ける、白髪の増加など。また、先天の精は生殖機能の力となる素でもあり、子孫繁栄において大きな役割を担っている。

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後天の精

後天の精(こうてんのせい)とは「飲食と呼吸をすることで得られるエネルギーのことで、気(生命エネルギー)、血(血液)、水(体液)の素」のことを意味する。後天の精は(じん)に蓄えられ、人の生命を維持し、成長・発育させる。生まれもった先天の精(せんてんのせい)が少ない場合でも、後天の精を充実させれば、健康体を保つことができると東洋医学では考えられている。

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温補腎陽

温補腎陽(おんぽじんよう)とは「後天の精を増やして体を温める力を補い、(じん)の働きを高める」ことを指す。ここでいう「腎」とは、西洋医学でいう「腎臓」単体を指すのではなく、腎臓、副腎、膀胱、生殖器、泌尿器など広範囲にわたる意味をもちます。温補腎陽を行うことで改善できる症状は、骨粗しょう症、不妊症、元気がない、夜間頻尿、四肢の冷え、むくみ、腰痛、腰がだるい、目がかすむ、耳鳴り、異常な眠気など。症状が強くでている場合は温補腎陽作用を含んだ漢方薬で治療を行う。軽い症状で様子をみたいという場合は、食事での養生がおすすめ。適した食材は、ねぎ、にら、しょうが、にんにく、栗、鮭、ほたて貝、うなぎ、牡蠣(かき)、えび、ラム肉、黒ごま、キャベツ、黒豆、豚肉、卵など。

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7年周期

東洋医学では、女性は「7年周期」で、男性は「8年周期」で体質が変化すると考えられている。例えば、女性の場合、14歳:初潮(月経開始)、21歳:月経が整う、28歳:女性ホルモン分泌のピーク(身体機能・性機能のピーク)、35歳:肌・髪などに衰えを感じる、42歳:シワや白髪などが増えはじめる、49歳:閉経(月経終了)。男性の場合、40歳を迎えたころ、体力や性機能の衰えを感じはじめる。また、ホルモン減少による老化は、女性のほうが表面化しやすいといわれている。

この「7年周期」の理論は、あくまで中国の古い文献による理論であって個人により差はあるが、健康を維持するための目安となるため、実際に医療や美容の現場で活用されている。例えば女性の場合、30歳で肌がかさつきはじめたとする。そこで放っておくか、原因を追求して対処するかの選択によって35歳を迎えたときの体の変化(老化)を最小限に押さえられるといった考え方になる。

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