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どうする民主党どうなる民主党
執筆者 土屋彰久

どうする民主党どうなる民主党

体質のジレンマ

これは、しがらみとは直接の関係はないですけど、民主党の宿阿のようなもので、いろいろなところにその影響が出てくるので、まず説明しておきましょう。民主党、守りに弱いです。はっきり言って激弱です。なんででしょう?それは組織として大きい割にバランスがとれていないため、簡単にいれば「守り要員」がいないためです。自民党も似たようなものじゃないか?と言われるかもしれませんが、簡単に違いを言うと、自民党の場合、まずお仲間の官僚が守り要員をやってくれます。次に、人的にも資金的にも余裕があるので、攻撃に対して跳ね返せないまでも吸収力があります。対して民主党、人材も人員も資金も手薄なので、もともと衝撃吸収力に劣ります。さらに官僚叩きで票を稼いだ関係で、官僚を敵に回してしまっているので、官僚が守り要員を引き受けてくれないんですね。なら、党で用意すればいいじゃないか、というか党で用意するしかないじゃないか、という話に当然なるわけですが、ここで体質のジレンマが足かせとなります。

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隠れ勝ち組

民主党の体質を一言でいうと、勝ち抜け体質です。え?なんかマニフェストで掲げていた理念と逆じゃないですか?逆です。民主党は、トップで勝ち抜けた人間を集めたわけじゃないので、そこが目立たないんですが、基本的にはセレクションを勝ち抜いてきた人間の集まりになっています。要するに、ライバルを蹴落として民主党の候補者として選ばれ、選挙に勝ち抜いて議員となった隠れ勝ち組が、民主党議員の大半だといういうことです。このような競争勝ち残り組だけで形成された組織では、組織の内部でも同じ競争が続きます。なぜなら、そのような競争に適した人材ばかりを集めているからです。そうなると、縁の下の力持ちとか、火中の栗を拾う人とか、組織のために不利益を引き受ける人は、一方的に不利益を押しつけられて使い捨てにされます。だって、遅れをとったライバルに救いの手など差し伸べていたら、自分も道連れでおいてけぼりを喰らってしまいますからね。

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守り要員

縁の下の力持ちに、火中の栗を拾う人。先を争ってパフォーマンス合戦を繰り広げるタイプとは逆の不言実行型。これ、守り要員です。組織を長期に渡って維持していくためには、このような守り要員が不可欠です。たとえば官僚組織というのは、組織に忠実でさえあればきちんと面倒を見てくれます。だから個々の官僚は、泥をかぶったり憎まれ役を引き受けたりと、安心して守り要員の役をこなせますし、党の実質的な運営者がその重要性を理解している場合には、政党レベルでも同じです。(自民党の場合、「小泉」以後、そのタイプの運営者が中枢から排除されたために、守り要員が手薄になってあのような負け方につながったとも言えます。)ところが民主党、誰もが民主党を自分の出世のための乗物としか考えていないので、組織を守るために犠牲になろうという人間が出てきません。逆に、その必要性はわかっているので、誰かにそれを押しつけようとババ抜きの神経戦になります。これは、選抜主義で構成された組織が必ずと言っていいほど陥るジレンマです。

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選抜主義

組織の運営者が、上から目線で優秀者をピックアップして、組織のメンバーを集めていくやり方が選抜主義です。候補者の公募なんかはその典型ですね。こうした選抜の際に評価の対象になりやすいのは、攻め系の能力です。この手の組織は攻める時には調子がいいんです、みんなが血眼で手柄争いを繰り広げますから。事業仕分けなんかはその口ですね。でも、ロールプレイングゲームを思い浮かべればわかるように、攻撃系キャラだけでパーティーを組むと、プレーヤーとしては予想外の苦境(いわゆる”殺しルーチン”)に陥った時に、あっさりと全滅してしまいます。今の状況で言えば、沖縄問題どうする?税財政問題どうする?なんて具合に、あちら立てればこちら立たずで、誰かは泥をかぶらなきゃ解決できないような問題が出てくると、途端に押し付け合いが始まります。これ、見た目はそれぞれ自分の代表する利益の代弁者として発言しているので、パッと見、押し付け合いにはなりません。じゃあ、何を待ってるの?というと、「正論を掲げて抵抗する自分を押し切って無理を通す悪者」の出現をみんなが待ってるわけです。それをお互いに待ってるわけですから、三すくみ、四すくみの多重すくみで、話は先に進みませんよね。ゲームの場合は、回復系キャラを軽視したプレーヤーの戦略ミスで片づけられますが、組織の場合はもっと深刻です。なぜなら、そもそも選抜の際に守り系の能力が軽視されているため、守りに適した人材がいません。さらに、攻撃で加点するのが組織内での出世の条件ですから、失点をかぶらなきゃいけない守り役は、誰も引き受けたがりません。結果、組織として適切な防御が遅れることになります。

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沖縄のジレンマ

沖縄、困ってますね。民主党も困ってますね。アメリカ、いい気なもんですね。でも、民主党内での競争を考えると、このアメリカは一番敵に回したくない相手です。なので結果として、本来は一番後回しにしていいアメリカの利益が、関係者各位の個人的都合によって最優先となってしまっています。そうなると、誰かに沖縄県民の怨嗟の的といった役回りを引き受けてもらわなければならないんですが、そこまでやると先の目がなくなるということで、これまた誰も引き受け手がいないと。アメリカがグアム移転で手を打ってくれれば八方丸く収まりますが、それはどうも米軍やオバマ政権の都合として無理なようですね。私としては、もうちょっと違った解決案もあります。本土の自衛隊の基地を一個、移転先として明け渡せばいいんじゃないかと。その分は設備も人員も段階的に削減してしまえば、防衛費も減って財政にもプラスです。一時的には、無駄な余剰人員を抱えることになりますが、自衛隊なんて演習すればするだけ無駄に火薬を使うわけですから、もう災害救助専門部隊として、全国に配置して災害救助の即応体制を整えれば無駄ないですよね。これはこれで、自衛隊を敵に回すことになりそうですが、党としても泥をかぶった担当者としても、被害は一番小さくて済むんじゃないかと思います。ただ、いずれにせよ米軍のわがままを通すという前提が変わらない限り、誰かが泥をかぶらないとこの問題に決着はつけられませんね。

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すり替わる標的と敵

政権を獲るまでは、政権さえ獲れればと考えますが、いざ政権を獲ってみると、色々と欲が出てきます。この欲がしがらみを復活させたと言ってよいでしょう。自民党にとってのしがらみも、考えてみれば同質のものでした。しがらみとは、つまるところ「政権維持のために配慮しなければいけないこと(実際には利権絡みが大半)」だと考えてみれば、民主党が野党にいる限りはしがらみもへったくれもないし、政権に就くまでだって関係ないけど、政権を手放したくないと考えた途端に、かつての自民党にとってのしがらみが、今度は民主党にとってのしがらみとして復活してくるというのはわかりますよね。たとえば普天間基地の辺野古移転の計画だって、これは自民党政権がアメリカに対して負っていたしがらみであって、その気ならいつでも反故にできる性質のものです。だから民主党も、選挙の時だけは沖縄内移転に反対とか平気で言えたわけです。ところが選挙が終わって、政権を手にしてみると、事情が変わってきます。選挙民からは「もう」票をもらいました。でも、しがらみの相手とは、「まだ」利害調整が残っています。選挙前なら、野党という気楽な立場で敵として攻撃できた官僚も、政権党になると今度は身内になりますし、その攻撃の標的となったしがらみのタネも、官僚やアメリカ、あるいは財界といった政権関係者との間で重要な交渉材料となってきます。そして、復活したしがらみに引きずられる形で、どうも選挙前と選挙後で民主党の攻撃対象がすり替わってきたような感じになってきています。

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インフレ政策の意味

2009年後半の景気の悪化、物価の下落を確認して、政府もようやくデフレ宣言を出しまして、今後の政策はインフレ方向に向かいそうです。しかし、インフレ政策と言っても、実際には三種類に大別できまして、いずれの面の比重が大きいかによって、その効果には大きな違いが表れます。ところが、この基本的な問題が現在のところ全く顧みられていません。何かの間違い?いえいえ思いっ切り意図的です。だって、裏で糸を引いてる財務省、日銀はそっちの専門家ですから。インフレ政策というのは、基本、富を増やしも減らしもしません。では、どういう効果を持っているのかというと、所得移転の効果を持っています。詳しく説明すると長くなりますので、可能な限り簡単に言います。インフレは、そのための資金の投入先に利益を発生させます。そして一方で既存の金銭債権(貸してる分)を目減りさせます。つまり、既存の金銭債権の保有者から投入先への所得の移転を発生させるということです。

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インフレ政策の損得勘定

最小限の例解をしましょう。通貨を25%増刷します。そうすると、物価は25%上がりますが、預金は増えないので(今の利率ならそう考えていいですよね。)、実質的には額面の100/125=4/5の購買力に目減りします。たとえば100万預金している場合、預金時のレートで言えば20万、インフレ後のレートで言えば25万損したことになります。こうして、金銭債権の保有者に押しつけた負担を、金融機関や公共事業、あるいは福祉といった資金の投入先への利益として付け替えるのがインフレ政策の意味です。そして、ここに三つの投入先を示したように、大きく分けてこのいずれに投入するかで、インフレ政策の効果が、つまり誰が得するかが変わって来ます。現在の通貨制度の下では、いきなり通貨増刷というのは困難なので、実質的には日銀から供給される低金利の資金がその代わりとなります。

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金融インフレ

今の政府が、なぜか、なぜか批判していたはずの前政権、というか「小泉」以後の歴代自民党政権と同じように、現時点でのデフレ対策(=インフレ政策)の中心に据えているのが、この金融インフレ政策です。察しのいい人は、もうこの段階で言いたいことがわかりますよね。つまり、政権党となった民主党が復活させ、そして絡め取られたしがらみが、これではないかと。ここらへんの説明はもうちょっと後に回すとして、まずは金融インフレ政策の基本を押さえておきましょう。金融インフレ政策というのは、中央銀行の金融政策を通じて、金利を下げたりマネーサプライを増やしたりして、インフレ的な効果をもたらそうとする政策です。金融インフレ政策では、低金利の資金が大量に中央銀行直下の金融機関(基本的には銀行)に供給されます。そうすると、この資金を得た金融機関は貸し手を捜して貸付を増やすので、元は借りた金とは言え、世の中に金が出回るようになって物価が上がります。しかし、この資金は資金の流れの上流に位置するほど低金利で、しかも早く資金を手に入れることができます。なので、この位置にいるヘッジファンドなどは、下流の企業や庶民に先回りして石油やコーンといった値上がり必至の必需系の商品に先回りの買いを入れます。そうすると、企業は原材料価格の値上がりを製品価格に上乗せしてツケ送りしていきますが、末端の最終消費者である庶民のところでは、金が回ってくる前に商品が値上がりしているので、この上層と下層の金利とタイミングの差の分が逆に損となります。だって、給料が上がる前に品物の値段だけが上がるわけですからね。このように、金融インフレ政策の下では、庶民から投資家への所得移転も起こりますので、当然ながら格差は拡大し、庶民の貧困化は進みます。

→2009年2月号参照

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財政インフレ

金融インフレに対して、日銀から供給される資金を政府が国債発行によって大量に吸い上げて、それを財政支出に回すことで発生するのが財政インフレです。(今のところ、日銀の国債直接引受にはストップがかかっているので、この仲立ちは金融機関が行っています。)そして、その主たる支出先によって公共事業型財政インフレと福祉型財政インフレに大別できます。「小泉」以前の自民党政権が中心としてきたのが、この公共事業型財政インフレ政策です。公共事業は、社会のインフラ整備が進んでいない段階では、効率的な投資となるのですが、公共施設や社会資本が需要を満たして飽和状態になると、投資効率はマイナスとなって無駄遣いとなります。しかし、この利権の構図の上に自民党体制は成立していたので、この構図を変えるわけにはいきませんでした。これが、ザ・しがらみですね。この政策は、投資効率がマイナスになると、ひたすら借金をして無駄遣いをするという最悪の経済活動をもたらします。そのようなわけで、今では一人あたり800万を超えるという国の借金を積み上げるに至ったわけです。この場合、当然ながら公共事業の受注先が、このインフレ政策の利益に与ります。しかし、現実には建設業界などの前面に出てくる支出先には金は残りませんでした。なぜかというと、受注のためには様々な裏献金や、銀行からの多額の借り入れが必要で、まともに無借金・無権金健全経営をやろうとすると仕事を回してもらえなかったためです。

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福祉型財政インフレ

同じ財政インフレであっても、福祉型の場合には貧乏な庶民に直接に金が回りますので、「税金を使わない所得再分配政策」となります。いわゆる「小さな政府」論者が、財政インフレ政策を公共事業型も福祉型も一緒くたにして「大きな政府」として攻撃するのは、富裕層の利益の代弁者である彼らが、この福祉型インフレ政策が税金による直接的な所得再分配と実質的に同じであることがよくわかっているからです。逆に言えば、福祉型インフレ政策は、富裕層から税金を取って貧困層に渡すのと実質的に同じだということです。今の日本のように、庶民の経済活力を犠牲にして富裕層への富の集中が起こっているような状況では、この福祉型の財政インフレ政策が正解となります。しかし、その旗を振っているのは社民党と国民新党という、連立相手の小党の方で、民主党では財政規律優先派が主導権を握っています。どうしてでしょう?

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何が争われてきたのか

この国の経済政策は、戦後、一貫してインフレ政策が採られてきました。国債の発行残高がこれほどになるまでは、とにかく金はあるから使えばいいという感じで、公共事業であれ福祉であれ、けっこう無責任なバラマキが行われてきました。しかし、その結果、累積債務がとんでもない額に膨れあがったことから、これを何とかしなければということになりました。現在のところ、これは国家の借金という形で処理されているので、将来の国民の負担にツケ送られている状態です。まあ、将来の国民はさらに将来の将来の国民にツケ送ることができるわけだし、という話はあるのですが、やはりこれ以上累積債務を膨らますのはまずいだろうという話になって、今の世代でもなんらかの対応をということになりました。ま、ここらもインチキはいろいろあるのですが、今の世代で解決を図るというと方策は三つです。一つ、アメリカ国債を売る、二つ、財政収支を黒字化する、三つ、通貨を増刷するです。

前政権までの政策

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前政権までの政策

今の世代で解決を図るというと方策は三つです。一つ、アメリカ国債を売る、二つ、財政収支を黒字化する、三つ、通貨を増刷するです。

さて、どの方法がとれるでしょうか?一つ目はアメリカが許しません。三つ目は債権保有者が許しません。というわけで二つ目の線を選んだのがいわゆる「構造改革」路線です。この政策の下で採られたのが、財政デフレを金融インフレで中和させるポリシーミックスです。その結果、この小泉−竹中ラインの下で財政デフレと金融インフレのダブルパンチを食らって、格差が激拡大したわけです。だって、貧困層に金を回さない政策と貧困層の金を富裕層に回す政策が一緒に採られたわけですから、そうなる他はないですよね。そしてこの財政デフレ政策の下では、福祉と公共事業の両方が削られました。ま、うまいですよねやり方が。財政赤字の元凶はおまえ「ら」だと、本来は別立てに論ずべき公共事業の受益者と福祉の受益者を一緒にして、反論を封じてしまったわけです。ちなみにこの論法、今でも続いているというか、蒸し返されてきたというのが今回の本ネタです。

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何を争っているのか

民主党は、元々右から左までイデオロギー分布が広いので、小泉・竹中真っ青ぐらいのネオリベもいますが、選挙では、ここのところの自公政権の政策で割を食った人々、つまり財政デフレ&金融インフレ政策の被害者の利益の代弁者として勝利しました。ならばです、ならば財政インフレ政策に転換すればいいはずなのですが、実際はそうは行っていません。一つには、公共事業も福祉も一緒くたにして財政赤字を攻撃するという、従来の論法を自分たちも選挙前から引きずっていたということもあります。まあ、財政規律とか財源論てのは、民主党が異常に気にする「政権担当能力」系の話ですから、こだわりたい気持ちもわかります。しかし、公共事業型と福祉型の区別もつかないとか、それ政権担当能力以前の話ですよね。しかし実際のところは、政策についての知識不足というより、財政インフレ政策を避けたい財務省に取り込まれたのではないかという雰囲気が濃厚です。なぜ、財務省が財政インフレを避けたがるのか? 表の話は、国の財布を預かる身として財政の健全性にこだわるのは当然、という答えになります。

財務官僚はなぜ

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財務官僚はなぜ

財務官僚はなぜノーパンしゃぶしゃぶが好きなのか? この問いかけに対して? 表の答え、あります? 財政インフレだって同じです。本音はそこにはないと見た方がいいでしょう。

答えは簡単です、誰が得をするのか?金融債権の保有者です。資本主義というのは働く者ではなく、資本を貸す者が儲かるようにできています。財務省は資本主義の、そして資本主義の象徴たる金融業界の守護者です。だから、資本主義経済の勝ち組である富裕層の金融債権の目減りを防ぐことが第一となります。預金債権も金融債権ですが、これは負け組の貧困層の債権ですから、逆に損する側になるのは、金融インフレのところで解説した通りです。銀行は差し引きで言うと債務(借り分)より債権(貸し分)の方がはるかに多いので、銀行に資金が環流しない福祉型財政インフレ政策を採られると、目一杯、損をかぶることになります。この政策を避けるために、裏では政権運営への協力と引き替えに、表では政権担当能力にからめて、メディアの協力も得て財政インフレ一緒くた悪玉論を展開し、民主党に福祉型財政インフレ政策を断念させたのが現在の状況です。

何がすり替えられているのか

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何がすり替えられているのか

しかし、そもそも貧困層、中間下層は当然として、景気回復などの派生的効果も考えれば中間層まで含めて、国民の4分の3程度は、福祉型財政インフレの方が利益が大きくなるはずなのに、財政赤字拡大に対する国民の目は厳しいです。理由は簡単、メディアはどこも財政インフレ一緒くた悪玉論の大合唱といった状況で、国民もそれに思いっ切り流されているからです。自分たちに得な政策を敵視する、なんででしょうね?それは気がつかないうちに、自分たちが政権の敵にすり替えられてしまったためです。民主党は政権党となったことで、スケベ根性がやおら鎌首をもたげて来て、そこに選挙戦では敵であったはずの財務省に付け入られてしまったようです。そして、選挙で味方につけていた貧困層、中間層は、財務省と入れ替わりで政策上の不利益を押しつけられる敵役の位置にはめ込まれてしまいました。しかし、この層には引き続き政権を支持してもらわなければならないので、財務省とつるんだ民主党には都合がいいけど自分たちには損になるような政策を支持する方向に、メディアを総動員して誘導しているという状況ですね。

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民主党よお前もか

民主党政権が財務省とのしがらみを復活させたことを伺わせるはっきりとした証拠は、日銀の政策転換です。それまで、嫌がらせのように(まあ、総裁人事であれだけもめただけに、嫌がらせをしたくなるのも当然でしょうが。)政府より楽観的な景況感に固執してきた日銀が、ようやく金融緩和に踏み切りました。これ、小泉−竹中の時と同じです。財政デフレ政策を採るなら、金融インフレ政策で表面的な景気の下支えには協力してやるよ、ということです。というわけで、このまま行くと前政権と似たような経済政策に逆戻りです。

前政権までの政策

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政府紙幣

一部の富裕層のためではない、国民全体のための政治を行おうとするならば、財政規律へのこだわりは捨て、福祉型インフレ政策を採る他はありません。民主党がソノ気なら、切り札となる武器はあります。それは政府紙幣です。ただ、好き放題刷ればいいという話ではありません。政府紙幣は、実は無利子国債と同じに扱えるんです。国債が将来の税収での償還を予定して発行されている(ウルトラスーパー表向き)ように、将来の消却を予定して発行するならば、政府紙幣は「市中引き受けも金利も不要な国債」と実質同等になります。これでは財政規律が崩壊してハイパーインフレになる、との大合唱は当然予想されます。ここでこそ、胸を張って政権担当能力を訴えればいいんです。自分たちが政権を運営すれば、国民経済は好転し、経済成長を果たした上でプライマリーバランスは黒字化し、それによって国債の償還も政府紙幣の消却も十分可能になると。無理?できない?できないなら政権よこせとか言う資格ありません。

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