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《食べる》漢方の事典☆12月の食材
執筆者 久保田恵美

《食べる》漢方の事典☆12月の食材

大根  Daikonradish

中国名は「蘿蔔(ロァボァ)」。大根の有効成分にはアミラーゼ、ジアスターゼといった「消化酵素」が豊富。食べ過ぎ、飲み過ぎた際の胃もたれ・胸やけ解消に役立ちます。消化酵素は熱に弱いため、「大根おろし」にして食べる(飲む)とよいでしょう。ただし、大根は体を冷やす食材であるため、胃腸の弱い方は多食を避けてください。

また、大根の葉は、根(白い部分)の5倍以上のビタミンを含有しています。捨てずに、漬け物や味噌汁の具材などに有効利用してください。民間療法として、乾燥させた大根の葉を湯船に入れて入浴すると、体が温まり、疲労回復・冷え性改善に効果があるといわれています。→らいふく子

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らいふく子

漢方医学では、大根の種子をらいふく子と呼び、漢方薬として使われています。大根の根(普段食べている白い部分)は体を冷やす作用があるのに対し、らいふく子は体を温める作用があります。薬効は、せき・たんの鎮静、健胃をはじめ、デトックス(解毒作用)、脂肪分解作用など。近年、注目されているメタボリック症候群などの肥満改善にも効果があるという報告もあります。漢方薬局店などで入手可能。

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ごぼう  Edibleburdock

ごぼうの漢字表記は「牛蒡」。旬は11月から2月ごろ。4月から5月ごろにはやや細めの「新ごぼう」が出回ります。ごぼうは、日本、韓国以外ではほとんど食用とされていないそうです。しかし、欧米ではごぼうに似た野菜「サルシフィ(西洋ごぼう)」が栽培され、フランス料理などに使われています。ごぼうは野菜の中でもとくに食物繊維が豊富。腸内環境を整え、便通改善に役立ちます。また、食物繊維は抗菌作用があるため、ニキビなどの改善にも効果があります。ほか、腸の脂肪吸収を抑える作用、コレステロール減少効果から、ダイエット食材としてもおすすめです。摂取法は、生よりも「油で炒める」ほうが効果大。生だと下痢を起こしやすいので気をつけましょう。また、ごぼうは「にんじん」と組み合わせると高血圧、肥満予防などにより効果があるといわれています。→牛蒡子

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牛蒡子

漢方医学では、ごぼうの種子を「牛蒡子(ごぼうし)」といい、漢方薬として使われています。薬効は、せき・たんの鎮静、皮膚の化膿止め、扁桃炎(へんとうえん/のどの痛み)の改善、利尿、解毒など。摂取法は、種子を粉末にしたものを服用します。

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百合根  Lilybulb

生薬名は「百合(ひゃくごう)」。百合根(ゆりね)を乾燥させたものが生薬として利用されます。百合根とは、ヤマユリ、オニユリ、コオニユリなどのユリ科植物の鱗茎(りんけい/球根)のこと。収穫は10月から11月ごろで、正月シーズンには出荷のピークを迎えます。国内生産量の9割以上は北海道が占めています。百合は世界に100種近くありますが、主に観賞用。食用にしているのは日本、中国、モンゴルくらいだといわれています。→蒸し百合根

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蒸し百合根

百合根は、加熱しても有効成分が失われにくい点がメリットです。数分蒸して柔らかくした「蒸し百合根」にして食べる方法が、最も効果があるといわれています。百合根の効能は、滋養強壮、咳止め、不眠やイライラといった精神不安定の改善など。調理法は鱗片(りんぺん/花びらのような部分)を1枚1枚ていねいにはがし、水洗いをしてから煮たり、蒸したりと熱を通し、柔らかくして食べます。食感はホクホクとして栗に近い感覚。スープやデザートの具材としてもおすすめですが、塩を少しだけつけて食べても十分においしいです。

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ゆず  Yuzu

生薬名は「柚(ゆ)」。漢字表記は「柚子(ゆず)」と書きます。黄色をした黄柚子(きゆず)の旬は、11月末から2月ごろ。夏場には緑色をした青柚子が出回ります。栄養面では、ビタミンCやクエン酸を多く含むため、疲労回復や美肌効果が期待できます。また、ゆずの皮には、果実の約4倍ものビタミンCが含まれています。皮は捨てずに、細かく刻んで薬味として使ったり、料理の味を引き立てる香りづけに加えたりなど、料理の脇役としてぜひ利用してください。ほかに、おすすめの摂取法は「ゆず茶」。ゆずは、皮付きのまま薄くスライスしてカップに入れ、蜂蜜を適量加えてお湯を注ぐだけ。ビタミンCといえば、「レモン」と思われがちですが、100g当たりのビタミンCの含有量は「ゆず」のほうが多いのです。寒い冬を乗り切るため、風邪対策として最適な食材です。→ゆず湯

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ゆず湯

古くから冬至には、湯船にゆずを浮かべた「ゆず湯」に入る風習があります。冬至とは、1年の間で最も昼が短く、夜が長い日のことです。冬至にゆず湯に入ると“風邪をひかない”といういわれがあります。また、腰痛、神経痛、リウマチの治療に効果があるといわれています。

ゆず湯の作り方はとても簡単。5個程度のゆずを輪切り(または、半分)にカットして湯船にそのまま浮かべるだけ。肌が弱い場合は、輪切りにしたゆずを熱湯に入れて20分程度蒸らし、布袋に入れます。それを湯船に浮かべればOK。血行促進の効能があるため、肩こり、冷え性の方にもおすすめです。

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松の実  Pinenut

生薬名は「海松子(かいしょうし)」。一般的に出回っている松の実は、五葉松の一種である「チョウセンゴヨウ」の種子です。効能は滋養強壮、活力増強、美肌効果など。肺と腸を潤す効能もあるため、咳止めや便秘解消に効果が期待できます。また、不老長寿の効能があるため、中国では古くから「仙人の霊薬(れいやく)」といわれています。栄養学的には、不飽和脂肪酸である「リノール酸」を多く含有するため、コレステロール減少の効果があります。摂取法は生でそのまま、または軽く煎って香ばしくするなど。じわりじわりと効き目が表れるため、毎日摂取し続けることをおすすめします。1日に食べる目安は30粒程度。油分が多いため、食べ過ぎは禁物です。

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