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《食べる》漢方の事典☆8月の食材
執筆者 久保田恵美

《食べる》漢方の事典☆8月の食材

なす  Eggplant

中国名は「茄子(かし)」。紫色の色素“ナスニン”には、コレステロール値を下げる作用、血液をサラサラにする効果があります。また、“ルチン”というビタミンには血管を強くする作用があり、動脈硬化や高血圧の改善、予防に効果的です。

摂取法は調理をして食べることが主ですが、民間療法では古くから治療薬としても用いられています。打ち身、ねんざ、軽いやけどなどの場合、冷やしたなすを輪切りにして、患部に塗布。温まったら、取り替えます。また、食べることでも体の余分な熱をとる作用があるため、夏の暑い時期には最適な食材です。

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バジル  Basil

生薬名は「羅勅(らろく)」。しそ科の一年草。水につけてゼリー状になった種子を目に入れるとゴミを掃除してくれたことから「目箒(めぼうき)」という和名もついています。生のバジルはちぎってパスタなどに加えると爽やかな芳香が加わり、食欲増進の効果があります。生薬として用いられるのは葉を乾燥させたもの。お湯1カップに対し、小さじ1程度のバジルを加え、ハーブティーとして飲むことが一番簡単な摂取法です。好みのハーブとブレンドして味や香りを楽しむのもおすすめ。ペパーミント、ローズヒップ、ローズマリーとブレンドすると頭痛に効果があるといわれています。→バジリコ

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バジリコ  Basilico

バジル(英語)はイタリア語で「バジリコ」といいます。その昔ギリシャでは貴族が“香水”に利用したことから“高貴の草”という意味をもつ「バジリコ」と呼ぶようになったといわれています。効能は、解熱、鎮咳、食欲増進、殺菌、消化促進など。風邪で熱が出たときはもちろん、風邪気味のときにおすすめな食材です。煎じてお茶として飲むほか、5g程度のバジルを米酢やワインビネガー(約150ml)に1週間ほど漬けた「バジル酢」を作り置きすると便利です。サラダや、ちょっと風味をつけたい料理などに使っていただくと手軽に摂取できます。

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桃  Peach

生薬名は「桃仁(ももにん)」。桃の種子の中にある仁(さね)を乾燥させたものです。効能は血液の流れをよくする、便通作用、美肌効果、解毒作用などがあります。女性特有の月経痛や生理不順や、便秘症の方にはとくにおすすめ。桃は、中国では「仙果(せんか)」と呼ばれ、古くから“長寿の果物”として重宝されています。桃仁(ももにん)だけでなく、熟した桃の実を食べるだけでも効果的なので、ぜひ旬の時期(7月から9月)にはデザートとしてどうぞ。桃仁は漢方薬店で入手できます。煎じて飲むタイプのほか、薬として服用できるタイプもあります。→桃の葉

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桃の葉

桃は花、種子、実、葉……どこをとっても薬効があるといわえています。中でも、桃の葉はしっしん、かぶれ、あせもなどに効果的。浴剤として入浴時に用いるとよいでしょう。生の葉や乾燥した葉をそのまま浴槽に入れてもOKですが、乾燥した葉を煎じ、そのお湯とともに浴槽に加える方法もあります。→

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リュウガン  Longan

生薬名は「龍眼肉(りゅうがんにく)」。リュウガンとは、直径2cmから3cmほどの球状をした果物。ライチに似た香りと甘味をもっていますが、ライチより甘味が強いことが特徴です。ライチと共に、楊貴妃(唐の玄宗皇帝に寵愛された伝説の美女)が愛した品として古くから中国では珍重されています。効能は精神安定、健忘症や不眠症状の改善など。また、血を補い、疲労や貧血にも効果があるため、病中病後の体力回復にも効果が期待できる食材です。日本では沖縄や八丈島で栽培されており、生食もおすすめ。乾燥したものは漢方薬局で入手できます。→リュウガンのコンポート

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リュウガンのコンポート

摂取法は煎じて飲むほか、「コンポート」にして食べるのもおすすめです。乾燥したリュウガンに水とグラニュー糖(または、はちみつ)を加え、柔らかくなるまで煮ます。冷めたら、ブランデー、ラム酒など好みのお酒を少々加えて混ぜれば、できあがり。保存が効くので、毎日少量ずつ食べるのに適しています。また、リュウガンだけでなく、“ハスの実”を材料に加えれば、不眠症の回復効果アップ。また、“クコの実”を合わせると、貧血や健忘症の回復、ガン予防などにより効果的です。

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ハスの実

生薬名は「蓮子(れんし)」または「蓮肉(れんにく)」。ハスの種子のこと。中国ではお菓子や中華料理の材料としてよく用いられます。効能は、落ち着かなくて不安なときや眠れないときなどの鎮静作用、滋養強壮、下痢を伴う腹痛などの改善。漢方薬店のほか、中国食材売場で入手できます。摂取法は、煎じて飲むのもいいですが、スープやお粥などの具材として加えると歯ごたえのある食感がアクセントになり、おいしいです。その際、ハスの実はひと晩水につけて柔らかくしてから使いましょう。

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