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《食べる》漢方の事典☆6月の食材
執筆 久保田恵美

《食べる》漢方の事典☆6月の食材

にんにく  garlic

生薬名は「大蒜(たいさん)」。免疫力を向上させる食材としてはナンバーワン。世界の強壮剤と言っていいほど、疲労回復効果が期待できる食材です。また、腹痛、解毒作用、殺菌作用もあることから「畑の抗生物質」とも呼ばれています。

摂取の仕方は、丸ごと食べるよりも砕いたり、スライスしたほうが効果的。1日1片(3〜5g)を目安に、揚げる、焼く、煮るなどして食べることをおすすめします。生で食べても効果は変わりませんが、刺激が強く、急性胃炎を起こす可能性があるため、避けたほうがよいでしょう。

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アリシン

にんにく独特の強烈な臭い成分「アリシン」。この成分には、免疫力向上や強い殺菌作用、コレステロール低下、ガン予防などの効果があります。また、陳新代謝を促進し、美容・老化防止にも効果があるといわれています。

近年、「無臭にんにく」という商品をスーパーなどで見かけるようになりました。色々な製造法があるため一概に「良品ではない」と言い切れませんが、アリシンを取り除いて臭いをなくした商品についてはおすすめできません。買い方に迷ったら、通常の臭いのあるタイプを選ぶことがベスト。じめじめとした梅雨の季節、そして夏本番の暑い季節に向けて上手に摂取し、健康維持に役立てましょう。

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しょうが  Ginger

生薬名は「生姜(しょうきょう)」。新陳代謝を高め、体を温めて発汗させ、熱を下げる効果があります。風邪の引きはじめに効果的なので、「風邪っぽい、熱っぽいかな?」と思った時点で食事に取り入れるとよいでしょう。また、吐き気を抑えて胃をすっきりさせる効果があるので、二日酔いにも最適です。

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しょうが茶

風邪の引きはじめや、予防におすすめな摂取法は「しょうが茶」。しょうがは皮に栄養分があるため、皮をむかずにスライスします。水から火にかけ、沸騰したら弱火にして約5分煎じます。「黒砂糖」を加えて好みの甘さにすればできあがり。黒砂糖は風邪予防に最適な食材です。

黒砂糖の代わりに「はちみつ」を使う場合はお湯が60℃以下になった時点で加えることがポイント。熱すぎると、はちみつの栄養分が破壊されてしまうためです。

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梅  Ume

中国では塩漬けして干した梅を「白梅(はくばい)」、燻製した梅を「烏梅(うばい)」と呼びます。烏梅は発汗、解熱、咳止めの作用があり、風邪の初期症状におすすめです。日本では漢方薬店で入手可能。

日本で6月に出回る「青梅」は梅干し、梅酒、梅ジュースなどにアレンジして摂取するのが一般的ですね。梅干しに含有するクエン酸は、血液をサラサラにし、疲労回復の効果があります。他成分のカテキン酸には整腸作用があり、便秘解消に効果的です。また、梅を煎じた汁はアレルギー反応を抑え、免疫力を高める効果が期待できます。

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びわ  Loquat

生薬名は「枇杷葉(びわよう)」。びわの葉を乾燥させたもので、漢方薬店で簡単に入手できます。効能は鎮咳、抗菌作用、下痢止め、健胃など。手軽な摂取法は煎じてお茶として飲むこと。はちみつを加えて甘くしても問題ありません。

枇杷葉は古い仏典の中で、釈迦が「無憂扇(むゆうせん=全ての憂いをとる)」と呼んで治療に使ったと記されている点から、薬用植物として歴史があることがわかります。

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枇杷葉の民間療法

枇杷葉(→びわ)はお茶として飲むだけでなく、浴用剤として用いても効果を発揮します。

500mlの水に葉を3枚入れて煮出し、十分に冷まします。その汁であせもや、皮膚炎の患部を洗いましょう。脱脂綿に浸し、湿布のように患部にあてても効果的です。

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真珠  Pearl

6月の誕生石でも有名な「真珠(しんじゅ)」。アコヤガイの真珠や、貝殻の内膜に付着した薄層の真珠質を粉末にしたものが、生薬として漢方薬店や通信販売で購入できます。その粉は、「真珠粉(しんじゅふん)」または「パールパウダー」と呼ばれ、主要成分は炭酸カルシウムです。

生薬としての効能は、消化性潰瘍、動機・不安などを伴う神経症、解毒作用、咽頭痛・口の乾きの軽減など。

また、女性に注目度の高い効能は「美容」効果。解毒作用から、にきび、しみ、ソバカスなどを抑え、美しい肌に整える効果があるといわれています。真珠粉に味はないので、デザートなどにかけて一緒に食べると摂取しやすいです。もちろん、お湯に溶かしてそのまま飲んでも!

1日に0.2〜0.3g(ひとつまみ)程度でOK。ちなみに、真珠の核を除いた「真珠層」だけを粉にするため、1gの真珠粉を摂るのに、20〜30個の真珠が必要に。とても貴重な品であることがわかりますね。

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