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季節の食材カレンダー☆7月の巻
著者 久保田恵美

季節の食材カレンダー☆7月の巻

トマト  tomato

近年ではハウス栽培ものが多く出回っているため、年中見かけますが、本来の旬は5月〜7月。その時期には、直接太陽の光を浴びて育った「露地もの」が出回り、独特の青臭さが特徴です。ハウスものより甘さは少ないものの、トマト好きにはたまらない自然な甘味を堪能できます。

栄養的には、カロテン、ビタミンC、ビタミンEを多く含み、この3つの栄養素の相乗効果で血液をサラサラにして動脈硬化やガンの予防、また、美肌や老化防止効果なども期待できる万能野菜です。

生食には皮に張りと光沢があり、へたがピンとしているものを選ぶとよいでしょう。柔らかく熟したトマトはうまみ成分が多いため、トマトソースや煮込み料理に利用するとコクとなり、味わいを引き立てます。

7月の暑い日におすすめな食べ方は「トマトの冷製パスタ」。まず、トマトソースを作ります。ボウルににんにくのみじん切り、1cm角に切ったトマトを入れ、好きな量だけオリーブオイル、塩、こしょうをかけます。中くらいのトマト1個で2人分できますよ。その際、オリーブオイルは2回し程度かけましょう。全体をよく和えて、冷蔵庫で冷やせば、簡単トマトソースのできあがり。

ソースを冷やしている間に、パスタを規定より1分ほど長めにゆでて、氷水にとります。よく水気をきってたら、トマトソースの入ったボウルへ投入。よ〜く全体を混ぜて、皿へ盛りましょう。塩分の調整は、最後の最後で大丈夫。皿に盛る前に、ちょっとつまんで塩気を調節してください。お好みで、熟したアボカドを入れると味のアクセントになり、おいしさ倍増です。

トマトと赤ワイン

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きゅうり   cucumber

「きゅうりに旬があるの?」と首をかしげる方は多いでしょう。たしかに、年中、見られる野菜ですね。しかし……旬はしっかりあるんです!

ハウス栽培ではない、露地ものの旬は、5月〜8月。表面を触って、チクッと感じるとがったイボがあり、張りのあるものを選びましょう。中には曲がっているきゅうりもありますが、味には変わりありません。見た目よりも、ケガをしない程度にやさしく触ってみることが大切です!

栄養面では、90%水分ですが、カリウムを含むため、利尿作用に優れています。

ミニきゅうり冷や汁

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冷や汁

きゅうりを使ったおすすめレシピは「冷や汁」。宮崎名物として有名ですが、群馬県でも昔から親しみのある郷土料理です。宮崎では、熱々のご飯にかけて食べますが、群馬では冷たいうどんのつけ汁に使用することが多いです。

まず、薄切りにした「きゅうり」と、薬味サイズに切った「しそ、みょうが、白ねぎ」をボウルに入れて合わせます。そこに普段使っている「みそ」(だし入りがベスト)をお玉二分の一杯程度入れて、混ぜ合わせます。さらに、すりゴマを加えて混ぜ、1時間くらい冷蔵庫に入れておきましょう(きゅうりがしんなりすればOK)。食べる直前に、冷たい水を注いで、みそをよ〜く溶かせばできあがり。塩分が足りない場合は、さらにみそを足して味を調えてください。食欲のわかない、暑い日にはかなりおすすめです!

また、きゅうりと言えば、「きゅうりの糠づけ」。きゅうりと糠の相性は抜群で、夏バテ防止にも役立ちます。理由は、糠に漬けることでビタミンB1の含有量が増すため。苦手だという方も、健康のために今年からぜひトライしてみてはいかがでしょうか。

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じゅんさい  water shield

沼や池に自生する水草(多年生植物)で、表面をゼリー状のぬめりで覆われていることが特徴。旬は6月〜8月。味はほとんどなく、咽越しやプリッとした舌触りを楽しむ食材です。水のきれいな場所でしか育たないため、汚染されると絶えてしまう恐れも。栄養成分は98%は水分。その他、ビタミン、食物繊維なども含有していますが、栄養を摂るというよりも、咽越しや清涼感を楽しむといったほうがよいかもれませんね。

じゅんさい(蓴菜)は「生の状態」と「水煮」のものと2種類あります。生のものは、たっぷりの熱湯でゆがき、鮮やかな緑になったら、冷水にとれば下ごしらえはばっちり。水煮は、すでに火が通っているものなので、軽く水洗いする程度で大丈夫です。洗いすぎるとせっかくのぬめりが取れてしまいます。

食べ方の例はいろいろありますが、「酢のもの、汁もの」は代表的ですね。汁ものは、仕上げに添えるだけで食感を楽しめる椀のできあがりです。

他に、おいしい食べ方は「天ぷら」。水分が多いので、無理だと思われがちですが、水気をよく拭きとってから、衣をつければ、問題なくカラッと揚がりますよ。冬場であれば、鍋ものの具材としてもおすすめ。煮込みすぎるとプリッとした食感がなくなってしまうので、野菜などに火が通ったあとに、加えるとよいでしょう。

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オクラ  

オクラはまさに夏の代表的な食材。旬は7月〜8月と短い期間です。

表面を覆ったうぶ毛、星のような形の切り口が特徴で、何と言っても納豆のような粘り気は大きな特徴です。

糖質、カルシウム、カロテン、食物繊維など様々な栄養価をバランスよく保持する優れもの。とくにカルシウムは牛乳に匹敵するほどです。緑が濃くて、うぶ毛がびっしり生えているものを購入しましょう。

ねばねばしたオクラだけでも食感を楽しめますが、さらに、ねっとり感を楽しむために“とろろ”と組み合わせた揚げもの「オクラ&とろろ揚げ」を紹介します。まず、オクラ頭部のがく部分を一周薄くむきます。多めの塩をふって、手で揉み込み、たっぷりのお湯でゆでましょう。冷水にとれば、うぶ毛がとれ、色も鮮やかになります。

そのオクラを輪切りにして、とろろと混ぜ合わせます。スプーンですくって、ぽとんと揚げ油に落とせばOK。ほんのりきつね色に揚がったらできあがりです。塩でいただくとオクラの風味を一層楽しめますよ。

しかし、ひとつ問題が! オクラに含まれる栄養成分「ムチン」は、熱に弱い性質があるんです! なので、栄養価を優先する場合は、揚げずに生のまま食べることが◎。ご飯にかけて、しょうゆを少したらしていただく食べ方が健康のためには理想となります。ちなみに、ムチンは、胃腸粘膜の保護、食欲増進などの効果があります。

また、定番の「オクラ納豆」は栄養学的に、相性のよい組み合わせです。理由は、納豆に含有する良質なたんぱく質の吸収をオクラが助けるため。また、両者ともに、食物繊維を多く含むため、便秘改善や大腸がん予防に効果的です。

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ごぼう(牛蒡)  burdock

ごぼうは、キク科の越年草。年中出回っているごぼうは、6月〜7月ごろに出荷された「新ごぼう」を貯蔵したもの。風味がよく、柔らかい歯応えを味わいたいなら、やっぱりこの時期にしか食べれない「新ごぼう」をぜひ! さらに香りにこだわるならば、泥付きを購入すること。早めに食べきることが理想ですが、保存する場合は新聞紙に包み、冷暗所におきましょう。

ごぼうを調理する際、下ごしらえとして、アク抜きが大切です。切ったら、すぐに酢水(または水)につけて少しおきましょう。目安は5分〜10分。つけすぎると旨みが出てしまうので、注意が必要です。

おすすめレシピは「炊き込みご飯」。3合の米に対して、3カップの水を用意します。水に干ししいたけ3個を入れて2、3時間放置しておきましょう。それと同時に、具材(にんじん、こんにゃく、鶏肉など)を細かく切ったり、新ごぼうはえんぴつを削るようにシュッシュッと薄くこそぎ(=ささがき)、酢水につけておきます。そのひと手間で、ごぼうのアクが抜けておいしく仕上がりますよ。

ご飯を炊くだし汁は、用意していた「しいたけのだし汁」に、「しょうゆ、酒、みりん」を3:2:1の割合で加え、塩を少々ふり、味を調えます。このとき、調味料の計量には、大さじスプーンを使うと便利です。計量の目安は、3合炊きの場合、しょうゆ:酒:みりん=大さじ3:大さじ2:大さじ1になります。

普段通りに炊飯器(または土鍋)で炊けば、できあがり。しっかり、全体を混ぜて、暑い夏にふーふーしながらいただきましょう。新ごぼうとしいたけの独特な香りがマッチして、食欲をそそります。仕上げに三つ葉を添えれば、すがすがしい香りも楽しめますよ。

ごぼうと植物油

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トマトと赤ワイン

トマトは生で食べることが多いと思います。もちろん、レタスをちぎってトマトをのせ、ドレッシングをかけて食べるだけでもヘルシーですが、より健康的な食べ方を紹介します。

トマトの赤い色は“リコピン”という色素成分で、抗酸化力に優れています。体内の酸化を防ぐ、つまり、トマトを食べることで“免疫力UP”が期待できるわけです。

さらに、赤ワインなどのポリフェノールと合わせて摂取すれば、さらに効果UP! 例えば、ビーフシチューなどで使う「デミグラスソース」は、トマトと赤ワインを両者使用しているため、栄養価の高いソースといえますね。

他に、大豆加工品とトマトも相性がとてもよく、抗酸化力の向上につながります。おすすめな食べ方は、水きりした豆腐を角切りにして、普段のサラダに加えた「豆腐とトマトのサラダ」。レタスなどは油と摂取したほうが栄養の吸収率を高めるため、油分のあるドレッシングをかけて食べることを習慣づけましょう。

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ごぼうと植物油

ごぼうはビタミンB1(豚肉、うなぎなど)や油脂(植物油、マヨネーズなど)と合わせて食べると、便秘予防の効果が大幅に高まります。また、腸内の発ガン物質も排出できる効果も。具体的には、「ごぼうの素揚げ」がよい料理例です。泥を落としたごぼうを、5cm幅に切って、水につけてアク抜きします。切り口に十字に包丁を入れて、水気を拭き取り、たっぷりの油で揚げます。揚げすぎると堅くなってしまうので、揚げ油の泡が落ち着いたころに、一本だけ出して堅さをチェックしてみましょう。揚げたてのごぼうを皿に盛り、塩を添えます。食べる人の好きな塩加減で食べるのが、一番の「おいしい食べ方」なので、先に塩をふるのはタブー。

また、マヨネーズであえた「ごぼうサラダ」も良質メニューです。スーパーの惣菜コーナーなどでよく見かけますが、家庭でも簡単にできる1品です。まず、酢:油=1:3の割合で合わせ、塩・こしょうをしたドレッシングを作っておくと便利です。それを、ささがきしたごぼうに適量かけて、食べる直前に「マヨネーズ」を和えて味を調えます。マヨネーズはコレステロールが多いので、かけ過ぎにはくれぐれもご注意を!

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ミニきゅうり

通常のきゅうりを若採りしたものは「ミニきゅうり」と呼ばれ、流通しています。長さは8cm〜10cmで、別名「もろきゅうり」とも言います。通常のきゅうりよりやわらかくて、歯応えがよいため、1本のまま、生で食べるのが定番。みそや塩などをつけて食べるスタイルがおすすめです。

きゅうりの他に、よく見かけるミニサイズの野菜は、「ミニにんじん、ベビーコーン、ミニアスパラガス」などが代表的でしょう(→ミニ野菜)。

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ミニ野菜

小さな野菜は、年々売上げ増加傾向にありますが、それには理由があります。まず、生産者にとって、収穫までに時間がかからないといった作業性のメリットがあります。また、消費者にとっても、ひとり暮らしや少人数の家庭には使いきり食材として重宝したり、切らずに食べられるものが多いため、手間が省けて楽だったりと、メリットは多々あります。需要と供給の関係がどちらも上向きになっているからこそ、発展している分野といえるでしょう。また、食べるだけでなく、育てることにもブームを呼び、マンション暮らしの方でもベランダで育てられるという手軽さから、一般の方にも普及しています。

新品種としては、2007年に、白菜のミニバージョン「黄味小町」が誕生しました。球長約20cmほど。通常は30cm〜40cmですから、驚きのミニサイズです。

他に、ミニチンゲンサイの「シャオパオ」は、10cm〜15cmほどで、スジがないため丸ごと調理して食べられます。ミニカボチャの「栗坊」や「プッチィーニ」も、とても人気。栗坊は、中身をくり抜いて、スープを注げば、食卓を華やかにする器変わりになります。プッチィーニは、黄色とオレンジの縞模様が特徴。ハロウィンの時期になると、花屋や雑貨屋などで購入しやすいです。置いておくだけでインテリアになる、直径8cmほどのかわいらしいかぼちゃです。

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