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生物で季節を知る目安
著者 白鳥 敬

生物で季節を知る目安

生物季節観測  Phenology

生物季節観測は、気象庁が1953年から、全国の気象台などで定期的に観測を行っています。東京管区気象台では、サクラやウメなど14種の植物の開花や落葉、ツバメやウグイスなど8種の動物の初見日初鳴日などが観測されています。観測対象は気象台によって違います。

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開花日

開花日とは花が数輪以上咲いた状態になった日のことです。毎年、3月になると、気象庁からサクラの開花予想が出されます。全国各地に観測用のソメイヨシノがあって、そのサクラの状態から開花日を判断しています。東京の場合は、靖国神社の境内にあるソメイヨシノの標本木の開花で開花日を決めています。サクラの開花の定義は、花が5、6輪以上咲いた状態です。

開花日のデータから気候の変動を知ることができます。「理科年表オフィシャルサイト」によると、2004年までの50年間で、サクラの開花日が、全国平均で4.2日早くなっているそうです。

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ススキの開花日

サクラ以外の植物の開花はどんな状態で開花というのでしょうか。たとえば、ススキの開花については、気象庁は、葉鞘から出ている穂の数が予想される量の20%になった日と定義しています。ススキの穂まで観測しているなんて、さすがは気象庁です。

東京で開花日が観測されている植物は、ウメ・ツバキ・サクラ・ヤマツツジ・ノダフジ・アジサイ・サルスベリ・ススキ・ヤマハギ・シロツメクサです。

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満開日

満開日とは、一本の木に咲く花が全部開いたときの約80%が開いた最初の日をいいます。サクラの開花日は、5、6輪の開花ですから、だれが観測してもわかりますが、80%の開花を判断するのはけっこう経験を積まなくてはいけないのかもしれませんね。

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発芽日

発芽日とは、芽の総数の約20%が発芽した日とされています。発芽日が観測されているのはイチョウだけです。東京では、気象庁の前の内堀通りをはさんで向かい側にある清麿公園という小さな公園のイチョウの木が観察木となっています。シダレヤナギの葉の発芽観測も、清麿公園の柳を使用しています。2007年の清麿公園のイチョウの発芽日は3月28日で平年より12日も早いそうです。(「2007年3月の生物季節観測速報」地球ウオッチャーズのHPより)

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紅葉日

紅葉日(黄葉日)は、植物全体を見たときに、葉の色の大部分が紅または黄色に変わり緑色がほとんど見えなくなった最初の日のことです。東京では、気象庁敷地内のカエデと清麿公園のイチョウの木が観察木となっています。東京における2006年のイチョウの紅葉日は11月24日でした。これは平年より5日遅くなっています。同じくカエデの紅葉日は11月29日。平年より一日遅くなっています。(「2007年3月の生物季節観測速報」地球ウオッチャーズのHPより)

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落葉日

落葉木の葉が全体の約80%落葉した最初の日。2006年の東京のイチョウの落葉日は、11月4日で、平年より8日遅く、カエデの落葉日は、12月16日で平年より7日遅くなっています。(「2007年3月の生物季節観測速報」地球ウオッチャーズのHPより)

このように見ると、温暖化は着実に進んでいるということでしょうか。

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初見日

生物季節の観測対象となっている鳥や昆虫などの動物を初めて見た日です。東京では、ツバメ、シオカラトンボ、アキアカネが初見日の対象になっています。観測場所は気象庁付近の大手町周辺です。2007年の東京におけるツバメの初見日は4月28日。平年より25日遅くなっています。(「2007年3月の生物季節観測速報」地球ウオッチャーズのHPより)

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初鳴日

生物季節の観測対象となっている鳥や昆虫の鳴き声を初めて聞いた日のことです。東京では、ウグイス・ヒグラシ・アブラゼミ・ミンミンゼミ・モズが観測対象になっています。2007年の東京におけるアブラゼミの初鳴きは7月21日。平年より6日早くなっています。

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終見日・不時現象

この他、最後に見た日を終見日といいます。これも気候の変化を知るにはよい資料となります。また、不時現象といって、秋にサクラが開花するなど、季節の変化にそぐわない現象も記録されています。気象の変化に敏感な植物や動物の行動を観測することで、気候の変化を身近に感じることができるでしょう。

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