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外来語の普及から読み解く戦後史〜part.3
著者 木村 傳兵衛

外来語の普及から読み解く戦後史〜part.3

ピーナッツ(1976年に登場のカタカナ語)  peanuts

ロッキード事件で用いられた賄賂額の暗号。丸紅からロッキード社に渡された領収書にピーナッツ100個などと記され、検察の調べでピーナッツ一個が100万円の意味とわかった。なお、この年の流行語には記憶にございませんがある。

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記憶にございません

1976年のことば。ロッキード事件の国会証人喚問は2日間にわたってテレビ中継された。事件の核心に迫る質問に対して証人たちが申し合わせたように答えたこのセリフに国民は苛立ち、唖然とした。

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カラオケ(1977年に登場のカタカナ語)  karaoke

カラ(空)のオーケストラ、略してカラオケ。発祥地は日本の大阪。花見や海、山の行楽にカラオケセットが持ち込まれるようになり、騒音公害がいっそう広がった。なお、この年の流行語にはとんでるがある。

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とんでる

1977年のことば。若い女性の間で、カッコイイ感じを調子をつけて「とんでるう!」などと言うのが流行した。そんな若い世代は、〈ニューヤング〉と呼ばれた。

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ギャル(1978年に登場のカタカナ語)  gal

新しいファッションに身を包んだ尖がった女性のことを意味したが、しだいに若い女性たち全般を指すようになる。英語のガールから。この年、雑誌「ギャルズ・ライフ」創刊、翌年には沢田研二の「オー!ギャル」がヒット。なお、この年の流行語には普通の女の子に戻りたいがある。

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普通の女の子に戻りたい

1978年のことば。人気アイドルグループ・キャンディーズの3人組が、突然グループを解散すると宣言。解散の理由が「普通の女の子に戻りたい」。普通の女の子がみなタレントになりたがる時代に、3人は「普通のほうがいい」と。

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キャリア・ウーマン(1979年に登場のカタカナ語)  career woman

アメリカでベストセラーとなった本の名で、主要企業の経営幹部になった25人の女性へのインタビューをまとめたもの。オフィス・レディからキャリア・ウーマンへと男性と対等の立場で仕事をしていく気運が高まってきた。なお、この年の流行語にはウサギ小屋がある。

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ウサギ小屋

1979年のことば。「日本人はウサギ小屋とさして変わらない住宅に住む、仕事中毒者」と欧州共同体(EC)委員会が対日戦略基本文書で決めつけた。

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ニュー・リーダー(1980年に登場のカタカナ語)  new leader

政界の新しい指導者たち。衆参同日選挙スタート直後の、大平首相の入院を契機に、自民党内での河本、安倍、竹下ら実力者予備軍によって主張・喧伝されたもの。なお、この年の流行語には竹の子族がある。

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竹の子族

1980年のことば。東京・代々木公園や歩行者天国では、奇妙で突飛な衣裳を着た若者たちが踊りまわる異風景が定着。流行の発信源は原宿・竹下通りにあるブティックの「竹の子」という店。

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シー・レーン(1981年に登場のカタカナ語)  sea lines

有事のとき国民が生存し、また戦争遂行上確保しなければならない海上連絡交通路。鈴木首相が訪米に際して「アメリカ第七艦隊のインド洋対応で手薄になった日本周辺海域を日本が守るのは当然」と発言し、論議を呼んだ。なお、この年の流行語には指示待ち世代がある。

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指示待ち世代

1981年のことば。 言われたことはテキパキこなすが、言われるまでは何にもしない、それが「指示待ち世代」。この年の新入社員の傾向を指すことばとして多くの大人たちから共感を集めた。

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ハイブリッド(1982年に登場のカタカナ語)  hybrid

異種混合という意味。「ハイブリッドIC」とは混成集積回路。一般的には、少し変わったセンスだとか、ススんでるという形容詞として使われた。なお、この年の流行語にはいいともがある。

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いいとも

1982年のことば。フジテレビ系お昼のバラエティ番組「笑っていいとも!」の放送が開始。司会のタモリが電話でゲストに「明日来てくれるかな?」と聞くと、「いいとも!」という答えが返ってくる。

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エアロビクス(1983年に登場のカタカナ語)  aerobics

有酸素運動。ジョギング、水泳など、酸素を多量に摂取しながら持久的に行う全身運動によって、心肺機能を高め、血管を活性化しようとする「エアロビクス」という新語がたちまち普及。なお、この年の流行語には軽薄短小がある。

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軽薄短小

1983年のことば。不況の時代に、これだけは売れるという商品は、小型ステレオ、軽自動車、パソコンなど。これらに共通した特徴は、「軽い」「薄い」「短い」「小さい」ということ。コストが安く小型で携帯に便利、という時代風潮。

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AIDS(1984年に登場のカタカナ語)  Acquired Immunodeficiency Syndrome

エイズ(後天性免疫不全症候群)がアメリカで発見されたのが81年。日本では85年に感染者第1号が確認された。漠然とした病気の脅威が世界中でエイズパニックを引き起こす。なお、この年の流行語には劇場型犯罪がある。

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劇場型犯罪

1984年のことば。グリコの社長が誘拐、監禁され、「かい人21面相」と名乗る相手から〈商品に青酸ソーダを入れた〉等の脅迫状や脅迫電話が繰り返された。このグリコ・森永事件をきっかけに、模倣犯も続出。

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パフォーマンス(1985年に登場のカタカナ語)  performance

日本社会党が新宣言草案のキャッチコピーに「愛と知と力のパフォーマンス」という表現を使って注目を集めた。現代アートの用語として頻繁に使われていたキーワードが、一般に広まることに。なお、この年の流行語には内需拡大がある。

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日本社会党

2002年11月号「構造改革論(日本社会党)」参照

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内需拡大

1985年のことば。激化する対外経済摩擦を緩和するため、内需(国内需要)を振興・拡大すること。当時繰り返されたスローガン。公共事業分野への民間活力導入、規制緩和など、政府の内需振興策が掲げられた。

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バブル(1986年に登場のカタカナ語)  bubble

シャボン玉のように内容に乏しく、やがて消滅する「泡」。中身が存在しないのに、他の市場参加者が値上がりを予想して行動すると判断して自分も需要者の戦列に加わり、そのために結果としてその市場価格の騰貴を招くというような現象がバブル経済。バブル崩壊は1991年。なお、この年の流行語には新人類がある。

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新人類

1986年のことば。高度経済成長の時代に生まれ、物質的な面で不自由が少なく成長してきた世代。自分の好き嫌いがはっきりし、個性的で感性面に優れた特性を有し…という60年代生まれの若者たちの活躍ぶりが世の中を賑わせた。

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JR(1987年に登場のカタカナ語)  Japan Railways

1987年、国鉄は115年の歴史を閉じ、7つの会社に分割された。日本国有鉄道の略称「JNR」の国有(National)のNを除いた〈JR〉が新しい略称。なお、この年の流行語には朝シャンがある。

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朝シャン

1987年のことば。資生堂のCM“朝のシャンプー”というフレーズが高校生の間で簡略化されたもの。朝食は抜いてもシャンプーはするという朝シャン派が女子高校生の大半を占めるという流行現象(?)が毎朝のシャンプー。

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ボーダーレス(1988年に登場のカタカナ語)  borderless

境界のないこと。企業の多国籍化が急速に進行。「ボーダーレス・エコノミー」は国境のない経済。日本の預金通貨銀行の対外資産も急激に高まった。なお、この年の流行語にはペレストロイカがある。

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ペレストロイカ

1988年のことば。ソビエト共産党のゴルバチョフ書記長が打ち立てたソ連の改革政策(ペレストロイカ)は、世界中から好感をもって迎えられ、その成否が注目を集めた。

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ゴルバチョフ  Gorbachev, M.

初代で最後のソ連大統領。1985年3月、チェルネンコ書記長の死去にともない、書記長。ペレストロイカとグラスノスチの政策を推進。90年3月初代ソ連大統領。91年8月の「3日間クーデター」以後、急速に政治勢力を失い、91年12月、事実上失脚した。

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セクハラ(1989年に登場のカタカナ語)  sexual harassment

性的いやがらせ。「セクシャル・ハラスメント」は、たちまちのうちに「セクハラ」と短縮されて流通した。なお、この年の流行語にはおたくがある。

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おたく

1989年のことば。幼女連続誘拐殺人事件が大きな衝撃をあたえたが、アニメ、ビデオなどで囲まれたこの事件の犯人の日常生活ぶりから〈おたく〉がスポットライトを浴びることに。

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幼女連続誘拐殺人事件

1988年、埼玉県入間市でわいせつ目的で幼女を誘拐し殺害する事件が起きた。殺害した幼女の自宅に骨片を届けたり、「今田勇子」の名前で犯行声明文を送りつけるなど過去に例を見ないほど残忍なこの事件で逮捕された犯人は、全部で4件の幼女誘拐殺人を自供。1997年に東京地裁で死刑を言い渡された後、控訴したが、06年1月17日死刑が確定した。

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グローバリズム(1990年に登場のカタカナ語)  globalism

冷戦が終結して、市場経済が世界的に拡大。サミットでは「グローバル化」「グローバリゼーション」が合言葉となった。なお、この年の流行語にはマルチメディアがある。

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ポスト冷戦

2002年09月号参照

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マルチメディア  multimedia

1990年のことば。発達著しいコンピュータと従来のマス・メディアを融合した新しいメディアの概念として各方面から連呼されるようになったことばだが、パソコン普及前の時代なので庶民にはいま一つピンと来ず。

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