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戦いは深刻じゃなければとびきりのお祭りだ

戦いはとびきりのお祭りだ

スポーツの祭典

祭典とは神をまつる儀式のこと。そして単にお祭りのことも指す。そしてオリンピックは最大の「スポーツの祭典」であるが、少し前までは「アマチュアスポーツの」祭典と言われていた。大学スポーツの祭典といえばユニバーシアード。モータースポーツの祭典、市民スポーツの祭典、など大きなスポーツのイベントの枕詞として必ず使われる。

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祝祭

同じfestivalでも、ことサッカー競技においては、祝祭と訳されることが多い。ヨーロッパサッカーの祝祭といえば欧州選手権。単にサッカーの祝祭といえばワールドカップを指す。単なるお祭りではなく、「祝い祭る」というところにより一層おめでたい感がただよう。

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国威発揚

国の威光をさかんにすること。ワールドカップやオリンピック、そして万博は、世界へ自国を知らしめる格好の機会として、また国民のナショナリズムを高揚させる絶好の機会でもあるとして政治的思惑が大きく働く。空港建設や道路建設などのインフラ整備が行われるため、国の復興の手段として有効に働く。しかし、同時多発テロを受けた戦争に対するブッシュ政権の国威発揚に利用された2002年のソルトレーク五輪は「アメリカのアメリカによるアメリカによる五輪」と揶揄され、閉会式をボイコットする国も現れた。

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ぷちナショナリズム

2004年版本誌掲載。以下、

2002(平成14)年開催の日韓サッカー・ワールドカップ、日本語ブーム、内親王ご誕生など、ポップに愛国心を謳歌する若者を「愛国ごっこ」とよんだのが精神科医香山リカ。『ぷちナショナリズム症候群』(中公新書ラクレ)の余勢をかって福田和也と対談『「愛国」問答』(同)が企画されたが、「対談が喫茶店でコーヒー一杯とはなにごとか」と福田に怒られる。

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オリンピック  Olympic

本誌1960年版掲載。以下、

ギリシアのテルフェウス河を約11マイルさかのぼった北岸に聖地オリンピアがあり、ギリシャ神話の首神ゼウスをまつる神殿がある。ここで紀元前9世紀ごろから紀元393年まで行われていた奉納競技を、フランスのクーベルタン男爵(1863〜1937)が復活を提唱(1892年)、近代オリンピックが生まれた。第1回大会は1896年ギリシャの首都アテネで開かれた。「オリンピックは勝つことが目的でなく、参加することに意義がある」のことばはロンドンの一神父の日曜説教(1908年)からクーベルタン男爵が取り、オリンピックの理想とした。したがって1位から3位までの入賞者に金、銀、銅のメダルが、4位から6位までにはいった者にディプロマ(表彰状)が贈られるだけで、対抗戦でないので正式には採点は行われない。五輪の旗は1914年にクーベルタン男爵により作られ、20年の第7回アントワープ大会から、主競技場にひるがえった。白地で縁をつけず、中央にオリンピックを通じて結びついた5大州を表す五輪旗をW型に組み合わせたもので、その順序は左から青、黄、黒、緑、赤となっている。標語は「より速くより高くより強く」のラテン語文字が1926年に採用された。旗、標語ともにIOCの独占的所有物で、商業上の商標などに使用することは厳禁されている。

※編集部註:「オリンピック開催国はその後発展する」「オリンピック開催は先進国入りへの重要なステップ」などともいわれる。根拠は乏しいが、オリンピックを開催国となるに当たっては、それだけの運営能力(国家基盤の充実や政治力、ホスピタリティなど)を有する(または有する見込みがある)と多くの国が認める必要があるわけで、その後に発展する素養を自動的に有しているからであると思われる。

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ステート・アマ(チュア)

1987年版本誌掲載。以下、

国家によって養成されたアマチュアのスポーツ選手。〈オリンピックだけが東側のステート・アマの参加を認め,西側のプロを排除していると,スポーツ界の潮流に目をつぶった偽善的なアマチュアリズムという見方が浮かび上がってくる。〉読売1986.2.19

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誘致合戦

ワールドカップ開催地決定に当たって、FIFAの査察チームなどは王室のようなもてなしを受けるという。06年開催地決定までも、南アフリカ、イングランドなどがしのぎを削り、イングランドの招致費用は1077万ポンドといわれた。日韓ワールドカップの際も多くの自治体が税金を投じてキャンプ地誘致合戦を繰り広げた。川崎市は誘致活動に2000万円、施設整備に2億円かけたが、誘致に失敗。巨額の借金のツケは住民に回ってくる。ちなみに今回のワールドカップでは、スイスの高級リゾート地ウェギスがブラジルを滞在費無料で招致。超高級ホテルを用意し、練習グラウンドの芝は本番会場と同じものに張り替えるなど至れり尽くせり。世界のセレソンのキャンプ地になることで町おこしを狙っている。

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余剰設備

ワールドカップ日韓大会のために設立された埼玉スタジアムは建設費用356億円。年間運営経費から収入見込みを引いた年間収支は約4億円のマイナス。同じく横浜国際総合競技場は建設費用603億円をかけ、年間収支は約6億円のマイナス。新潟スタジアムは建設費用309億円をかけて年間収支は3億円のマイナス。といずれも大赤字で、国や地方交付税や補助金で補填されてもまだ生じる収支の差は自治体が補填することになる。交通インフラが整備されていると言い切れない場所に設立されたスタジアムも多く、陸の孤島のような場所に突然ぽつんとスタジアムが登場する。例えば埼玉スタジアムに行くためだけに作られたかのような埼玉高速鉄道は、長年赤字経営を続けたが、しなの鉄道の経営で辣腕を振るった杉野正を社長に経営再建を図り、2004年に基礎収支を初めて黒字とした。

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フーリガン

2003年版本誌掲載。以下、

英語で、愚か者のこと。語源は19世紀末、ロンドンで暴れた不良グループのリーダー「フールハン」一家から。日韓同時開催のサッカー、ワールドカップで最も懸念された悪質なサッカーファン。

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ローリガン

→2002年6月号参照

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スポーツと暴力

本誌2006年版掲載。以下、

スポーツは人間の攻撃性を発散させ、精神の健全化に資するというカタルシス論もあるが、これとは反対に、サッカーなどのスポーツ競技が観客やファンによる暴力行為を招くこともある。暴力映像の場合と同様に、攻撃的スポーツには、観客の攻撃性を昂進する働きがあるが、スポーツには、観客の攻撃性を刺激するさらに別の要因もある。スポーツには勝敗がつきものなので、ひいきチームが負けるとファンは欲求不満状態におかれる。また、国際的スポーツ競技はしばしば国の威信をかけて行われるので、負けると集団としてのプライドが傷つく。オリンピックに熱心な国ほど、国際紛争に関与することが多いという資料もある。

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