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いろいろなリミットに関する数字のお話
著者 白鳥 敬

いろいろなリミットに関する数字

パイロットの視力制限

鳥は空を飛びながら、飛んでいる小さな昆虫や地上の小動物を見つけて捕まえます。このことから見ても、鳥の視力は相当よいのだろうと考えられています。パイロットも同じで、やはり視力がよくないといけません。では、パイロットになるには、どれくらいの視力が必要なのでしょうか。パイロットの視力については、航空法施行規則に定められています。それによると、プロのパイロットとして仕事をするためには、裸眼で左右とも1.0以上なければなりません。自家用パイロットの場合は少し基準が緩くて、裸眼で0.7以上。ただし、どちらも眼鏡をかけて基準を満たせばOKです。その場合は、免許証に予備の眼鏡を携帯すること、と但し書きがつけられます。

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ジオプトリー

パイロットになる場合、視力が悪くても眼鏡で矯正して要求される基準に達すれば問題ないのですが(→別項)、実はその眼鏡のレンズにも基準があります。プロパイロットの場合は、±6ジオプトリーを超えないレンズで1.0以上に矯正できなければならず、自家用パイロットの場合は、±8ジオプトリーを超えないレンズで0.7以上に矯正できなければなりません。

ジオプトリー(記号:D)は、眼鏡レンズの屈折度を表す単位で、焦点距離1mのレンズを1ジオプトリーとし、その逆数で表します。焦点距離が0.5mだとジオプトリーは2Dです。数値が大きいほど屈折率が大きくなります。

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機内持込み手荷物の重量制限

機内持込み手荷物の重量制限は、航空会社によって違いますが、全日空国内線の場合、最大10kgまでの荷物を機内に持ち込むことができます。これは1人につき1個となっていますから、1kgの物を10個持ち込むというわけにはいきません。大きさも3辺の合計が115cm以内と決まっています。また、小型の飛行機では、5kgまでとなっています。大型機の場合、500席以上設定されている機種もあるのですから、10kg×500人分=5トン分にもなります。

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新弟子検査の身体基準

元力士でスポーツキャスターの舞の海さんは、身長168cmだったため、頭にシリコンを入れて173cmにして新弟子検査に合格した話は有名ですね。当時は、新弟子検査の身体基準は、身長173cm以上、体重75kg以上でした。現在は、第1検査と第2検査に分かれていて、第1検査は、身長173cm以上、体重75kg以上の体格があれば入門が許可されます。この基準に達してない人は、第2検査を受けます。こちらは、身長167cm、体重67kg以上あって、背筋力やハンドボール投げなど8項目の検査に合格すれば、入門が許可されます。この各検査項目の基準は、同世代男子の平均程度なので、身長167cm以上、体重67kg以上あればお相撲さんになれるのです。これなら筆者もお相撲さんになれそうですが、年齢が23歳未満でないといけないそうです。残念。

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ジェットコースターの身長制限

遊園地のアトラクションには、それぞれ身長制限や年齢制限があります。一定以上の体格がないと座席にきちんと固定できない場合があり、大きなGがかかったとき飛び出してしまうおそれがあるからです。いくつかの有名なジェットコースターの身長制限を調べてみました。よみうりランドのホワイトキャニオンは110cm以上、横浜の八景島シーパラダイスのサーフコースターは120cm以上、富士急ハイランドのドドンパでは130cm以上となっています。2005(平成17)年度の学校保健統計(文部科学省発表)によれば、いわゆる「年長さん」の平均身長が男子で110.7cm、女子で109.9cmということですので、就学する頃には大体ホワイトキャニオンには乗れるようになるということですね。なお、ドドンパには小学3年生くらいになれば大体乗れるようです(男子133.6cm、女子133.5cm)。

ちなみに1900(明治33)年の子ども達にあてはめると、ホワイトキャニオンには小学2年生にならないと乗れず、ドドンパにいたっては中学生にならないと乗れなかったことになります(男女とも)。もちろん当時の日本に本格的なジェットコースターはありませんでしたが。

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宅配便の重量制限

宅配便はすっかり現代生活に根づいています。これなくしては、仕事もできないし、故郷のお母さんから野菜を送ってもらうこともできない、といっても過言ではありません。この宅配便は、いくら大きくても、いくら重くてもいいというわけではありません。会社によって違いますが、ヤマト運輸では、「160サイズ」と呼ばれる、荷物の3辺の合計が160cm以内・重量25kgまでの荷物が、宅配便で送ることができる最大サイズです。これを超える荷物は、宅配便ではなく別のサービスの扱いになります。佐川急便の宅配便では、3辺の合計が160cm以内の「160サイズ」で30kgまでで、それ以上の荷物は、別のサービスで扱われます。

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深視力

自動車免許を取得する際の制限のひとつに、視力があります(矯正視力で片眼0.3、両眼0.7。片眼が0.3以下、もしくは片眼が見えない場合はもう一方の眼が0.7以上、視野150度以上)。このほかにも、大型免許や2種免許を取得する際には「深視力」というものも検査します。通常の視力検査は遠くを見る能力を測るためのものですが、深視力は遠近感や立体感を把握する能力を測るためのものです。なお、自動車免許は、あるところまで技量と知識が身に付くと、実際に道路に出て運転する路上教習に移ります。路上教習を行うためには仮免許を取得しますが、有効期間は6か月ですので期間内に免許を取得しないと、それまでの努力が水の泡ということにもなりかねません。

ちなみに飛行機の操縦練習をする場合は、「操縦練習許可書」が必要になります。航空身体検査を指定された病院で受け、申請書類とともに国土交通省に提出すると発行してもらえます。視力については遠距離視力・中距離視力・近距離視力と3種類の視力をクリアしなくてはなりません。また、事業用の1種免許と自家用(および航空機関士)の2種免許では基準が変わってきます。

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飛行機の制限速度

車の制限速度は、高速道路では100km/時、速度指定のある区間は指定された速度です。一般道も、標識で指定された速度が制限速度になります。実は飛行機にも制限速度があり、航空法で次のように決められています。管制圏(飛行場の周辺の半径9kmの範囲)の中では、900m以下の高度では、ピストンエンジンを装備するプロペラ機は160ノット(296km/時)、ジェット機は200ノット(370km/時)、高度900m以上では250ノットとなっています。それ以外では、計器飛行方式で飛ぶ飛行機は管制官から速度を指示されたらその速度で飛ばないといけません。自由に見える空でも、やはり交通ルールは守らなければならないのです。

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レイティング(映画の年齢制限)

映画の中の性描写や暴力シーンなど子供に悪影響を与える場面がある映画は、年齢制限(レイティング)を表す記号がついています。日本ではRG−12(12歳未満の児童は保護者の同伴が必要)、R−15(15歳未満の鑑賞禁止)、R−18(18歳未満の鑑賞禁止)となっています。アメリカでは、G(誰でもOK)、PG(児童が鑑賞するときは親の指導を伴うこと)、RG−13(13歳未満は親の同伴が必要)、R(17歳以下は親の同伴が必要)、NC−17(17歳以下は鑑賞禁止)となっています。

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レイティング(テレビゲームの年齢制限)

映画と同様ゲームにも、暴力シーン・性表現・犯罪的内容・差別的な表現などの度合に応じてレイティングが行われています。それによると、A(全年齢対象)、B(12歳以上対象)、C(15歳以上対象)、D(17歳以上対象)、Z(18歳未満禁止)となっています。ゲームも映画と同じくらいの影響力を持つようになってきているというこなのでしょうね。

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