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船と飛行機、港にまつわる単位と数値
著者 白鳥 敬

船と飛行機、港にまつわる単位と数値

港の信号

お台場や横浜港など、港へいくと、塔の先端に文字を表示している灯台のような建築物を目にすることがあると思います。そして、そこには、「F」などのアルファベットが点滅しています。これはいったいなんでしょうか。

これは港に出入るする船舶の航行を管理する信号所です。横浜港では、「F」は「自由信号」で、「総トン数1万5000トン(油送船は総トン数1000トン)以上の船舶は入港禁止」、「I」の点滅は、「入港信号」で「入航船は入航可、総トン数500トン以上の船舶は出航禁止」、「O」は「出港信号」で「出航船は出航可、総トン数500トン以上の船舶は入航禁止」、「X」の点灯は「禁止信号」で「港長の指示船以外入出航禁止」となっています。

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トンのいろいろ  ton

船の大きさを表す単位にトンがあります。トンにはいくつもの種類があります。「排水トン」は、船の水中にある部分が押しのけた(排水した)水の質量で表したもので、主に軍艦などで用いられます。「重量トン(載貨重量トン)」(DWt)は、貨物の積載量を質量で表したもので、貨物船などで用いられます。「総トン」(gross ton)は、船の全容積を表しており、客船で用いられます。100立方フィートを1トンとして計算します。「容積トン」は貨物の積載量を容積で表したもので、40立方フィートを1トンとしています。戦艦大和の満載排水量は7万2809トン。

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ノットの由来  knot

船や飛行機の速度はノットで表されます。ノットは、昔は縄の結び目のことを言いました。船から一定間隔に結び目(knot)をつくった縄を垂らして、一定時間に流れた結び目の数を数えて速度を知ったことからノットという単位が作られたといいます。ノットは、1時間に1ノーチカルマイル(海里)進む速さです。1ノーチカルマイルは1852メートルです。1ノーチカルマイルは、緯度1分に相当するので、チャートをみて航法計画をたてるときに便利です。

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ゼブラタイム/インディアタイム

現在の協定世界時(UTC)(以前のグリニッジ標準時)のことをZ(ゼブラ)タイムと呼ぶことがあります。この方式では、日本標準時は、I(インディア)です。18世紀に、Bowditchという人が書いた航海術の本に記されたのが始まりで、地球を経度15度ごとに25のゾーン(Z-12とZ+12は重なっている)に分け、グリニッジ標準時をZ(ズールーまたはゼブラと読む)とし、東の方向に、時差プラス1時間ごとに、ABC・・・と割り振ってMまでいき、続いて、Z-1時間をNとしてまた、順番にYまで割りふられています。その後、海軍など航海に関わる分野で使われてきました。Jは除かれています。現在の日本では、あまり使われることはありませんが、気象庁が出す天気図の時刻などには、現在も0300Z(UTCで午前3時、JSTで午後0時)などと表記されています。

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インフォメーション・アルファ

ABC・・・と順番に割り振られていく情報があります。航空機に対して飛行場の情報を自動送信しているATIS(automatic terminal information service)と呼ばれる情報です。羽田や成田など大きな飛行場で行われている情報サービスで、使用滑走路、風向風速、視程、雲の状態、気温、気圧などの情報が、30分または1時間ごとに録音された音声で繰り返し放送されています。この情報は更新されるごとに、A(アルファ)から順番にZ(ズールー)まで繰り返し付けられます。インフォメーション・アルファといえば、情報の識別符号がAであるということです。

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フォネティックコード  Phonetic Code

昔の無線通信は、短波帯が中心でノイズが多くて相手の声が聞き取りにくい場合が多かったので、メッセージを確実に伝えるため、フォネティックコード(通話表)が考案されました。Aを「アルファ」、Bを「ブラボー」、Cを「チャーリー」などと呼んで識別しやすくするものです。ここでは、全部を紹介しきれませんが、変わった読み方をするものとして、F(フォックストロット)、S(シーエァラァ)などがあります。日本語にも和文の通話表があります。戦前につくられたので、現在ではあまりピンと来ないものもあります。たとえば、チは「ちどりのチ」、ミは「三笠のミ」、ユは「弓矢のユ」といった具合です。

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飛行機の大きさを表す単位

船の大きさを表すトンには、総トンとか排水トンとかいろいろありますが、では飛行機はどうでしょうか。飛行機の重量も船と同様、いくつもの重量があります。普通に重量といえば、最大離陸重量(Maximun take off weight)のことをさします。最大離陸重量というのは、その飛行機が離陸可能な最大の重量で、機体の重量、燃料、搭載物、搭乗者すべてを足した重量です。大型機は、脚の強度の関係で、最大離陸重量では着陸できないので、最大着陸重量(Maximum landong weight)が決められています。たとえば、ジャンボジェット(B747-200B型)の最大離陸重量は約350トン、最大着陸重量は約256トンです。この他、燃料と乗客貨物を搭載しない状態をいう「自重」、燃料が零になったときの構造強度上許される最大重量である「零燃料重量」などがあります。

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滑走路の番号

羽田空港の滑走路は、A滑走路、B滑走路、C滑走路などと呼ばれますが、航空機を運航する場合は、滑走路番号で呼びます。滑走路の端には、34とか16という数字が描かれています。これが滑走路番号です。この数字は、滑走路の方位(磁方位)の1桁目を四捨五入して2桁の数字で表したものです。たとえば、磁方位が337度なら「34」、磁方位21度なら「02」となります。通常は、英語で「ランウェイ34(スリーフォー)と言います。羽田空港のように滑走路が2本並んでいる平行滑走路の場合は、向かって左の滑走路に「L」(レフト)、右に「R」(ライト)をつけて、「34L(スリーフォーレフト)」、「34R(スリーフォーライト)と表示します。

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滑走路の幅を表す記号

エアライン各社は、着陸時に、客室のディスプレイに滑走路に接近していくようすを映してくれますから、滑走路末端に縦縞模様が描かれているのに気づいている方も多いことでしょう。これは、滑走路末端標識といって、その数で滑走路の幅を表しています。16本の縦じまが描かれていれば幅60メートルの滑走路(羽田など)、12本描いてあれば、幅45メートル(函館、富山など主に地方の飛行場)、8本の場合は幅30メートルの飛行場です。一本の縦縞の長さは30メートル、幅は1.6-1.8メートルあります。

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滑走路の勾配

滑走路はアップダウンのないきれいな平面になっている、と思っておられる方も多いと思いますが、実は、けっこうアップダウンがあります。滑走路の端から離陸する方向を見てみると、真ん中あたりが谷のようにへこんで見えたり、前方がせり上がって見えたりする滑走路があります。理想を言えば、勾配のない滑走路にすべきなのですが、地盤や地形の関係からどうしてもアップダウンができてしまいます。そのため、一定の範囲を決めて、路面の勾配を認めています。いろいろ細かな条件がありますが、簡単にいえば、滑走路の縦方向(長辺方向)は最大1%までの勾配が認められています(航空法施行規則79条の3)。1%の勾配があると、3000メートルの滑走路では、両端で高さが30メートルも違うことになります。

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