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復活・リメイクのキーパーソンからキーワード
 

体操

1960〜78年の世界大会10連覇(男子団体)など、かつての日本体操界はまさに黄金時代であった。近年も花形選手はいたものの、メダルになかなか手が届かない時期が続いていた。しかし2003年8月のアナハイムの世界選手権で、鹿島丈博選手が鞍馬と鉄棒の2種目で金メダルを獲得、体操界に吉報をもたらした。

鹿島丈博(かしまたけひろ)

1980年生まれ、大阪府出身。3歳から体操を始める。95年、全日本選手権種目別鞍馬で男子史上最年少優勝。同じ種目で2002年の釜山アジア大会、世界種目別選手権で銅メダルを獲得。2003年8月、アナハイム(米)で行なわれた体操世界選手権で鞍馬と鉄棒の2種目で金メダルを獲得。日本勢は鞍馬が苦手とされており、これまで優勝したことがなかった。また、個人種目の2冠は74年の笠松茂以来。同年11月に紫綬褒章を授章。年齢制限(55歳以上)撤廃後の初の授章者となる。

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鞍馬(あんま)

体操競技の一つ。支持形の種目で、用具は牛革張りの台上に2つの取っ手(ポメルという)がついているもの。大きく分けて、前後に足を交差させる「振動技」と、両足、開脚などの「旋回技」の2種類がある。正確性やスピード、バランスなどが要求される技で、日本体操界にとっては長らく「鬼門」とされていた。

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笠松昭宏(かさまつあきひろ)

1976年生まれ、愛知県出身。父はミュンヘン五輪(1972)、モントリオール五輪(1976)などに出場し、跳馬の「笠松跳び」で有名な笠松茂。母・和永も五輪代表。全日本選手権などで好成績をあげ、2000年にはシドニー五輪に出場、団体4位。左肩の不調に泣いたが、2002年9月、中日カップ名古屋国際大会最終日では、男子鞍馬で2年ぶり5度目の優勝。鹿島丈博のライバル的存在。アナハイムの世界選手権にも参加したが、決勝には出場できず。

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塚原直也(つかはらなおや)

1977年生まれ、東京都出身。父光男は鉄棒で「月面宙返り」を史上初めて発表した金メダリスト。母・千恵子もメキシコ五輪代表。ロシア人のアンドリアノフコーチや両親に指導を受けた。インターハイ2連覇、NHK杯3連覇、全日本選手権5連覇を達成し、日本のエースとなる。2000年シドニー五輪では団体4位。アナハイムの世界選手権では個人総合7位。団体決勝の銅メダル獲得に貢献。

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山脇佳奈(やまわきかな)

1984年生まれ、岐阜県出身。父はロサンゼルス五輪(1984)で吊輪6位の山脇恭二。1997、98年の全日本ジュニア選手権個人総合優勝。1999年、世界選手権団体13位、同年、国際ジュニア個人総合優勝。2000年シドニー五輪では個人総合で28位。

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ウルトラE

「ウルトラC」は、C難度(最高の難度)を越える超絶的な難度の演技。東京オリンピックでの日本体操の活躍から流行語になり、一般に浸透した。ウルトラEはさらにその上をいく難度の演技。山脇佳奈は、2000年のNHK杯の段違い平行棒でウルトラEの「伸身新月面宙返り降り」のオリジナル技を成功させ、女子個人で優勝。シドニー五輪出場を手に入れた。

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低迷

日本の体操競技はローマ五輪(60)から78年の世界選手権まで男子団体が10連覇するなど、王座に君臨していたが、その後低迷。モスクワ五輪(80)のボイコットを経て、ロサンゼルス五輪(84年)では、具志堅幸司が個人総合と吊輪で金、森末慎二が鉄棒で金、団体総合で銅メダルを確保。ソウル五輪(88)では、西川大輔、池谷幸雄の活躍で団体で銅を確保したが、メルボルン五輪以降に出場した大会では初めて金を逃した。そして、アトランタ五輪(96)では、体操陣のメダルはゼロに。

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アンドリアノフ,ニコライ

1952年、旧ソ連ウラジミール生まれ。72年ミュンヘン五輪の床、76年モントリオール五輪の個人総合、床、つり輪、跳馬、80年モスクワ五輪の団体、跳馬で金メダル。男子最多15個の五輪メダルを獲得している。塚原光男とは現役時代ライバルだった。82〜92年はソ連代表コーチだったが、94年に朝日生命体操クラブの男子ヘッドコーチに就任、塚原直也をシドニーへ導いた。現在はロシアに戻っている。

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強化計画

日本体操協会は、シドニー五輪で男子団体がメダルを逃し、女子は出場権すら取れなかったという結果を受けて、01年からアテネ五輪に向けた強化計画を実施。02年末には強化部門を完全に独立させ、最高責任者に塚原光男(塚原直也の父)、男子監督に順天堂大(鹿島は同大出身)の加納実監督を当てた。「選手を抱えている指導者を現場に置く」ことで、指導の一貫性と責任の所在の明確化をはかったとされる。

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