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“白い”の基準と数字の特集
著者 白鳥 敬

“白い”の基準と数字の特集

白装束が必要なのは誰?

山道を占拠している白装束の集団が一時、話題になりました。衣服も車も白。眼鏡のつるまで真っ白。外界と隔離した環境で集団行動をとるグループは一般社会から見ると不気味に見えますが、しょせんは、子供の頃にやった秘密基地遊びの延長みたいなものでしょうか。ま、迷惑千万であることは間違いありませんが。

ところで、白装束の意味は、彼らによれば、スカラー電磁波と称するものから守るためだそうですが、何人かの物理学者がテレビで解説しているとおり、スカラー電磁波というものは存在しません。それどころか、いかなる電磁波も色がなんであれ布では防ぎきれません。どうしても「衣類」で電磁波から体を守りたいという人は、銅やニッケルなど導電性の金属をコーティングした繊維を使った電磁波防護服などがあるので、それを使えばいかがでしょう。

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マスクでSARSを防げる?

新型肺炎SARSが、中国・台湾を中心として大流行しています。日本も対岸の火事では済まなくなるかもしれません。さてSARSは、コロナウイルスという、0.12-0.16マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリメートル)くらいの大きさのウイルスが原因でおこりますが、SARS対策として有効なのがマスクの着用とされています。しかし、普通のマスクではだめです。「N95」と呼ばれる高性能のマスクが必要なのです。「N95」というのは、CDC(アメリカ疾病対策センター)のガイドラインに適合したもので、0.3マイクロメートル以上の大きさの粒子を95%以上シャットダウンできるとものをいいます。SARSウイルスの大きさからみると、N95でもまだ十分とは言えない感じですね。

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紫外線を防ぐには白の傘? 黒の傘?

強い日差しが照りつける屋外を、黒い日傘をさしてあるく女性の姿をしばしばみかけるようになりました。暑い日中に黒い傘なんていかにも暑苦しそうですが(じっさいに暑い)、黒い傘のほうが、白い傘よりも紫外線を遮る力が高いのだそうです。資料によって数値はばらばらですが、素材が綿で白い色の布の紫外線遮へい率は66.5%、黒い布では95.8%というデータがあります。これを見るとやはり傘は黒ですね。

また、クラレでは、特殊なセラミックスを繊維に練り込み、紫外線を遮へいする「UXV」という素材を製造しています。この繊維の紫外線遮へい率は90%以上だそうです。

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白色で防げるものは何?

白では意外と紫外線は防げないのですが、では白で防げるものは何なのでしょうか。まず色が白いとはどういうことでしょう。太陽の光をプリズムに通すと、その光は分解されて青紫から赤までの光の帯が見えます。つまり太陽の光(自然光)は、虹のようないくつもの色からできているのです。そしてたとえば、りんごが赤く見えるというのは、赤い光だけを反射してその他の光は反射せず吸収してしまう状態をいいます。ですから、白く見える物体は、すべての光を反射しているということになります。また逆に、黒く見える物体は、すべての光を吸収していることになります。

一方、吸収されたほうの光は熱に変わります。ですから、白い服を着ていると涼しく、黒い服を着ていると暑い(暖かい)のです。

さて、地球の反射率はどれくらいか知っていますか。地球の反射率のことをアルベド(反射能)と言います。入射光すべてを反射するときはアルベド1、すべて吸収するときは0です。海で0.03-0.1、森では0.05、雪のあるところでは0.8です。地球全体では0.39。反射率の違いによって、地球表面がまだらに熱を持つことで気象の変化が生まれるのです。

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恥ずかしいのですが、最近、白髪が…

ある程度年齢が進むといつのまにか頭髪に白髪が混じっているものです。なぜ白髪ができるのでしょうか。毛根にはメラニン色素をつくるメラサイトと呼ばれる組織があって、黒い色の元になる物質をつくっていますが、ストレスや、年齢を重ねたことによる毛根の老化によって、十分メラニン色素がつくられなくなったとき、白髪ができます。

日本人では、平均で、男性34歳、女性35歳で、白髪が混じり始めるそうです。思っていたよりも早いものですね。

「でも白髪はいいよ、無くなるよりはずっと、、、」という声もあるとか。

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洗剤のいらない洗濯機はYシャツを真っ白にできる?

洗濯物は汚れを落とし、すがすがしい白い色に仕上げたいものです。そのために、洗剤メーカーは、漂白剤入りや酵素入りなどいろいろ工夫していますが、2002年あたりから洗剤のいらない洗濯機というのが登場してきました。これはいったいどういう仕組みなんでしょうか。

あるメーカの洗剤のいらない洗濯機は、水を電気分解して得られた電解水と通常より強い機械的回転で汚れをとるものです。電解水とは水を電気分解したもので、アルカリイオン水と強酸性水ができます。強酸性水のほうを汚れ落としに使っているようなのですが、効果のほうはというと、国民生活センターの性能試験によれば、辣油、ミートソースなどのしみはよく落ちる。襟元の汚れはあまり落ちない。布のいたみを調べるテストでは、普通洗濯では約70本がほつれたのに対し、洗剤を使わないモードでは、約1700本がほつれたそうです。電気代・水道代・洗剤代の合計は1年間で、普通の洗濯と比べて、19%ほど節約できるそうです。何度も洗うと生地が傷みやすそうですが、ランニングコストは安く押さえられそうです。

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白を白に見せる演色評価数

照明器具は、それぞれの目的に応じて色を演出しなければなりません。レストランのショーウインドウは、食べ物がおいしそうに、アパレルのお店は、洋服がより鮮やかな色彩で見えなくてはいけませんね。

そのためJIS(日本工業規格)では、自然光に近い基準となる光と8種類の試験色を定め、照明を当てたときに基準光とどれくらい違うかを数値化して演色評価数を出しています。演色評価数が大きい照明がいい照明で、8種類の試験色の平均をとったものを平均演色評価数(Ra)としています。

ちなみに人間の目は、555ナノメートルの光(黄緑色)の感度がもっともいいので、この波長の光を多くすると、明るく感じます。しかし、色バランスを整えようとすると、逆に少し暗くなってしまいます。白を白に見せるか、明るくするか。照明もなかなかに奥深いものがあります。

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昼光色と昼白色はどっちが白い?

蛍光灯を買うとき、昼光色、昼白色などがあって迷いますが、これらは何が違うのでしょうか。これは、光源の色温度が違うのです。昼光色は約6700ケルビン、昼白色は約5000ケルビンとなっています。色温度が高いほど、青っぽく見えます。ちなみに、電球は約2800ケルビンです。白色は、昼白色のほうが自然に見え、昼光色はやや青っぽい白に見えます。

ちなみに、蛍光灯には3波長型というのがありますが、これは、蛍光体を工夫して、光の3原色(RGB)の波長を強調して発光させるもので、色をくっきりと見せる効果があります。

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暖かい白と冷たい白 どこが違う?

色には、色温度があります。単位はケルビン(K)です。色温度が高いと、高いほど青っぽく見え、色温度が低いと赤っぽく見えます。昼間の基準となる色温度は5500ケルビンです。PCのディスプレイは、色温度を変更できるようになっています。

普通は、色温度が6500ケルビンくらいに設定されていますが、青が強調された9300ケルビン、赤が強調された5000ケルビンなどに設定することもできます。

写真などを扱う場合は、原色に忠実なほうがいいのですが、テキストを中心にした仕事だと、ちょっと暖色系のほうが和むかな、とか、寒色系のほうがキリリとした気分になれるかなと、気分によって使い分けることができます。

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白を白にするホワイトバランス

たいていのデジタルカメラには、ホワイトバランスの設定項目があります。ほとんど「AUTO」を選択しておけば問題ないので、いじったことのない人も多いことでしょう。でも、蛍光灯で照明されている室内での撮影や、曇り空での撮影の場合は、ホワイトバランスをマニュアルで設定したほうが、色がきれいに出ることがあります。

デジタルカメラのホワイトバランスの設定とは、色温度のピーク値を変更することです。曇り空なら青っぽく写るので、暖色のほうに少しシフトして、被写体の白色がきちんと白として写るようにしています。

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