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カルトではない御仁から学んだらどうかの特集
 

イスラム穏健派

スンニー派  Sunnite

イスラム教の創始者ムハンマドのスンナ(社会慣習)に従う人の意。全イスラム教徒の90%を占める宗派で、同派教徒は少数派のシーア派と区別してみずからを「正統派」と呼ぶ。イスラム世界の歴史的発展をそのまま承認する立場であり、共同体の統一と秩序を重視、イスラム共同体の理想は漸進的・穏健な形で追求する。

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イスラム法(シャリーア)  Sharia

イスラム教徒の生活全般を規定する律法で、9世紀に成立。法源は聖典コーラン、ムハンマドのスンナ(社会慣習)、キヤース(類推)、イジュマーウ(合意)の4つ。中世イスラム世界を律したが、西欧のイスラム世界進出にともない、多くの国で近代法にその座を追われた。この全面的適用を求めて過激な活動を続けるのが、いわゆるイスラム原理主義者。

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スンナ  Sunnah

イスラム法の法源の一つであり、スンニー派の語源ともなっている。預言者ムハンマドが示した範例・モデルのこと。ムハンマドの言行録である「ハディース」によって知ることができる。「ハディース」には、宗教的な事柄にとどまらず、商業・結婚・飲食・服装など生活のあらゆる面にわたってムハンマドの言動が逸話の形で記されており、「コーラン」に次ぐ基本文献となっている。

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モダニズム

19世紀以降、近代と伝統的イスラムの調和を図ろうとしたイスラム近代化運動。原始イスラムの中に西洋近代の価値を読み取り、これを改革の基準とする。エジプトを中心とし、ジャマールッディーン・アフガーニー(1837〜97)とその弟子を中心としたサラフィーヤ運動、サイイド・アフマド・ハーン(1817〜98)をはじめとするインドのイスラム近代化などがその代表。

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ネオ=モダニズム

F・ラフマンによる造語。体系的法解釈の方法を欠くなど、従来のモダニズムへの反省に立ち、近代西洋の歴史学、解釈学、その他、人文科学の手法を用いながら、イスラムの信仰を現代に生かすべく再解釈しようとする思想。原理主義的イスラムを批判し、近代との調和を模索する立場である。

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ファズルル・ラフマン  Fazlur Rahman

1919〜1988。イスラム哲学の研究者。現パキスタン北西部出身。42年パンジャブ大学卒業後、オクスフォード大学で学ぶ。伝統的なコーラン解釈は、一部だけを切り離したものとして、全体的な解釈を重視するなど、大胆なコーラン研究に基づくイスラム法改革を提唱。ネオ=モダニズムの命名者でもある。

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ムハンマド・アルクーン  M.Arkoun

1928〜。アルジェリア出身。ソルボンヌ大学でイスラム哲学を講じる。アラブ=イスラム文化の伝統的認識を絶対視せず、歴史的批判によってその正当性を解体しようとする。とくに歴史学・社会学などフランスの最新の学問研究の方法論を適用することによってアラブの過去・現在が明確に理解され、未来が開けるという立場をとる。

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ムハンマド・アシュマーウィー  M.Ashmawi

1932〜。法曹界から原理主義批判を続ける論客。カイロ大学法学部卒。アレキサンドリア地方検事などを経て、61年に判事。欧米の大学で講義を行ない、93年に引退してからも執筆活動を続ける。「政治的イスラム」を批判し、原理主義者が国家の基礎とする「神の主権」(ハーミキーヤ)はコーランとイスラム史の誤った解釈に基づく逸脱であるとしている。

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ハタミ  Mohammad Khatami

1943〜。イラン大統領。シーア派の聖地・コムで神学を学ぶ。82〜92年までイスラム指導相だったが、保守派の攻撃を受けて辞任。97年大統領に当選。言論の自由など、改革・自由化路線を提唱。2001年6月には、8割近い得票数を得て再選された。保守派である護憲評議会と大統領支持の国会が対立する一幕も。

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エドワード・サイード  Said, Edward W.

1935〜。コロンビア大学教授。1935年、パレスチナ生まれ。1947年、同地を出国。エジプトを経て、1951年、アメリカ合衆国へ渡る。1964年、ハーバード大学にて博士号取得。専攻は比較文学。「オリエンタリズム」(1978年)では、西洋による東洋理解・支配のありようを分析した。パレスチナ問題に精力的にかかわり、同問題に関する発言・著作も多数。本人はキリスト教徒である。

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