月刊基礎知識
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再び三たび流行する病気と健康の用語集
 

その他の健康における問題点など

ステロイド剤  steroid

本誌1964年版収録。以下、

胆汁酸、心臓毒、性ホルモン、副腎皮質ホルモンなど、ステロイド核(cyclo phentanoperhydrophenanthren nucleus)をもつ,化合剤をステロイドという。このステロイドに属するホルモン製剤がステロイド剤で、雄性ホルモン、発情ホルモン、黄体ホルモン、副腎皮質ホルモンなどはこれに当たる。

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非ステロイド性抗炎剤

本誌1968年版収録。以下、

副腎皮質ホルモン剤は抗炎剤として有用であるが、その連用による副作用は軽視できない。そこでこのステロイド剤に代わる抗炎剤が強く待望されていたがまずインドメサシンが出現、これに続いて非ステロイド抗炎剤が新分野を開きつつある。なおインドメサシンの新合成技術がわが国(住友化学)で開発され内外製薬業界の注目を集めた。

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人間ドック

本誌1975年版収録。以下、

就航中の船が定期的にドック入りして総点検・整備をうけるシステムになぞらえて生れた名称。健康体として働いている人に6日〜3日間の入院で各種の臨床検査を行い、潜在する病気の発見、健康管理上の注意を指示する方式が、昭和20年代の終わり頃日本で生れ、全国的に普及してきた。入院せずに外来だけで2、3日で行う外来(通院)ドック、3時間くらいですませるミニドック、主婦に行うママサン・ドックなどもある。

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嫌煙権

本誌1979年版収録。以下、

タバコの害が説かれるにつれて「嫌煙権」という新語がひろがった。タバコのみにそばでプカプカやられ、きらいな煙を吸わされるのは迷惑、あたりかまわず煙を吐き出すのはご遠慮ねがいましようというわけで、これまで鬱積していた嫌煙派の気持ちがこの言葉で一気に吹き出た感がある。病院の待合室はどこも禁煙の掲示が出され、日航機では禁煙席がつくられる。職場では嫌煙派の女性から白い眼で見られ、スモーカーも大分肩身がせまくなってきた。

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間接喫煙・受動的喫煙  passive smoking

本誌1984年版収録。以下、

自分の意志でタバコを吸う通常の「能動的喫煙」に反して、自らの意志と無関係、あるいは意志に反して、吸煙を余儀なくされる状態をいう。タバコの煙には、喫煙者の吸いこむ主流煙と、これが吐き出されてきた煙、さらにタバコの点火部から立ちのぼる副流煙の3種類があるが、この主流煙と副流煙を比べてみると、副流煙のほうが有害物質の含有率がはるか高いことがわかった。たとえばニトロサミンという発ガン性の強い物質は、副流煙には主流煙の50倍以上も含まれている。国立ガンセンターの平山雄博士の14年間にわたる調査によると、夫の喫煙本数によって、タバコを吸わない妻の肺ガン死亡率が明らかに高くなり、夫が1日20本以上吸う場合は妻の死亡率は2.1倍にもなることがわかった。

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アパタイト人工歯根

本誌1984年版収録。以下、

合成アパタイトと呼ばれるセラミックス材料を用いた人工歯根。この合成アパタイトの最大の特徴は、生体との適合性がきわめてすぐれている点で、動物実験では、抜歯したあとのあとの骨にこの合成アパタイト製の人工歯根を埋め込むと、8週間ほどでほぼ完全に、増殖した生体骨と結合してしまう。東京医料歯科大と旭光学が共同で開発したもので、臨床成績も良好という。これまで抜歯したあとの義歯は、両隣の健全な歯に「ブリッジ」したが、この人工歯根が完成すれば直接、あごの骨に固定できるようになる。

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弗素入り歯磨き

本誌1965年版収録。以下、

歯磨きの中に適量の弗化アルカリを加えることによって、むし歯などを予防しようというもの。弗化アルカリは、歯の働きに有害なさまざまな酵素を阻止する効果がある。

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コンタクト・レンズ  contact lens

本誌1965年版収録。以下、

在来のガラスめがねに代わって登場したプラスチック製のレンズで、目(角膜)の表面に直接つけ、とりはずしも自分で自由にできる。一般には美容上の利点しか知られていないが、眼球といっしょに動くので収差がないことや、矯正視力(レンズを使用した場合の視力)の問題など眼科学的にもガラスレンズにまさるいくつかの特徴がある。目の検査に手間がかかる(約1週間)のとまだ値段の高いのが難点だが、日本でもここ1、2年愛用者が急増している。

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町の健康ランド

本誌1990年版収録。以下、

衰退をたどる銭湯の保護策として、1988(昭和63)年1月に厚生省が打ち出した「近代的な風呂屋」の構想で、サウナやアスレチック施設などを併設して、これまでの銭湯のイメージを一掃しようというもの。健康学や保健体育の専門家らによる調査研究が行われた結果、1年前と比べて、8割の銭湯で入浴客が減っており、経営者の3割が廃業を望んでいることがわかったが、一方、利用者側は公衆浴場に魅力を感じ、広々して解放感がある、湯が十分に使える、近所の人と裸の付き合いができるなど、家庭風呂では味わえないその機能に期待している人も多い。

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便秘薬ダイエット

本誌2001年版収録。以下、

排便を促す便秘薬をダイエットの手段として常用する減量法で、医学的にみてきわめて危険なもの。確かに1キログラム排便すれば体重は1キログラム減るが、便秘薬で体重が減るのは排便の分量だけ。つまり見かけの体重が減っているだけで、体の脂肪量が減少しているわけではない。さらに怖いのは、便秘薬というものは本来、水分を含ませることで便を軟らかくする作用があるので、食物中の水分が体内に取り込まれるのを妨げる働きをする。したがって、口から摂取する水分が不足すると、体内にある水分を使って便を排出しようとするので、便秘薬を常用すればますます体内の水分が不足することになる。そして体内の水分が35%を切ると、脱水症状を起こすことになる。また、水分の減少によって血液の粘性が増し、血管が詰まって脳梗塞などを起こすこともあるし、皮膚が乾燥し、血圧が低下するなど、女性としての魅力も半減するような影響も出てくる。

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唐辛子ダイエット

本誌2000年版収録。以下、

唐辛子をたっぷり使った料理を常時食べることによって減量を図ろうというダイエット法。唐辛子には脂肪を燃焼する働きや、血液循環がよくなって発汗作用を促す働きがあるということから、ダイエットにも応用することが流行しているが、栄養学の専門家たちは唐辛子がダイエットに効果があることはないと断言する。確かに唐辛子のような辛い食べ物は、消化管での吸収のとき熱に変わる割合を高め、食物の持つエネルギーを脂肪として蓄える割合を少なくする作用がある。しかし唐辛子を食べたからといって体脂肪が燃えるわけではない。脂肪1キロを燃やすためには7000キロカロリーを消費しなければならないが、唐辛子による効果はせいぜい60キロカロリー程度。食事の摂取カロリーを減らし、体を動かす運動を継続することこそがダイエットの基本であり、唐辛子の効果を期待しすぎると、辛いものは食欲を増進させる働きがあるから、食べ過ぎを招いて逆効果を招くことにもなりかねない。

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医師過剰時代

本誌1984年版収録。以下、

医大、医学部の新増設によって、医師の数は毎年増え続け、厚生省の定めた「昭和60年までに人口10万人に対して150人」という目標が58年中に達成される見通し。相変わらず地域格差は大きいが、総数ではついに17万人(56年推計)を突破している。供給がふえればサービスも向上するのが一般的な経済原則だが、医療の場合は必ずしもこの原則どおりにはいかず、質の低下した医師の氾濫と、その地域的配置のばらつき、さらにはそのことが引起こす医療費の急膨張が心配されている。

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病院倒産多発時代

本誌1984年版収録。以下、

「病院は不況知らず」という神話が崩れ始め、ここ数年来、病院の倒産が目立ち始めた。東京のある民間信用調査機関の調査によると、全国の病院倒産は、昭和54(1979)年までは、それほど目立つ件数ではなかったが、55年に39件とハネ上がったのを境に急増し、57年には43件に達しているという。ことに58年4月には、山梨県内最大級の医療機関、山梨動労者医療協会が、系列のレジャー・不動産会社へ過大投資して、負債200億円を越える大型倒産が発生し、医師過剰による過当競争の影響が出始めたものとして注目されている。さらに、高額な医療用電子機器(ME)の導入により大量の資金が国定化し、また、薬価基華が56年6月に次いで58年1月にも引下げられて収入が減るなど、病院経営はますます苦しくなっている。

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濃厚診療/過剰診療

本誌1985年版収録。以下、

健康保険を中心としたわが国の社会医療保険は「出来高払い」というシステムをとっている。つまり、医師がある病気やケガに対して、これだけの診療が必要であると判断して治療を行えば、その行った治療の出来高に応じて、医療費が支払われるのである。このように医師の自由裁量にまかされる部分が非常に大きいので、同じ病気の治療でも、医師によって1000円ですむ場合も、1万円かかる場合も出てくる。いずれも“合法”である。不正ではない。どこまでが適正な診療で、どこから濃厚診療になるのか、一般的な判断基準をつくるのはまず不可能である。だが、昭和59年2月、大板で保険医指定を取消された医師は、患者1人の診療費が大阪府下平均の7倍近い額(ある1力月で1人9万2500円〉にのぼり、「医療常識を超える状態」ということで処分の対象になった。この医師の患者の3割近くは、10以上もの病名がつけられ、中には1人の患者に9もの病名がついて、50種類もの検査が行われたというケースまであった。

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1億総近視時代

本誌1995年版収録。以下、

文部省がまとめた1993(平成5)年度学校保健統計によると、小学生から高校生までの児童・生徒の視力が年々低下して、学業に支障が出る恐れのある裸眼視力1.0未満の割合が史上最多になった。小学生24%、中学生47%、高校生62%で、この勢いで近視が増え続けると、やがて1億総近視時代がくると憂慮されている。原因としては、テレビゲームの普及や、学校教育へのビデオの導入などが考えられている。ことにテレビゲームは激しく目を動かすためストレスが溜まり、また電磁波で目が疲労する。

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環境エストロゲン  environmental estrogen

本誌1998年版収録。以下、

環境ホルモンともいう。ダイオキシン、DDT、PCB、ポリ塩化ジベンゾフランなどの有機塩素系物質、ポリカーボネート樹脂の分解生成物ビスフェノールAなど、女性ホルモンのエストロゲンと類似した作用がある物質。環境エストロゲンは生物によって分解されないため長期間にわたり環境中に残留し、生物に取り込まれると体内に蓄積して外界に比べて高濃度になる(生物濃縮)。しかも食物連鎖を通して上位の捕食者になればなるほど生物濃縮が進み、ホルモンの分泌異常を起こして正常な代謝機能をかく乱し、生殖機構を破壊するなど深刻な症状を引き起こす。若い女性に急増している子宮内膜症や乳がんの原因として、また男性においては精子の数の減少に関係している可能性が指摘され、環境エストロゲンは人類の将来を脅かすものとなりつつある。こうした事態を深刻に受け止めた国立環境研究所は、1997(平成9)年春から、環境中のホルモン様物質の生殖・発生への影響に関する研究を開始した。

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文化睡眠学

本誌1991年版収録。以下、

日本人の睡眠時間が短くなってきていることから、「堂々と昼寝や居眠りをしよう」と樺山紘一・東大文学部助教授らが提唱する、眠りの文化を復権させようとする運動の考え方。1989(平成1)年10月、ある寝具販売会社の主催するシンポジウムで提言されたことから注目されるようになった。総務庁が1986(昭和61)年に調査した結果では、日本人の睡眠時間は5年前に比べて男性で10分、女性で9分、とくに20代後半から40代にかけての働き盛りの男性の場合には、13〜17分も短くなっている。樺山氏らによると、今や睡眠ということを根本から考え直さなければならない臨界点に達しているという。日本人は日中は働き続け、夜になればぐっすり眠るという農耕型の生活が支配的だったが、最近は狩猟型に生活スタイルが変わってきていることから、在来の眠りのあり方に違和感を感じる人が多いはず。居眠りや昼寝をもっと積極的に日常生活の中に取り入れ、ストレス解消や疲労回復に役立てようではないか、という提言である。

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バナナうんち/コロコロうんち

健康なときのうんち、ぜひ毎回出したいうんち。黄土色から黄褐色で、バナナ型で1本から2本、水に浮く。意外にも臭くない。また「キレ」がよい。排便教育で用いられることば。正しい食生活と生活リズム、適当な運動によって腸内の善玉菌が活性化しているときに出る。

コロコロうんちは、便秘のときのうんちで、医学用語でいう兎糞状便。ウサギがするみたいな便だがもちろん好ましくない。

かなり前から、子どもたちの間では「学校でうんちするのは恥ずかしい」という共同体ルールがおこりがちであったが、バナナうんちという実にイメージのよい言葉によって、健全な排便のたいせつさが伝わってゆくだろう。

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排便教育

「学校でうんちするのは恥ずかしい」…なかなか表面化しなかった(ゆえに代々温存されていた)子どもたちの悪弊に、教育面からの方策がうたれてきている。「恥ずかしい」「いじめの対象になりがち」なので我慢する→習慣性便秘を引き起こす→日本人全体の食生活の乱れによって事態が悪化という悪い状況が改善されてゆくのは好ましいことである。昨今進められている食育の一環としても位置づけられる。そのイメージ転換のための象徴的なことばが「バナナうんち」だ。

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