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「日本新語・流行語大賞」からみる今年のキーワード
 

ダブル受賞

お二人は日本人では3年連続の11人目、12人目となるノーベル賞受賞者だが、2人の日本人が同じ年に授賞されたのは初めてのこと。田中さんは「生体高分子の新しい構造解析法の開発」により、小柴さんは「ニュートリノ天文学」によって受賞したが、その国民的人気は学問的業績より(じっさい受賞理由のほうは難しくてみんなにわかるわけではない)、会見等々からにじみ出るその人柄、「変人らしい」「こつこつ型だ」「現場の人間からの受賞だ」…ということであった。

受賞者:2002年ノーベル物理学賞受賞。東京大学名誉教授。

小柴昌俊 さん

受賞者:2002年ノーベル化学賞受賞。島津製作所ライフサイエンス研究所フェロー

田中耕一 さん

関連項目

ニュートリノ

neutrino。電気(電荷)はもたず、質量(重さ)がほとんどゼロの粒子。最も基本的な素粒子のひとつである。中性子のベータ崩壊や各種の中間子の崩壊の際につくられて、放出される。3種類のニュートリノが存在する。そのなかの電子型とミュー型のニュートリノの存在は早くに実証されたが、タウ型の実在がアメリカのフェルミ研究所で最終的に確認されたのは2000年になってからで、その実験では名大のグループが決定的な役割を果たした。ニュートリノと他の粒子の相互作用が非常に弱く、地球に外部から入射してもほとんど全部が地球を素通りしてしまうほどなので、観測が難しい。原子核や電子に衝突したときごくまれに起こる反応により検出する。物質を素通りするため、宇宙のはるか彼方や太陽中心部で発生したニュートリノが、そのまま地球にやってくる。87年の大マゼラン星雲中の超新星爆発の際放出されたニュートリノが、岐阜県神岡鉱山にある東大のカミオカンデという巨大な装置で検出され、ニュートリノ天文学の幕開けとなった。神岡では、さらに大きなスーパーカミオカンデという装置が建設された。

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スーパーカミオカンデ

Super-Kamiokande。岐阜県神岡鉱山の地下1000mの地点に、東大宇宙線研究所を主体として日米共同で建設した素粒子観測装置。超新星から来たニュートリノの観測などで大きな業績をあげたカミオカンデという装置の、第2世代である。岩盤をくりぬいた中に置いた巨大な水槽の側面と上下底面に、光を感じる測定器(光電子増倍管)を敷きつめてある。水槽を満たす5万トンの純水中を電気を帯びた素粒子が高速で走ると、チェレンコフ光という光が出るので、それを検出して粒子の通過を知る。観測は1996年に始まった。第1の目的は、大統一理論が予言する陽子の崩壊の発見である。水槽中の水の分子に含まれる陽子が崩壊すると電子などができるので、それを観測する。この現象は10年間に7例ほど起こることが期待される。第2の目的は、ニュートリノの観測である。水槽に飛び込んだニュートリノはほとんど全部そのまま通過するが、まれに水の電子と衝突するので、その結果飛び出す電子を検出すれば、ニュートリノが走った方向とエネルギーがわかる。これらの観測ではノイズを徹底的に抑える必要がある。最大のノイズは宇宙線として地上に降り注ぐミュー粒子なので、それを遮断するために地下深く装置をつくる。

http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/

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田中さん

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