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危機管理のキーパーソンからキーワード
 

日本政府の危機管理

内閣危機管理監

1998(平成10)年4月、新設。内閣危機管理センターの長。現在は警察庁出身の杉田和博が就任。内閣官房副長官に準ずる地位で、突発的事態に専門的に対処、関係省庁との調整などを行っていく。内閣官房には、危機管理として対応すべき29の緊急事態を明記した初動マニュアル、そのうち、災害、テロ、事故など15のケースについては対応を定めた危機管理マニュアルが用意されている。

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杉田和博

内閣危機管理監。埼玉県出身。1966年、東京大学法学部卒、警察庁入庁。警察庁警備局長を経て、1997年から2001年まで内閣情報官(内閣情報調査室長)。2001年4月より、内閣危機管理監。同年末の不審船事件の際には、危機管理の中枢たるべき危機管理センターに情報が集約されず、課題を残した。

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内閣危機管理センター

正式名称は内閣情報集約センター。1班4人編成の職員20人で、交代で24時間体制の勤務。警視庁や消防庁、防衛庁、気象庁、海上保安庁などとは直通電話やファックス、防災無線などで結ばれており、大災害や重大な事故・事件が起こると関係機関からただちに情報が入ってくるシステム。

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国家公安委員会

内閣府に置かれる外局で、国務大臣である委員長と5人の委員の計6人で構成される合議制の行政委員会。警察制度の企画立案や予算、国の公安に関係する事案、警察官の教育、警察行政に関する調整などの事務について、警察庁を管理している。2002年9月30日の内閣改造で、委員長に谷垣禎一が就任。

以下、現在の委員は、磯邊和男(第一東京弁護士会会長)、渡邊幸治(日本経済団体連合会特別顧問)、荻野直紀(読売新聞社調査研究本部客員研究員)、安崎暁((株)小松製作所取締役会長)、川口和子(上智大学外国語学部教授)。

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谷垣禎一

1945(昭和20)年〜。京都府福知山出身。東京大学法学部卒業後、弁護士を経て衆議院議員。京都5区選出、当選7回。科学技術庁長官(第2次橋本内閣)、金融再生委員会委員長(第2次小渕、森内閣)を経て2002年9月30日、小泉改造内閣で国家公安委員長(兼・食品安全委員会等担当)に。北朝鮮拉致問題や治安の悪化について所見を述べた。趣味は登山とサイクリング。生家は造酒屋「菊の春」の蔵元で、いっぽう日本ソムリエ協会の名誉顧問をつとめるワイン好きでもある。

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えひめ丸事件

2001年2月発生。日本の危機管理認識の甘さをさらけだした事件とされている。愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」と米原子力潜水艦「グリーンビル」が衝突、9人の犠牲者を出す事故となった。ゴルフ場で第一報を受けた森首相(当時)は、その後もゴルフを続けたことで激しい批判を浴びたが、「危機管理の問題ではなく、事故」と弁明。

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有事法制

日本の危機管理体制の不備を補うための法案。有事とは外部から武力攻撃を受けた事態のことで、そうした場合に現状の法体系では超法規的に動かざるを得ない自衛隊の活動を法的に規定する。また、有事には首相の強力な権限が与えられる。2002年5月、国会に法案が提出されたが、採決は見送られ、継続審議となった。

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新ガイドライン

冷戦終結後の新たな日米防衛協力のための指針。1997年9月、日米安全保障協議委員会において了承。周辺事態安全確保法・自衛隊法(改正)・日米物品役務相互提供協定(周辺事態に対応する活動を追加)の関連法案が1999年成立。アメリカ軍への後方支援地域、捜索・救助活動などが定められた。

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周辺事態

日米防衛協力のための指針(新ガイドラインに基づく周辺事態の対象範囲についての問題は政府、与党内にさまざまな議論をよんだが、政府は「地理的範囲ではなく、あくまで日本の平和と安全に重要な影響をあたえるかどうかという事態の性質に着目した概念である」との統一見解をまとめた。99年5月に成立した周辺事態安全確保法では「このまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等、わが国周辺の地域におけるわが国の平和および安全に重要な影響をあたえる事態」と定めている。

有事法制では、政府の判断次第で周辺事態も有事になりうるとされている。

テロ対策特別措置法(特措法)

2001(平成13)年9月11日、アメリカで生起した同時多発テロに対するアメリカの軍事行動を後方で支援するため、とりあえず2年間有効の特別立法。同時に自衛隊による在日アメリカ軍や自衛隊施設などの警備を可能にする自衛隊法の一部改正も10月16日の衆院テロ対策特別委員会で審議、修正された後、18日の衆院で可決された。特措法は、<1>自衛隊によるアメリカ軍などへの後方支援、被災民の救済、アメリカ兵等の捜索、救助を実施する、<2>自衛隊の活動範囲を対象国の同意を得て非戦闘地域の他国領域まで拡げる、<3>派遣自衛官の武器使用基準を緩和し、自身や同僚隊員、自衛隊の武器等防護のほか被災民や負傷兵への防護にも適用する、<4>自衛隊派遣の基本計画は国会の事後承認(20日以内)を必要とする、<5>武器・弾薬の輸送については外国領域の陸上輸送を除外することなどを骨子としている。また自衛隊法の一部改正は、<1>在日アメリカ軍や自衛隊の施設へのテロ攻撃に備えて「警護出動」する規定を新設、<2>警護に際し武器の使用基準を緩和、<3>自衛隊員等関係者が防衛秘密を漏らした場合の罰則を強化。

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