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がんばれ知事さん!〈地方自治改革〉の用語集
 

地方自治とは

自治-参加-分権

1981年版本誌収録。以下、

自治を本当のものにするには、市民の参加が絶対の条件であり、参加が進めば地方分権を不可避的に要求するという意味で、この3語はワンセットで一つの概念を構成する。それは、官僚主導型のプロ政治ではなく、シロウト政治家を抱いた参加と分権型の自治体行政を築いてゆくための、フレッシュなシンボル用語となっている。しかし訴えのはなやかさのわりにはその根が浅く、そのもとでの取組みも十分でないことは、最近の地方選で自治省OBの“能吏”型知事が大量進出していることによく現れている。〈→天下り知事

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地方の時代

1981年版本誌収録。以下、

中央集権、国の統制、画一主義、中央文化などに対して、地方分権、市民自治、地方の特色、地方文化を重視する新時代創造のキャッチフレーズである。昭和54年4月の統一地方選挙を前にして開かれた首都圏地方自治研究会で、長洲一二・神奈川県知事が「地方の時代」を提唱して以来、一躍“流行語”になった。同知事は「当面する巨大都市問題、環境・資源・エネルギー・食糧問題・管理社会と人間疎外の問題など、現代先進工業社会に共通する難問は、自治体を抜きにしては解決できない」として、現在の中央集権的な政治、行財政システムの抜本的な転換を求めている。

しかし、分権と自治を実質的に強めるための行財政改革の具体的方策は、国庫補助金の整理→自治体の一般財源の拡充といった提案ひとつみても理論的には既に言い尽くされている感があり、あとはいかにして実現のための運動を盛り上げるかどうかが問われるだけになっているといってよい。

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地方政府

1987年版本誌収録。以下、

Local Government の訳。ただし、わが国では地方自治体を地方政府と呼ぶことには馴染みが薄いが、最近では、公選の議会や長をもつ都道府県や市町村の統治機構は、中央政府の一定のコントロールは受けつつもそれ自体独立的な“政府”であることに変わりはない、との認識を強めようとする動きがある。

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文化行政

1981年版本誌収録。以下、

その概念は必ずしも定かではないが、従来自治体では芸術鑑賞、社会教育、文化財保護の仕事が文化行政とみなされてきた。しかし最近では「地方の時代」「文化の時代」の台頭のもとで、福祉、教育、土木、建築など自治体行政のあらゆる分野に文化的視点ととりいれようとする動きが目立っている。「文化に行政を行政に文化を」という長洲一二・神奈川県知事の言葉がそれを象徴している。

兵庫県では、公共施設が地域の文化に及ぼす影響を調査・評価する「文化アセスメント」の方策を検討中であり、埼玉県では「行政の文化化」推進体制を確立し、本格的な研究・準備を始めた。さらに兵庫県や神奈川県などでは「1%システム」を採用し、橋や校舎などの建設費の一部を上乗せ投資して、文化のためのデザインや設備に工夫をこらし始めている。

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時のアセスメント

諌早湾の干拓事業の強行を見るまでもなく、役所による“時代錯誤”の公共事業は、世論の強い批判を浴びながらも相変わらず行われている。そんななか、堀達也北海道知事は、長期間に及ぶ公共事業を時代の変化に照らして見直そうと、独自の“評価システム”を作り、「時のアセス」と命名。センスに富んだネーミング、“常識”を行う勇気は全国から圧倒的支持を受けた。1997年の日本新語流行語大賞受賞。

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議会傍聴運動

1985年版本誌収録。以下、

日本青年会議所では昭和59年の運動方針として退職金見直し運動、議員定数削減運動とともに議会傍聴運動(ウォッチ・ザ議会)を取り上げた。地方自治において首長、職員を監視するのが地方議会の一つの役目だが、その議会も議会の監視者がいないと怠けがちになる。そこで同会議所では地域行革を推進させる一つの方法として議会の傍聴運動をすすめ、行政の無駄や不要な補助金整理などに対する議会の役割を高めようというわけである。一方、市民の議会傍聴を高めるためには議会広報の改善、議会開会時間の変更(たとえば市民が傍聴しやすい夕方にする)、委員会の傍聴許可、さらには傍聴制限事項の撤廃など、議会運営上の制度や慣行を市民本位に改革することが必要である。

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青島ショック

1996年版本誌収録。以下、

この場合、東京都知事選挙の結果にショックを受けたのは、自民党なのか新進党なのか? 大前研一ほか小粒といわれながらも、個性的な無党派がそろった選挙戦で、栄冠を手にしたのは家で寝ていた青島幸男。同時に大阪府では横山ノックが当選し雑誌には「お笑い大革命」なる派手な見出しも踊ったが、蓋を開けてみれば都市博に不勉強な青島は議会で「青島いじめ」にあい、公約は二転三転。都市博こそなんとか中止にこぎつけたものの信組問題ではとうとう折れる。それにも懲りずに参院選、勘違いタレントの立候補。しかし、その終わった人々の顔ぶれをみると、政治家っていい商売じゃないとわかる。

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山梨の変

1992年版本誌収録。以下、

1991(平成3)年3月の山梨県知事選挙で「金丸対反金丸」「中央対地方」の激しい保守分裂選挙の結果、自民党実力者、金丸信や中尾栄一が擁立し社会、公明、民社に連合が相乗りした小沢澄夫前副知事が敗北。「反金丸」を掲げた田辺国男代議士、堀内光雄前代議士が推した天野建前石和町長が当選した。敗北責任で金丸派の元県会議長や古参県議が引退したり、小沢支持の甲府市長が引退などの“変”が起きた。

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ばさら時代

1992年版本誌収録。以下、

東京・永田町に流行り出した言葉。現代社会の政治社会状勢を風刺する言葉として矢野暢京大教授が使い出した。「ばさら」は下剋上が日常茶飯事だった室町時代の流行語。勝手気ままなバラバラの状況を意味するが、最近は続発している保守分裂選挙、「中央主導に対する地方の反発」になぞらえて、国会議員の間に使われているようだ。

その一つ、福岡県知事選は三選を目指す奥田八二知事(社会、共産、社民連推薦)に対抗して自民党推薦の重富吉之助前総務官房審議官と、自民党を離脱した無所属の山崎広太郎前福岡市会議長が名乗りあげ、事実上三つ巴の選挙戦に突入した。

一方、山梨県知事選挙は絶対優位だった自社公民四党相乗りでしかも金丸信・元副総理が後押しをした候補が、現知事天野建氏に敗れた。反権力を訴え、草の根選挙を演出したことが勝因だった。従来の中央集権、地方下請け行政に対し地方有権者がノーサインを送ったのであった。

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