月刊基礎知識
月刊基礎知識トップページへ バックナンバーへ
日本人の能力低下
学習指導要領のせいなのか?学習指導要領で救えるのか?
 

日本人の能力低下

国際数学オリンピック (IMO)

世界各国の高校生が一堂に集まり数学の学力を競う大会。各国6人の高校生が2日間 (計9時間) で6問に挑戦する。第1回は1959年にルーマニアで行われた。日本は第31回 (91年) 中国・北京での開催以来参加している。このとき54カ国中20位。以来、最高位は95年カナダ大会の9位、最近は12-15位のあいだを上下している。2001年アメリカ大会は、参加83ヵ国中13位。この成績を高いとみるか低いとみるか。2003年には東京で催される。

ページの先頭へ戻る

技能オリンピック

正式には国際技能競技大会 (World Skills Competition)

1950年スペインとポルトガルの間で技能競技会が行われたのがその起源で、現在30余の国・地域が参加する大規模な青年年技能労働者の競技会となっている。現在は、2年に1度 (奇数年) の開催。大会の参加資格は、大会開催年に22歳以下。運営は、国際職業訓練機構 (International Vocational Training Organisation) 。日本では中央職業能力開発協会。日本は1962年の第11回スペイン・バルセロナ大会以来の参加で (この大会いきなり2位-金メダル獲得数) 、以降、スイス、旧西ドイツといったいかにも精密な作業の上手そうな国々と1位2位を競り続けた。73年ミュンヘン大会で西ドイツ・韓国の後塵を拝し3位に転落したあとは、1位から遠ざかっている。それでも80年代は韓国につぐ2位を確保していたが、89年以降は台湾に負けはじめ低迷。97年スイス大会ではついに8位にまでなってしまう。最近の01年韓国ソウル大会では3位。関係者によれば、かつては「職場にすごいのがごろごろしていた」そうだが、現在は「会社が有能そうなのに目をつけて徹底的にエリート教育する」のだという。選手層は薄くなっているわけだ。

ページの先頭へ戻る

夏季オリンピック

1912年第5回ストックホルム大会以来、48年ロンドン大会、80年モスクワ大会以外に参加しているわが国。国別メダル獲得数順位は、32年ロサンゼルス大会で5位、36年ベルリン大会で8位と健闘。日本人の体格・身体能力、日本の経済・社会水準が、欧米諸国に大きく劣っていた第2次大戦以前の大会においてである。戦後、52年ヘルシンキ17位、56年メルボルン10位、60年ローマ8位、64年地元東京開催3位、68年メキシコ3位、72年ミュンヘン5位、76年モントリオール5位、84年ロサンゼルス7位までは“強かった”といってよかろう。しかし以後は、88年ソウル-92年バルセロナ-96年アトランタ-00年シドニーと、14位-17位-23位-15位で“弱くなった”。スポーツ全体でいえば、プロのほうでは90年代の後半以降、世界レベルで十分に戦える選手がでてきているので、万事が弱くなったともいいきれないが。

ページの先頭へ戻る

世界競争力

スイス・ローザンヌに本拠をおくIMD (国際経営開発研究所) 発表の「世界競争力調査」。国際競争力の分析は、世界で最も権威あるものとされる。政治情況・経済指標・国民生活等々290の項目を分析して、47カ国をランキング。日本はバブル期には1位の座を占めていたが1993年以降下降、98年18位、99年16位、2000年17位、2001年は49カ国中26位となっている。今日的解釈では「バブル期的な〈よさ〉がいい状態なのか」という問題点があるが、なにしろ順位の下降は能力低下の証である。

ページの先頭へ戻る

学力国際比較

大学教授などから指摘されつづけている「大学生の学力低下」であるが、各種の「学力国際比較」では、意外というか“肩すかし”の結果がでている。IEA (国際教育到達度評価学会) が実施している国際数学教育調査 (中学1・2年対象) では、正答率・国際順位とも1961年の第1回から95-99年の第3回に至るまで2位グループを維持している。OECDの「生徒の学習到達度調査」 (高校生対象) では「総合読解力」で8位となるも、「数学的応用力」1位、「科学的応用力」2位とトップクラス。むしろ問題は「成績上位でも勉強嫌い」「読書嫌い」にあるといえそうだ。

ページの先頭へ戻る
All Right Reserved, Copyright(C) ENCYCLOPEDIA OF CONTEMPORARY WORDS