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新語流行語大賞からよむ日本のしくみ
 

e−ポリティックス

テレポリティックス (Telepolitics) 〔1958年版  政治用語追補より〕

テレビによる政治という意味のアメリカの新語。マスコミのメディアのうちでもっとも強力なテレビが4軒中3軒にまで普及しているアメリカで、政治家がこれに目をつけるのは当然の話。アイク大統領 (アイゼンハワー第34代大統領) には専門の役者がついていて、テレビ演説のときに演技をつける。テレポリティクスが最高潮に達するのは大統領選挙戦で、大物候補者の選挙演説には党でゴールデンアワーを買いきって全国網にのせる。日本でも石橋前首相の選挙放送の案が岸首相にも引き継がれているし、テレビの普及ぶりも思いのほか早いから、やがてテレポリティクスの時代に入るだろう。

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テレポリティックス (telepolitics) 〔1994年版  時代感覚用語より〕

「テレビ政治」、「メディア選挙」。テレビジョンというマス・メディアが政治のあり様に大きなインパクトを与えるようになった最初の予兆は、やはり何といっても1960年に行われた「ニクソン対ケネディ」のアメリカの大統領選挙であった。ノルマンディ作戦の英雄ドワイト・D・アイゼンハワー大統領のもとで2期8年間も副大統領をつとめたリチャード・M・ニクソン (共和党) と当時ほとんど無名だった若き上院議員ジョン・F・ケネディ (民主党) の一騎打ちだから、みんな「ニクソンの楽勝」と思い込んでいた。しかし“大討論” (great-  debate) の際、ニクソンはテレビ・カメラの前にほとんど化粧っ気のないペイル・フェース (青白い顔) をさらけ出してしまったため、メディア利用のうまいケネディにまんまとやられてしまった。
その後、アメリカの選挙にはテレビがつきものとなったが、92年の大統領選挙でも、ダーク・ホースのビル・クリントン (民主党) が“湾岸戦争”のヒーローで現職の大統領でもあるジョージ・ブッシュ (共和党) を見事に打ち破って、さっさとホワイト・ハウス入りしてしまった。しかも、ブッシュ大統領にとって不幸だったのは、ロス・ペローという名の“第三の男”がこれまたテレビ・メディアを実にうまく使ってぐんぐん飛び出してきたことだ。あげくの果てに民主党大会でクリントンが代表候補に指名された瞬間に突如「降りる」と言い出し、ブッシュ陣営は大いに揺れ、テレビ・キャンペーンに使うための政治資金さえ満足に集まらなくなってしまった。おまけに投票日直前の“テレビ討論”でまたまたロス・ペローに妨害され、とうとう落選に追いこまれてしまった。この辺りの事情は、『ロサンゼルス・タイムズ』紙のトム・ローゼンスティール記者が書いた『テレビはアメリカの政治をどう変えたか』という本にも詳しく紹介されているが、ちょうどその1年後に行われた日本の衆議院選挙でも、“日本新党”などの若い候補者たちがさかんにテレビを利用して奇跡的な大躍進をとげ、遂に“55年体制”を崩壊に追い込んでしまった。 そして、“テレ・ポリティックス”は、いまや“ニュー・メディア選挙”の時代にまで進化しはじめている。ハイテクに弱い老政治家たちは、やはり“定年制”が実行されなくても「消えゆくのみ」の運命にあるのかもしれない。

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メディア選挙〔2000年版  ジャーナリズム用語より〕

マス・メディアに取り上げられるようなスローガンやキャンペーンを繰り広げることによって、間接的に有権者に働きかける選挙方法。候補者が直接有権者に働きかけるのではなく、まずマス・メディアを対象とした選挙戦略であることに特色がある。アメリカで中心となるのは、テレビ討論、全国党大会の中継、テレビ・コマーシャルで、そのためテレビ選挙ともいわれる。日本では1990 (平成2) 年2月の総選挙で、 (1) 5党党首討論会のテレビ中継、 (2) 各党のテレビ・コマーシャル、 (3) テレビによる開票速報競争が行われたため、メディア選挙元年といわれた。NHKは96年10月の総選挙で有権者の「街の声」の放送を自粛した。民放でも「激戦地ルポ」など選挙区ごとの情勢分析をとりやめた社がある。

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Eポリティクス (e-politics) 〔2001年版  アメリカ用語より〕

インターネットを媒体として展開される政治をさす。アメリカではすでにEポリティクスが威力を発揮しつつある。マケイン上院議員が、予備選最初のニューハンプシャー州で大勝したのも、インターネットのウェブサイトを用いた集票活動の成果であった。マケイン議員はウェブサイトによる政治資金集めでも、好成績を残している。E投票、すなわちインターネットを用いた投票も、一部地域の予備選挙で試験的に採用されており、本格的な導入も遠くはない。21世紀のアメリカでは、Eポリティクスの全面的な開花が期待される。

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