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《食べる》漢方の事典☆5月の食材
執筆者 久保田恵美

《食べる》漢方の事典☆5月の食材

セロリ  Celery

中国名は「芹菜(キンツァイ)」。長野県で夏秋に、静岡県で冬春に収穫となるため、年中出回っている野菜の一つです。効能は体内の余分な熱や水分を出す作用、利尿作用、血圧降下、胃腸の調子を整えるなど。また、セロリ特有の香り成分から、鎮静・鎮痛効果が期待できます。具体的には精神の興奮を鎮め、ストレス解消や不眠解消に効果的です。生で食べると体を冷やすので、スープや炒め物で摂取することをおすすめします。→セロリシード

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セロリシード  Celery seed

セロリシードとは「セロリの種子」のこと。セロリ本体だけでなく種子にも、香りをもつ精油成分を含有しています。セロリシードはスパイスの一つとして、ピクルスやシチュー、野菜スープなどに用いられます。また、アロマテラピーで使う精油としても利用。リラックス効果はもちろん、利尿効果、食欲増進、頭痛などにも効果的です。

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キクラゲ  Jew's Ear Fungus

中国名は木耳(ムーアル)。ブナやクワの木などに群生するキノコを指しますが、近年では菌をうえて栽培する人工的な方法が主流になっています。西欧ではあまり食用とはされず、主に日本、中国で親しまれています。キクラゲには黒色のタイプ(黒キクラゲ)と白色のタイプ(白キクラゲ)がありますが、一般的には前者が出回っています。漢方学的には、両者の薬効が異なります。黒キクラゲは便秘解消、貧血改善、動脈硬化、高血圧の改善・予防など。白キクラゲは肌荒れ、生理不順、咳・のどの痛み改善、滋養強壮など。黒より白キクラゲのほうが高価なもので、薬効も優れているといわれています。

また、栄養学的には食物繊維、ビタミンB2・D、ミネラル、タンパク質などを含有。食物繊維が豊富なため、便秘、肌荒れには効果的です。また、含有するたんぱく質には血液浄化作用があるため、動脈硬化、高血圧の改善・予防に有効といわれています。→銀耳

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銀耳

銀耳(ぎんじ)とは「白キクラゲ」の別名です(→キクラゲ)。中国語でも同じ表記ですが、「銀耳(インアル)」と読みます。中国では古くから「不老長寿の薬」として珍重されています。スーパーなどで扱っていることは少ないですが、百貨店や専門店などの中華食材コーナーで入手可能。銀耳はコリコリとした歯触りが特徴のため、料理のアクセントになります。また、味が淡白なため、鍋物、汁物、炒め物などどの料理法でもおいしくいただけます。

おすすめな食べ方は「デザート」として食べること。30分ほど水につけて柔らかく戻し、かたい軸部分は取り除きます。手で小さくちぎれば下準備OK。鍋に水とグラニュー糖(あれば氷砂糖)を適量入れて火にかけ、沸騰したら白きくらげを加えます。5分ほど煮たら火を止め、フタをしてそのまま冷ませばできあがり。冷蔵庫で冷やしてもおいしいですが、冷え性の方は少し温めたほうがよいでしょう。

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レモングラス   Lemon grass

生薬名は香茅(こうぼう)。中国名でも同じ表記をします。イネ科の多年草で、レモングラスの葉を乾燥させたものが生薬として用いられます。効能は発熱、頭痛、胃痛の改善、貧血改善・予防、疲労回復作用、消化促進、不安感・ストレスなどの解消、殺菌作用など。「シトラール」という芳香成分を多く含有し、レモンに似た爽やかな香りが特徴です。この成分はリラックス効果やリフレッシュ効果が期待できるため、集中力や気力を高めたいときには最適な食材です。

摂取の仕方は「お茶」として飲むことが手軽です。乾燥したレモングラスは茶葉を扱うコーナーで入手可能。レモングラスにお湯を注いだ「レモングラスティ」もよいですが、ミントを加えるとさらにすっきりした味わいになり、リラックス効果アップ。また、乾燥タイプより生の葉を使用したほうが、さらに香り高いお茶になります。スーパーなどでは入手困難ですが、百貨店のハーブ売場などで入手可能。約10g(1人分)のレモングラスを3cmほどにカットし、お湯を注いで約5分蒸らします。きれいな黄緑色になればOK。香りを十分に楽しみながら、体と心がほぐれる感覚を味わってみてください。

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ジャスミン  Jasmine

生薬名は茉莉花(まつりか)。和名でも同じ呼び方をします。茉莉花は、ジャスミンの花が開花する直前に膨らんだつぼみを摘み取り、広げて乾燥させたものです。効能は鎮静、殺菌作用、不眠改善、生理不順の改善、下痢・腹痛の回復、精神安定作用など。「ベンジルアセテート」という香り成分に薬効があり、気持ちをリラックスさせる効果が期待できます。心が疲れているときには最適です。

手軽に摂取するためには「ジャスミンティ」がおすすめ。ジャスミンティという名称で茶葉が販売されています。ジャスミンの花そのものを乾燥させたタイプと、ウーロン茶の茶葉などにジャスミンの香りをつけたタイプがあります。安価で一般的に出回っているものは後者。前者のほうが、強い香りを発揮しますが、後者でもリラックス作用はあるため、問題ありません。

お茶の飲み方は、各種ハーブをブレンドすることもおすすめ。頭痛改善にはジャスミンにペパーミントやタイムを少々足して、美肌効果にはローズマリーを少々足すとより効果がアップします。

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ハッカ  Japanese peppermint

生薬名は薄荷(はっか)。シソ科の多年草。生薬のハッカは、太い茎を除いた地上部分(葉、若枝)を乾燥させたものです。効能は解熱、発汗、抗菌作用、胃の調子を整える、頭痛改善、消化不良の改善など。「メントール」という精油を含有し、スーッと鼻に通る爽やかな香りが特徴です。この香りは、胃もたれや食欲不振の改善に役立ちます。また、メントールを皮膚につけると冷却作用や血流を増加させる作用があります。湿布や軟膏の原料、マッサージオイルなどに使われます。他に身近なもので、清涼感のあるガムやお菓子には欠かせない原料となります。

ハッカは日本が原産であるため、「ニホンハッカ」とも呼ばれています。南ヨーロッパの西洋ハッカは「ペパーミント」、中央ヨーロッパ原産の緑ハッカは「スペアミント」と呼ばれています。

ハッカ湯

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ハッカ湯

ハッカ湯とは、乾燥したハッカを水から煮出して作った飲み物のこと。水2カップに対して約20gのハッカを加えます。火にかけて沸騰すればできあがり。ストレス解消や精神安定作用には最適なホットティです。また、このハッカ湯を湯船に入れて「ハッカ風呂」にしても薬効が期待できます。リフレッシュ効果はもちろん、花粉症の鼻づまり改善や冷え性の方にもおすすめ。また、ダイエット効果もあると注目されています。

近年では「ハッカ油」として液体状のタイプが入手できるため、湯船に3、4滴たらすだけで簡単にハッカ風呂を楽しめます。

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