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《食べる》漢方の事典☆1月の食材
執筆者 久保田恵美

《食べる》漢方の事典☆1月の食材

ほうれん草  Spinach

中国名は「菠薐草(はりょうそう)」。栄養学的には鉄分、ビタミンC、A、Bなどが豊富で「貧血」や「肌荒れ」の改善に有効な食材です。漢方医学的には、消化促進、血行促進、便秘解消、高血圧改善などの効能があると考えられています。旬は冬の時期。近年では通年入手できる野菜ですが、冬期に出回るほうれん草には、夏期の約3倍ものビタミンCが含まれています。よって、栄養面からみると、ぜひ冬に食べていただきたい食材なのです。

また、ビタミンCは加熱に弱いという性質があります。ゆで時間1分で約3割、2分で約4割、5分で約半分ものビタミンCが減少してしまうのです。つまり、ほうれん草をゆでる際は、沸騰したお湯に入れてから「1分」程度のゆで加減がおすすめ。柔らかくしたい場合でも「2分」を目安にするとよいでしょう。最も有効的に栄養をとりたい場合は、「油で炒める」ことをおすすめします。

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みかん  Mikan

生薬名は「陳皮(ちんぴ)」。温州(うんしゅう)みかん、紀州(きしゅう)みかんの成熟した果皮を乾燥させたものを指します。漢方薬局などで入手できますが、手作りすることも可能。みかんの皮(できれば無農薬)をよく洗い、天日で数日間干すだけ。湿気に気をつければ長期保存できます。

効能は胃もたれ、食欲不振、咳・たんの鎮静、風邪予防、コレステロール低下など。近年では、ガン予防に効果があるという報告もあります。摂取法は、カップに約5gの陳皮(ちんぴ)を入れてお湯を注ぎ、10分ほど蒸らしたら、はちみつか砂糖を好みの量加えます。甘味は加えなくてもOKですが、はちみつなどを加えたほうが効能が高まると中国の古い文献に記されています。また、みかんには血圧降下作用がありますが、バナナといっしょに食べると、より効果がアップするといわれています。

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陳皮梅

陳皮梅(ちんぴめい)とは、「すもも」を陳皮や砂糖などと一緒に煮て漬け込んだものです。中国では一般的なお菓子で、お茶請(う)けとして古くから親しまれています。薬効としては、咳・たんの鎮静に効果があるといわれています。日本では入手が難しいですが、中国のおみやげとして人気があるようです。

七味唐辛子

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七味唐辛子

陳皮(ちんぴ)と聞いて、ピンとこない方もいると思いますが、普段薬味として使う「七味唐辛子(しちみとうがらし)」には必ず入っている素材なのです。七味唐辛子は、陳皮をはじめ、唐辛子、山椒(さんしょう)、ごま、麻の実、ケシの実、しその7種を混合した調味料です。しかし、地域や生産者によって配合する材料が異なることもあります。麻の実、ケシの実の代わりに、しょうがや青のりなどを混合したタイプも見られます。

陳皮梅

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葛  Kudzu

生薬名は「葛根」。葛根(かっこん)とは、マメ科の植物「葛(くず)」の根を乾燥させたものを指します。効能は発汗、解熱作用、熱による口のかわき防止、下痢改善など。また、高血圧症にも用いられる生薬です。葛根は「葛根湯」という漢方薬として一般の薬局店でも入手可能。風邪初期(寒気がして肩や首がこったような症状)に服用すると効き目があるとして、一般的に普及している薬です。しかし、風邪の症状によっては改善どころか、逆効果な場合もありますので、自己判断で服用せず、薬剤師の方に相談してから服用することをおすすめします。

葛湯

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葛湯

風邪のひき初めや、体を温めたいときには「葛湯(くずゆ)」がおすすめです。鍋に葛粉(くずこ)10gと少量の水を入れて粉を溶かしてから、お湯を適量注ぎます。弱火にかけて透明になったら、しょうがの絞り汁とハチミツを適量加えましょう。熱いうちに飲めば、体の芯から温まります。

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ウコン  Turmeric

生薬名は「鬱金(うこん)」。ショウガ科の植物「ウコン」の根茎(こんけい/根のように見える茎)を乾燥させたものを指します。効能はストレスなどによる胸痛、腹痛の鎮静、月経痛暖和、胃もたれ改善など。また、黄色色素である「クルクミン」という有効成分には、胆汁の分泌促進、解毒作用、利尿作用などの効能があります。よって、漢方医学では肝臓機能の強化に用いられ、肝臓病、胆のう炎、胆石症などの改善に有効です。近年では抗ガン作用、コレステロール低下などにも有効という報告もあります。生薬は漢方薬店でないと入手できませんが、お茶や栄養ドリンクになった市販品は手に入りやすいです。日々仕事に追われている中高年の方や、お酒の席が多い方にはとくにおすすめしたい食材です。

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小豆  Azukibean

生薬名は「赤小豆(せきしょうず)」。漢方医学からみた効能は、余分な水分を流す利尿効果、便秘・むくみ解消、解毒作用など。栄養学的には、ビタミンA、ビタミンB1などが豊富なため疲労回復にも最適。また、少量のサポニン(煮た際にでる泡の成分)が含まれているため、コレステロール低下や中性脂肪生成を抑えるなどの効果が期待できます。簡単な摂取法は「あんこ」として食べることですが、糖分が気になる方もいるでしょう。そこで、おすすめしたい食べ方は「小豆ご飯(あずきごはん)」。鍋に小豆(あずき/ひと晩水につけたもの)と水を入れてひと煮立ちさせ、水気をきります。炊飯器に研いだ米と、ゆでた小豆を入れて通常通りの水加減で炊きけば、できあがり。柔らかい食感がよい方は水をやや多めに加えましょう。小豆と米を一緒に摂ることで、各々に不足しているアミノ酸を補い、バランスよい栄養を摂取できます。

小豆粥

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小豆粥

古くから、1月15日(小正月)には「小豆粥(あずきがゆ)」を食べる風習があります。これは中国から伝来した風習で、「小豆の赤が邪気を払い、1年中万病を防ぐ」という言い伝えがあります。簡単な作り方は鍋に「炊いたご飯、水、ややかためにゆでた小豆、塩(少々)」を入れて数分煮たら、お餅を入れて柔らかくなればOK。煮る際に「小豆のゆで汁」を適量加えると、ゆで汁に出た有効成分を摂取することができます。また、小豆をゆでるには30分から40分かかってしまうため、市販の水煮缶を使うと便利です。

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