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《食べる》漢方の事典☆11月の食材
執筆者 久保田恵美

《食べる》漢方の事典☆11月の食材

イチョウ  Ginkgo

生薬名は「銀杏(ぎんきょう)」。イチョウの成熟した種子を乾燥させたものを指します。食用では「ぎんなん(銀杏)」と呼ばれ、旬の時期(10月から11月中旬)には入手しやすい食材です。ぼうこうを温め、腎機能を高める作用があるため、頻尿、夜尿の症状には効果的です。また、咳やぜんそくの改善、滋養強壮の効果も期待できます。

食べ方は殻をむいてからゆでたり、殻付きのまま炒ったりと色々ですが、電子レンジでも簡単にできます。まず、金づちなどを使って殻に少し割れ目を入れます。紙の封筒に10粒ほど入れて封をし、600Wの電子レンジで約1分半加熱すればできあがり。最初に割れ目を入れないと加熱中、殻が爆発しやすいので気をつけましょう。

ぎんなん中毒

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ぎんなん中毒

ぎんなんは、「幼児(とくに5歳以下)には与えてはいけない」いう報告があります。けいれんや意識消失といった“ぎんなん中毒”になる恐れがあるためです。また、大人も子供も食べ過ぎは禁物。食べる目安は、子供は5粒程度、成人した大人は10粒程度までといわれています。ただし、5歳の子供が中毒になり、6歳になれば大丈夫といった確かなデータはないため、小さなお子様に与えることは避けたほうが安心でしょう。

イチョウ

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しいたけ  Shiitake mushroom

生薬名は「香茹(こうこ)」。生しいたけを干して乾燥させたものです。「レンチナン」という免疫力を高める物質を含有し、ガン、糖尿病、高血圧などの予防に効果的です。栄養価的には、ビタミンDを多く含み、カルシウムの吸収を高める効果があります。生のしいたけより、天日で干したしいたけを食べるほうが効能が高いため、“干ししいたけ”がおすすめ。水やお湯につけて柔らかく戻してから料理に使いましょう。その際、残った汁は捨てずに使うこともポイント。炊き込みご飯を炊くときに使ったり、お吸い物に使ったりと工夫して摂取してください。高血圧、動脈硬化などの予防にも最適です。

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クコの実  Chinese Wolfberry

生薬名は「枸杞子(くこし)」。ナス科の落葉小低木であるクコ(枸杞)になる赤い実のことです。ドライフルーツの一種で、中華料理やデザートの彩りとしてよく使われています。効能は血行促進、血糖値・コレステロール低下、貧血予防、ひざ・腰の鎮痛、目の疲労暖和など。また、免疫機能を高め、老化予防も期待できます。体の疲労感を感じたときにはぜひ取り入れていただきたい食材です。食べ方はおやつ、おつまみとして、そのまま食べてOK。1日20粒ほど食べる習慣をつけるとゆっくり効果がでてきます。ただし、体によいからといって食べ過ぎは禁物。適量を毎日続けることが大切です。

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枸杞茶

くこちゃ。クコの実は、お茶として摂取することもおすすめです。クコの実をティースプーン1杯分カップに入れ、熱湯を注ぎ、2、3分待ちます。目が疲れているときには最適な1杯です。柔らかくなったクコの実も捨てずに食べましょう。また、疲労度が高いときには、高麗人参の粉末やスライスを加えるとさらに効果アップ。枸杞茶は、ティーパックタイプの市販品もあります。

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長いも  Chinese yam

生薬名は「山薬(さんやく)」。漢方で用いられる山薬とは、長いもを切って干したものを指します。長いもの旬は2回あり、秋掘りの11月と春掘りの3月から5月上旬ごろ。国内では青森、北海道が主な生産地です。効能は下痢や消化不良の改善、滋養強壮、老化防止など。豊富な消化酵素を含有するため、胃腸が弱い方にはぜひ食べてほしい食材です。生食でおいしくいただけますが、変色しやすいので、すったり、切ったりしたあとは酢水に5分程度つけておきましょう。

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むかご

「むかご」とは、長いもの葉の付け根にできる小さないも(直径5mmから10mmほど)のこと。漢字では「零余子」と書きます。長いもの収穫が始まる11月にはつるが枯れ、それと同時に「むかご」が土の上に落ちます。むかごは葉の1枚1枚につくことが特徴。成分は長いもと同様のため、スーパーなどで見かけた際はぜひ試していただきたい食材です。代表的な食べ方は「むかごご飯」。皮つきのまま、米に投入し、塩と酒少々を加えて炊き込みます。また、ゆでて皮をむいた「むかご」を温かいご飯に混ぜてもOK。他には、蒸したり、揚げたり、焼いたりと皮つきのままシンプルに調理できます。

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クチナシ  Common gardenia

生薬名は「山梔子(さんしし)」。クチナシの果実を乾燥させたものを指します。クチナシの果実は11月ごろ完熟し、収穫。風通しのよいところで陰干して乾燥させます。

効能は血圧低下、鎮静、抗菌作用など。血圧が高い、ほてりやすい、不眠、イライラしやすい場合などに適しています。食用の場合は、黄色にするための“色づけ”として昔から使われています。例えば、たくあん、栗きんとんなど。添加物ではない天然の黄色着色料として欠かせない食材です。スーパーなどの乾物コーナーや中国食材コーナーで入手可能。

クチナシごはん

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クチナシごはん

クチナシを使って簡単にできる「クチナシごはん」を紹介。まず、クチナシを砕いて水につけ、色を出します。しっかりと黄色の水になったらこします。この水を使って、米を炊けばできあがり。米ではなく、もち米を使えば「クチナシおこわ」にもなります。また、パンや焼き菓子などに加えても、きれいな黄色に仕上がります。クチナシは寝つきが悪いときに、精神を安定させる作用があるので、眠れない秋の夜にはおすすめです。

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