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カルトではない御仁から学んだらどうかの特集
 

各国カルト事情

カルト/セクト  cult / secte

カリスマ的指導者を有し、既存の宗教とは異なった信仰を持つ、比較的小規模な宗教団体を指す呼び方。「破壊的カルト」のように、否定的な意味合いを帯びて用いられることがほとんど。ちなみにカルトはアメリカ流の呼び方で、ヨーロッパではセクトと呼ぶ。綴りはフランス語の場合だとsecte。

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フランス議会報告

ヨーロッパでセクト対策の先頭を切っているのがフランス。1995年12月に国民議会が採択した報告書は127ページにも及ぶ冊子で、セクトの実情、危険性、対策などについて詳細な分析が施されている。フランスは政教分離制度をとっており、宗教の法的定義も行っていない。ゆえにセクトの定義も困難であるが、「精神の不安定化」「法外な金銭要求」「多くの裁判沙汰」などの10項目を基準としている。

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反セクト法

2001年5月30日、フランスで成立。この法律ではセクトを「信者の心理的、身体的依存状態をつくりだし、利用とする団体」とし、詐欺行為や不法医療行為などによって有罪となった場合は、大審裁判所が解散させることも可能に。この法案に関しては、布教とマインドコントロールの区別が明確でなく、カトリックやプロテスタントなどからも批判が出た。

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ベルギー議会報告

1997年4月採択。ジャーナリストや反セクト活動をしている市民、元信者、組織の代表などさまざまな立場の証言を詳しく記載。フランス議会報告にやや疑問を投げかける視点も紹介されている。セクトと新宗教をイコールとみなすことは慎重に避けており、1998年6月2日法では、セクトを「哲学的または宗教的使命をもった、あるいはこのように主張する集団で…不法活動や損害を与える活動を行い、個人や社会を害したり人の尊厳を傷つけるもの」と規定。

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ドイツ連邦議会報告

1998年5月採択。セクトという用語は差別的であり、用いないという立場をとる。また、個別の団体を批判することは避け、具体的な団体名も挙げていない。ただし、サイエントロジーについては宗教団体とはとらえず、「政治目的を持った組織」として警戒を呼びかけている。また、メディテーション(瞑想)、ヨーガ、手かざし、気学など特殊療法の問題点について指摘。

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EU

EC時代の1984年5月、セクトに関する決議を採択、未成年の長期隔離などいくつかの判断基準が示された。EUとなって1996年2月には、前年12月にフランスで16人の死者を出した太陽寺院事件や、セクトの急速な拡大を受け、ヨーロッパのセクトに関する決議を採択。加盟国に対して、犯罪的な活動に関与している場合は、宗教団体としての地位剥奪を検討すべきと求めている。

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アメリカ

アメリカはヨーロッパに比べて宗教に寛容であると言われ、結果として多くのカルトを生む結果につながっている。1978年「人民寺院」による議員殺害と900名の集団自殺、93年、「ブランチ・ダビディアン」とFBIとの銃撃戦、信者80名の焼死など、カルトによる事件もあとをたたない。政府や議会の対応は鈍く、市民団体などの活動が先行している。

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日本

日本でも政府規模での取り組みは遅れており、日本弁護士連合会(日弁連)が1999年3月に出した意見書がカルトに対する規定としてある程度顧慮されるものである。ここでは主に霊感商法などの問題が取り上げられており、判断基準として「不安を極度にあおる」「多人数・閉鎖された場所での強い勧誘」などを挙げている。99年12月には、オウム真理教(アレフ)を対象とした新しい団体活動規制法が制定。

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チェコ

チェコでは他の東欧諸国に比べ、宗教を信じていない人の割合が多く、人口の約半分。また、信者数1万人以上が宗教団体として認められる条件であるため、セクト的組織の多くが非営利市民団体として活動している。大学教授、学生、牧師などで構成された「セクト、新宗教研究センター」がセクト問題の講義やセミナー、カウンセリングなどをおこなっている。

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ポーランド

ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の出身国であり、国民の95パーセントがカトリック信者。しかし、旧ソ連の支配下からアメリカの影響下に入り、カルトの活動が増えている。100人以上の信者がいれば宗教法人と認められるため、セクト的と目される団体が150以上あるという。「ポーリッシュ・ファミリー・ファウンデーション」(PFF)という団体がセクトから個人や家族を守る活動を行っている。

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