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都知事選の一連劇をめぐる用語集
執筆者 伊藤幸太

都知事選の一連劇をめぐる用語集

東京都知事選

2013年12月19日、当時の猪瀬直樹都知事が医療法人徳洲会から5000万円を受けとった問題で辞職願を提出。翌月である2014年の1月23日に告示、2月9日に行われた東京都知事選挙。有権者数10,685,343 に対して、投票数は4,930,098だった(投票率は46.14%)。

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舛添要一  ますぞえよういち

2014年2月9日に行われた東京都知事選で舛添要一氏が勝利、新都知事に就任しました。防災対策、社会保障政策、東京オリンピック・パラリンピックの成功といった公約を掲げ、自民公明両党の支持を取りつけるなど安定した選挙運動を展開しました。また、無党派層の3割が票を投じるなど他の候補者を圧倒、得票数は211万票にのぼりました。

元厚生労働大臣としての手腕や、実母の介護経験などから社会保障分野に期待が寄せられる一方、「女性は生理があるから政治に向かない」などの発言で自身の性差別的資質も問われています。都知事選の翌日、googleのトップページロゴマークが、女性解放論者平塚らいてう生誕を祝うイラストに変更されていたのは単なる偶然でしょうか。

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家入一真  Kazuma Ieiri

35歳のIT実業家、家入一真氏が都知事選への出馬会見にのぞんだのは、告示日前日の1月22日。「東京をぼくらの街に」というスローガンを掲げて登場したこの「元ひきこもり」候補者は、結果として88,936票、立候補者16人中5番目という数字を残すこととなりました。出馬後にツイッターで政策を募集、供託金をクラウドファンディングで集めるといった試みは、従来の選挙運動のあり方に一石を投じたともいわれています。

単なる売名行為、また政治についての認識の甘さを指摘する声もあります。しかし、立候補者のなかでずば抜けて若く、多くの若者が「選挙」「政治」なるものを忌避している現状を少なからず変えようとした試みは、それなりに評価されてよいものかもしれません。

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5000万円

医療法人徳洲会グループからの資金提供問題で、東京都知事だった猪瀬直樹氏は最終的に辞任に追い込まれました。その額5000万円。政治資金報告書への未記載に加え、借用書の信憑性をついぞ証明できず、公職選挙法、選挙資金規正法それぞれに抵触する可能性、さらに収賄の可能性まで指摘された結果、都知事としての職を退く決断をしました。前知事石原慎太郎氏の一言がきっかけともいわれています。

そもそも徳洲会グループは都内に医療施設などをもち、その開設などにおいて都から補助金が出ていました。5000万円はその見返りとしての意味づけがあるなどともいわれています。

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脱原発候補の「一本化」

宇都宮健児氏と細川護煕氏という二名の候補者が脱原発を政策として掲げたことで、その票が割れてしまうとの危機感から、候補の一本化が両者に呼びかけられました。

弁護士の河合弘之氏、ジャーナリストの鎌田慧氏らが呼びかけ人として名を連ねましたが、宇都宮、細川両候補はいずれも難色を示し、その実現には到りませんでした。蓋を開けてみれば宇都宮氏が2位、細川氏が3位であり、さらに二人の得票数を足しても1位の舛添氏に届くことはありませんでした。

舛添氏は期間中に「自分も脱原発」であるという趣旨の発言をし、選挙の一大争点となることに疑問を呈していました。しかし原発がイシューとして掲げられるというのは、東北から電力を引っ張り、その一大消費地である東京都民にとって深く関係があります。争点として「大あり」であったのではないでしょうか。

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小泉劇場

小泉純一郎氏がもたらした政治は、劇場型と呼ばれることがしばしばあります。身振り手振りを交え、まるで演劇の主人公であるかのような振舞い。いままでにはいないタイプの政治家として、小泉氏は圧倒的な人気を誇っていました。

郵政事業の民営化、「自民党をぶっ壊す」発言、ワンフレーズ・ポリティクスと揶揄された彼の政治手法はしかし、日本政治のありように一定の変化をもたらしたことは間違いありません。

2011年、東日本大震災が起こり、原発のメルトダウンが起こり、小泉氏はフィンランドを訪れます。高レベル放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察したとき、新しいワンフレーズが彼の頭に浮かびました。それが「脱原発」であるとわかったとき、彼の持つポピュリズムに、あらためて注目が向けられたという事実は否定できないでしょう。

2014年の都知事選、彼は細川氏の支援者として、再び政治の場にその姿を現しました。しかし結果は惨敗。それでも、いつかまた亡霊のように現れることを警戒するのは、ほかならぬ「身内としての自民党」かも知れません。

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日本新党

元熊本県知事であった細川護煕氏が1992年に結党。既存の政治、また既成政党を打ち破り、新しい日本政治のあり方を目指すという理念のもとに作られました。新党ブームのさきがけとして知られ、政局の行方を左右するキャスティングボードの役割を果たすまでに躍進しました。第40回衆議院議員選挙後には非自民党勢力と結集し、細川氏を首班とする連立内閣が成立。これにより自由民主党は初めて野党に転落、戦後政治を象徴するいわゆる「55年体制」の終わりをもたらす一端を担いました。

ちなみに、今回の細川氏の都知事選出馬に「殿、ご乱心」という発言が甘利経済再生担当大臣から出たのは、肥後熊本藩主から続く名家出身の細川氏を皮肉ったものですが、「乱心」であったかどうかはともかく、かつての人気を取り戻すことが出来なかったことだけは数字が明確に示しています。

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46.14%

前日の大雪の影響も指摘される中、今回の都知事選の投票率は46.14%と過去3番目の低投票率となりました。2012年の投票率は62.60%。前回の選挙と比較し大幅に減少したことが伺えます。

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ポリタス

メディア・アクティビストの津田大介氏が立ち上げた、政治に関する情報サイト。今回の都知事選では、立候補者の発言を政策からまとめて見ることの出来るサービスや、様々な識者の発言などが毎日のように投稿されるなど、都知事選におけるネット上での情報収集、またその発信力に注目が集まりました。

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