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2012年に消えた現代用語.パートⅡ

2012年に消えた現代用語.パートⅡ

アイクラウド  iCloud

2013年版で、[インターネット]のジャンルから消えた用語。

アップル社が2011年6月に発表した同社のクラウドサービス。11年10月から提供開始された同社モバイル端末(iPhone、iPadなど)向け基本ソフトの最新版「iOS5」に、iCloudのクライアント機能が標準搭載され、メールやカレンダー、写真保管といったクラウドサービスを利用できるようになるというもの。これまでのクラウドサービスと概念が異なるのは、iCloudではデータが自動的にサーバー上に転送され、対応するパソコンやiPhone、iPadなどその他の機器とも自動的にデータの同期(同一になること)が実行される。例えばiPhoneで写真を撮ると、即座にiCloudへ転送され、さらにパソコンやiPadなどへも送られる。対応するすべての機器で、同じ状態で管理できるという。アップル社はまた同時に、iCloudと連携する音楽クラウドサービスのiTunes Match(アイチューンズ・マッチ)についても発表した。→クラウドサービス

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プロフ

[インターネット]のジャンルから消えた用語。

主に携帯電話から利用できる、インターネット上の簡単な自己紹介ページのことで、「プロフ」とは「プロフィール(人物紹介)」を略した言葉。プロフ作成サイトは多数あり、無料で手軽に利用できるところから女子中高生を中心に人気がある。一方で、安易に個人情報を書き込んで公開してしまい、いじめや犯罪に巻き込まれてしまうことも少なくないため、周囲の注意が必要である。

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タブレットPC  tablet PC

2013年版で、[パソコン]のジャンルから消えた用語。

専用のペンによる入力および操作が可能なノート型のパソコン。キーボードなしでペンだけで操作する機種と、キーボード付きの機種がある。

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ウィンドウズ7  Windows 7)

[パソコン]のジャンルから消えた用語。

2009年10月22日に発売されたマイクロソフト・ウィンドウズの最新版。一つ前のウィンドウズ・ビスタの発売が07年1月だったので、2年10カ月ぶりの刷新だった。名称の「7」は、第7世代の意味。しかし実際はビスタが第6世代で、今回の新バージョンは6.1相当の小規模な更新である。前回、ウィンドウズXPからビスタへの改定では大幅な機能アップがあり、そのためビスタを快適に使うには高性能なパソコンが必要だった。また古いソフトや周辺機器が利用できなくなるといったトラブルもあった。そのためXPからビスタへの買い替えが進まないだけでなく、低価格パソコンではXPを採用し続ける動きもあった。あえて「7」と称したのは、こうした悪い印象を払拭する意図があるともいわれる。「7」では、ビスタの基本性能を生かしながら起動や動作のスピードアップなどが図られている。画面表示も進化し、地上デジタル放送の対応機能が標準装備される。

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フルブラウザー  full browser

[パソコン]のジャンルから消えた用語。

本来は携帯電話用の簡易サイトではなく、パソコン用のウェブサイトを表示できる閲覧ソフトのこと。しかしケータイ用語では、携帯電話端末でパソコン用サイトを表示できる機能をフルブラウザーという。

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外電  そとでん

[デジタル家電]のジャンルから消えた用語。

電気製品といえば家で使うものだった。そこで家電(かでん)と名づけられていたが、最近は職場や外出先で使える電気製品が女性に人気で、これを外電(そとでん)という。主に20〜30代の働く女性がターゲットで、「働きながら身だしなみを」という女心にマッチした商品。携帯用電動歯ブラシや、ヘッドホンのようなデザインの低周波マッサージ器などがある。カラフルでかわいく、化粧ポーチに収納できる。携帯できるモバイル・ビューティということから、モバビューと呼ばれる。機能を絞り込んだシンプルさで、乾電池で動作。男性の目線では見落とされがちだったマーケットにスポットライトが当たった。とはいえ性能が確かでなければ売れないのは家電と同じだ。

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地デジ化の弊害

[テレビ・放送]のジャンルから消えた用語。

地上デジタル放送に完全移行したことによって、FMラジオでのテレビ音声聴取ができなくなった。これまでテレビ音声をラジオによって楽しんでいた視覚障害者からは不安の声が出ている。厚生労働省の調査では、視覚障害者の情報入手の主な手段はテレビだということがわかっているが、FMラジオ対策は遅れたままだ。さらに、アナログ放送では微弱電波でも受信できていたものが、デジタル化されることで、チャンネル数が減る地域が出たり、悪天候の場合には受信ができないといった弊害も指摘されている。

またデジタル放送では2秒のタイムラグが生じるため、緊急地震速報も遅れるおそれがあるが、地方局ではその対応をしているテレビ局が少ないままの完全実施となった。

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尖閣諸島問題ビデオ流出

[メディアと社会]のジャンルから消えた用語。

2010年9月に尖閣諸島(中国語で釣魚台列嶼)で中国漁船と海上保安庁の巡視船の衝突事件が発生。同庁が録画した事件映像のうち、44分が6分割されてユーチューブに流出、公開された。テレビではなくユーチューブへ海保職員が個人で情報発信したもので、海保の情報管理のずさんさに各界で衝撃が走った。職員は当初CNN(日本のテレビではないことに留意)にデータを送ったが反応がなかったため、11月4日、神戸市のインターネットカフェから当時の官房長官仙石由人の名前をもじったような「sengoku38」という登録名でユーチューブへ動画投稿した。外交下手な民主党政権が日中関係をこじらせ、一部の国会議員だけが編集された映像を見ることで済ませようとした事態への国民の強い反発に呼応した行動だった。投稿した海保職員は、多くの人々に日本の領海で起こっている出来事を見てもらい、一人ひとりが考え、判断し、行動してほしかったとの談話を残している。まさに国民のメディア・リテラシーに問いかけたつもりなのである。直後の世論調査では国民の大半が彼の行為を支持し、国がもっと早くに情報公開をすべきだったとした。

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フジテレビ嫌韓デモ

[メディアと社会]のジャンルから消えた用語。

2011年7月、俳優の高岡蒼甫(映画『パッチギ!』などでブレイク)がツイッターで、フジテレビが韓国番組ばかりを流す、とポロッと批判した。すると瞬く間に2ちゃんねるが盛り上がり、フジテレビへの抗議電話が殺到、番組スポンサー商品の不買運動まで勃発。さらに右翼団体、保守派の論客などの参加もあり、8月には数回のフジテレビ抗議デモが起こり、21日には警察発表で延べ5000人を超える参加者をみた。芸能ネタがオンライン共同体で荒唐無稽な盛り上がりをみせ、社会現象化したフラッシュ・モブ(一瞬の群衆)の一形態といえる。テレビ局がほとんど報道しなかったことは興味深い。高岡は在日や韓国人批判のつもりはなかったと戸惑いつつ一連の騒動から身を引き、所属事務所も辞めたが、事態は彼の人生を飲み込み、大震災後の鬱屈する日本社会で渦を巻いた。『マンガ嫌韓流』作者の山野車輪は一連の騒動を冷静に批判している。

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ニーチェの「超訳」

[哲学]のジャンルから消えた用語。

フリードリヒ・ニーチェは、19世紀末に活躍したドイツの哲学者であるが、その著作の中から、現代人にとって役に立つような言葉を集めた『超訳 ニーチェの言葉』(白取春彦編訳)が、大ベストセラーになった。これはニーチェの「論文」をそのまま訳したものではなく、断片的な格言・アフォリズムを集め、さらに訳者自身の意見も加えて編まれたものである。いわば「ツイッター時代のニーチェ」とでもいうべきものである。ニーチェの思想は、19世紀末の不安な社会状況に対応するものであるといわれる。読者は、この「超訳」を出発点にして、ニーチェの思想の核心へと向かうべきであろう。→ニヒリズム

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ディストピア小説

[本と文芸]のジャンルから消えた用語。

未来社会を、明るいものではなく、暗く閉塞感に満ちたものとして描くフィクション。反ユートピア小説、暗黒郷小説とも。以前からSFの主流ジャンルのひとつではあったが、さらに注目が高まった。たとえば、2009年にがんで死去した伊藤計劃(享年34歳)の『ハーモニー』に対し、11年4月、アメリカのSF賞、フィリップ・K・ディック賞特別賞(次点に該当)が与えられた。『ハーモニー』は医療技術の進歩によって病気のなくなった、一見するとユートピアだが実は悪夢である未来を描いた作品。「快適さ」「安全と安心」「不老長寿」などは、古くから人類共通の希望だった。しかし科学技術の進歩などによってそれらが実現すると、かえって生きづらくなる。福島原発の事故によって、ディストピアは架空の話ではなくなった。

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アート・オークション

[現代アート]のジャンルから消えた用語。

サザビーズやクリスティーズなどの老舗のオークションでは、このところ、第2次大戦後のニューヨーク派の絵画やポップ・アートなどが、印象派並みの高額で落札され、2008年には村上隆の作品に16億円の値がついたことが話題を呼んだ。日本でもシンワアートオークション(1989年設立)などに最近、プロの業者に混じって一般のコレクターの姿が目に付くようになった。ただ、金融危機の影響で、このところ売上額は低迷傾向にある。

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ジョン・ケージ  John Cage

[音楽]のジャンルから消えた用語。

アメリカの作曲家(1912〜92年)。2012年は生誕100年、没後20年。20世紀半ばの実験的な前衛音楽の旗手として知られる。1952年の代表作『4分33秒』は、何人もの演奏者が楽器を持ってステージにいるのだが、4分33秒間、誰も楽器を弾かず、ずっと沈黙しているもので、毀誉褒貶(きよほうへん)の大論争となった。この曲は「沈黙を聴く」というコンセプトのものだが、現実のコンサートホールはたとえステージ上の演奏者が何も音を出さなくても、さまざまなノイズが聴こえるわけで、それらを聴くことでもあった。また、コインを投げて音を決める『易の音楽』は「偶発性の音楽」として知られる。もちろん、楽器を用いて音を出す曲も多く書いている。「音楽」の定義を大きく変えた、20世紀の革命家の一人。

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コンサバ  Conservative

[ファッション]のジャンルから消えた用語。

コンサバティブの略で、保守的なさま、保守的な人をいう。ファッションでは例えばブラウスに膝丈のスカートなどの保守的な着こなしを指す。対極にアヴァンギャルド=前衛的、コンテンポラリー=現代的などがある。

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赤坂プリンス解体

[現代建築]のジャンルから消えた用語。

1955年に開業したグランドプリンスホテル赤坂が2011年3月31日に閉館した。赤坂プリンスホテルとして開業して以来、拡充を重ねながら近代性と古典性を兼ね備えてきたホテルである。丹下健三によって設計された新館(82年竣工)は、横長に連続するガラス窓の現代的な外観と、左右対称に両サイドに雁行するモニュメンタルな造形が特徴的だった。01年に内装中心の改装をしたが、老朽化にともなった競争力低下などの理由もあり55年の歴史に幕を閉じた。全盛の80年代バブル期のリゾートブームでは時流にのり、クリスマスにチェックアウトした若者たちがその場で翌年分を予約したという伝説が残るほどであった。

閉館後、東日本大震災の原発事故で避難してきた福島県民のために、4月から6月まで被災者を受け入れ、思わぬ活躍もした。今後、新館は取り壊され、商業施設、オフィス、ホテル、マンションが入った2棟の高層ビルが建設される。なお、別館の1930年に建てられた木造2階建ての旧李王家邸は、移築されて活用する予定だ。

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平泉遺跡群

[考古学]のジャンルから消えた用語。

岩手県平泉町・奥州市・一関市。藤原清衡が移り住んだ11世紀末期から12世紀にかけての約100年間、奥州藤原氏の拠点として栄えた都市。政庁跡とされる柳之御所遺跡は面積約10ha。平泉遺跡群内でもずばぬけた質と量の遺構・遺物が検出され、12世紀後半の「平泉館」(『吾妻鏡』)と推定されている。主な出土遺物は、国産陶器片・中国産白磁皿片・白磁四耳壺・木製品(下駄、折敷、櫛、宝塔、糸巻、漆塗り木製品など)・銅印など。国史跡。

2011年6月、平泉の建築・庭園は世界遺産に登録されたが、柳之御所遺跡については構成資産から除外された。

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セイファート銀河  Seyfert galaxies

[天文宇宙]のジャンルから消えた用語。

活発に活動を示す銀河の一種。恒星状の中心核をもつ。きわめて幅の広い輝線スペクトル群を示すのが特徴で中心核領域での激しいガス運動があることを証明している。中心から放出されるガス量は、太陽質量の1000億倍に達する例もあり、そのメカニズムは解明されていない。

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太陽ニュートリノ  solar neutrinos

[天文宇宙]のジャンルから消えた用語。

太陽の中心部で、水素からヘリウムを合成する熱核融合反応が起きる際にできるニュートリノ。ニュートリノは素粒子の一種で、電子型、ミュー型、タウ型の3種類があり、太陽ニュートリノは電子型である。ニュートリノは他の物質と相互作用することがほとんどないため、太陽内部でできたニュートリノは太陽大気や宇宙空間で減少せずに地球に届くはずである。しかし、観測される太陽ニュートリノが理論値に比べてきわめて少ないためにその原因が議論されてきた。2001年になって、太陽ニュートリノが地球に届く前に電子型からミュー型に変身していることが確認された。このことは、理論的に作られた太陽の内部モデルとよく一致する。→

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はやぶさ帰還

[天文宇宙]のジャンルから消えた用語。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の小惑星探査機「はやぶさ」が、7年間の宇宙の旅を終えて、2010年6月13日、地球に帰ってきた。05年11月小惑星「イトカワ」に到着したが、その後姿勢制御装置、イオン・エンジンの故障など多くの困難に遭いながら、奇跡的な生還を果たしたものである。大気圏突入後、探査機本体は予定どおり燃え尽きたが、探査機本体から切り離されたカプセルは南オーストラリアのウーメラの砂漠に着地した。回収されたカプセルはただちに日本に持ち帰られ、カプセルの内部にイトカワのサンプルが入っていることが確認された。これは世界初の小惑星の試料であり、月の試料に続く、地球外天体からの2番目の試料として、世界の科学者により分析が続けられている。→小惑星「イトカワ」

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ナノグラフェン  Nanographene

[新技術]のジャンルから消えた用語。

原子一つ分の厚みしかない炭素シート。強くしなやかで、透明で通電性がよく、常温での電子の移動速度がさまざまな物質の中で最速といわれる。イギリス・マンチェスター大学のアンドレ・ガイム博士とコンスタンチン・ノボセロフ博士が、グラファイト(黒鉛)薄片の両面にテープを貼り付けて引き剥がすという単純な製造法を見つけ、2010年度ノーベル物理学賞を受賞した。

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メラミックス

[新技術]のジャンルから消えた用語。

シリコンを主成分とした新合金。自動車、産業機械、住宅関連機器などに使用されている特殊鋼に比べて強度が2倍、重さは半分弱で、耐熱性や耐食性にも優れているのが特徴。特殊鋼の場合は製造にレアメタル(希少金属)を使用するが、メラミックスには必要なく、製造過程で二酸化炭素(CO2)を排出しないという利点もある。

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生体認証  biometrics authentication

[情報技術]のジャンルから消えた用語。

人間の身体の特徴に関する情報によって個人を認証する技術。生体認証で利用する生体情報として、指紋、静脈パターン(てのひら、指)、虹彩の筋の紋様、網膜パターン、声紋、腕の振り方、顔の形状・パーツの配置パターンなどがある。これらは人によってみな違うので、それによって個人を識別する。パスワードを入力する手間が省けるので、認証に対する敷居が低くなる。しかし、実際の運用では、生体認証だけでは誤りが発生する場合があるため、パスワード入力などほかの方法と併せて使用されることが多い。

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自然言語処理  natural language processing

[情報技術]のジャンルから消えた用語。

人間が日常使っている自然言語をコンピューターに理解させる技術。単語やいくつかの単語をつなげた定型的なフレーズをコンピューターに認識させる音声認識技術は実用化したが、自然な会話をコンピューターに理解させることは難しく、現在世界中で研究が進められている。

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スーパー・コンピューター  super computer

[情報技術]のジャンルから消えた用語。

計算速度がきわめて速いコンピューターのこと。科学技術計算や大規模なシミュレーションなどに使用されている。日本のスーパー・コンピューターには、気象庁で数値予報を行っている「COSMETS」(理論演算性能最大値21.5テラフロップス)、海洋研究開発機構の「地球シミュレータ」(同131テラフロップス)などがある。

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遺伝子治療  gene therapy

[遺伝子・DNA技術]のジャンルから消えた用語。

遺伝子治療臨床研究に関する厚生労働省指針(2002年3月)で、遺伝子治療とは「疾病の治療および治療法の開発を目的として、遺伝子または標識となる遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与すること」と定義され、導入対象の細胞は体細胞に限り、生殖細胞などの遺伝的改変は禁止されている。遺伝子治療の臨床研究が生物多様性に与える影響を評価するうえで必要となる「事項」については、03年11月からカルタヘナ法と関連政省令を基に検討され、04年12月から、研究課題は「遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する作業委員会」の審議を経て実施されるようになった。08年の指針の一部改正を経て、必要な遺伝子を補えば治療できる可能性のある病気だけでなく、現時点では有効な治療法のない進行がんや神経難病など患者数の多い病気についても基礎的な研究が進められている。

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がんゲノム解析  cancer genome project

[遺伝子・DNA技術]のジャンルから消えた用語。

2008年に発足した「国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC)」には、現在、オーストラリア、カナダ、イギリスなど11カ国とヨーロッパ連合が参加し、全身の臓器で起こるさまざまながんを担当して、がんゲノムの解析を進めている。11年7月には日本のグループが解析した27症例の肝臓がんの全ゲノムやアメリカの500症例の卵巣がん、スペインの慢性リンパ性白血病、イギリスの乳がん、肺がんと悪性黒色腫、およびカナダの膵臓がんのゲノムデータが公開された。

ゲノムには、特定の病気になりやすいかどうかや、薬に対する反応などの体質に関する情報が含まれており、一度調べれば網羅的に知ることができると考えられる。しかし、ゲノムを読むだけですべてがわかるわけではないし、解析結果に基づいた予測の精度や確率の受け止め方、究極の個人情報の管理など、倫理的、社会的な課題も多い。DNAの塩基配列解読の精度管理や、解読結果の解釈と理解についても、生命科学の研究者だけではなく、広い分野の市民レベルで情報を共有して、早急に共通認識を広げておく必要がある。

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