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ニュースの谷から現代用語
執筆者 現代用語検定協会

ニュースの谷から現代用語

オスプレイ配備

アメリカ政府6月29日、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備を日本政府に通告した。垂直離着陸輸送機とは、飛行機とヘリコプターの両方の機能を持った航空機。オスプレイ(Osprey)とは、ミサゴというタカに似た鳥のことで、魚を捕らえる勇猛な姿から愛称にしたとされている。

7月に入りオスプレイ12機を載せた民間輸送船が岩国基地に向けて米国を出港。オスプレイは普天間飛行場の中型輸送ヘリ「CH46」の老朽化に伴い配備されるというが、モロッコや米国のフロリダ州の空軍基地でオスプレイは相次ぎ墜落事故を起こしている。そのため、山口、沖縄両県は安全性に問題があるとして、搬入や配備を拒否するとして反発を強めている。

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シンシンの赤ちゃん

7月5日、上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」が赤ちゃんを出産した。同園でのパンダの出産は24年ぶりで、自然交配による出産は初めて。11年2月に中国から来日した「リーリー」と「シンシン」の間の子ども。出産直後に赤ちゃんを抱えて授乳している様子が確認され、性別はオスと判明した。

ところが11日、日本中がパンダの赤ちゃんの公開を待ち望むなか、肺炎を患い赤ちゃんは死亡。日中外交に暗雲が垂れ込め始めたのはこの頃だろうか。

赤ちゃんの名前は公募して選定委員会が決定することになっていた。石原東京都知事は、「赤ちゃん誕生に興味は無い。センカクと名前をつけて返したらいい」と発言している。

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小沢新党

小沢一郎元民主党代表が代表を務める新党「国民の生活が第一」の結党大会が2012年7月11日に行われた。衆議院議員37人、参議院議員12人の計49人が新党に参加した。新党は反消費税増税、反原発を訴えて行く方針。

「国民の生活が第一」(37人)と「新党きづな」(9人)は統一会派を結成。衆議院では第3勢力となる。野田佳彦首相にとっては厳しい政権運営となる。代表代行に山岡賢次前国家公安委員長、幹事長に東祥三元内閣府副大臣が就任。国会対策委員長には鈴木克昌元総務副大臣が就任、選挙対策委員長は小沢代表が兼務する。

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イチロー移籍

米大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー選手が7月23日にニューヨーク・ヤンキースへの移籍を発表した。背番号は31。記者会見後にはマリナーズとの試合に先発出場、ヒットを打ち盗塁も決めた。イチロー選手は会見で「若いチームに自分がいるべきではない、環境を変えたかった」と、自らトレードを求めたと明かした。

イチロー選手は2001年にポスティングシステムでマリナーズへ入団。10年連続で200本安打を達成し、ア・リーグ首位打者、盗塁王、MVP、新人王なども獲得しているが、今季でマリナーズとの5年契約が終了することになっていた。

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キュリオシティ

NASAが2011年11月に打ち上げた無人探査機「キュリオシティ」が、8月5日、火星に着陸した。「キュリオシティ」は重さが1トン近くあるため、探査車をワイヤでつり下げて軟着陸させる「スカイクレーン」という難易度の高い着陸方式を採用。大気圏突入から着陸までの7分間が困難とされてきたが、見事に乗り切って着陸に成功。着陸直後に、火星表面の画像も地球に届いた。「キュリオシティ」は、2年間にわたって火星の表面を走行しながら、火星の岩石などを分析し、有機物など生命の痕跡を調査する。火星着陸成功は、1976年の「バイキング1号」から7回目で、08年以来。

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韓国大統領の竹島訪問

8月10日、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は、韓国の大統領としては初めて島根県の竹島を訪問した。大統領は、環境保護の必要性を確認することが主な目的だとしている。しかし、8月15日は日本の植民地支配からの解放記念日で、これを機に大統領が竹島を訪問するのではないかとの声は出ていた。

日本政府は中止を求めていたが、受け入れられなかったことで、日韓関係が悪化するのは避けられない情勢となった。日本政府は武藤正敏駐韓大使を召還する方針。

竹島は1905年に島根県に編入され、公式に日本領土となった。46年にマッカーサー・ラインで日本漁船の操業区域外となり、同ラインが52年4月に撤廃される直前に韓国の李承晩(イ・スンマン)政権が竹島を「独島」と呼んで、韓国領であることを主張したことから、領有権問題が勃発した。

韓国は12月に大統領選挙を控えており、求心力が衰えてきた李明博大統領が、対日強硬姿勢

を求める世論に答える形で竹島訪問を強行したのではないかとされる。

ICJ提訴

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ICJ提訴

韓国の李明博大統領が竹島に上陸した問題で野田佳彦首相は「竹島は国際法上もわが国固有の領土であり、到底受け入れられない。極めて遺憾だ」と強く非難、ソウルで開催予定だった「日韓財務対話」の日程を白紙にするなどの措置を講じた。日韓関係の経済連携強化への影響は避けられない。日本政府は同月16日、対抗措置として国際司法裁判所(ICJ)に提訴する方針を決定、野田首相は李明博大統領に親書を送ったが韓国は親書を返送した。

当事国双方の同意がないと国際司法裁判所の裁判は成立しない。韓国は提訴には応じないことを表明している。

ICJ、国際司法裁判所は国連の主要司法機関。国際的な司法裁判のための常設裁判所として1945年にオランダ・ハーグに設立された。

韓国大統領の竹島訪問

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ロンドンオリンピック

第30回夏季オリンピックロンドン大会が2012年8月12日閉幕した。204の地域・国の代表が26競技、302種目で熱戦を繰り広げた。オリンピック大会史上初めて、参加したすべての地域・国から女子選手が参加、26競技すべてで女子種目が実施された。日本は金・銀・銅あわせて38個のメダルを獲得し、アテネ大会の37個を上回り、過去最多となった。柔道、ボクシングなどでの「誤審」、バトミントン競技での無気力試合、男子サッカー試合終了後に韓国選手が竹島の領有を主張するメッセージを掲げるなど、今後への課題や問題を残しながらも、見ている人たちに感動を与えた。次回は16年、ブラジル・リオデジャネイロで開催される。

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出生前のダウン症診断

2012年8月29日、国立成育医療研究センターなど国内約10施設で、妊婦の血液を調べて胎児がダウン症かが99%の精度で確認できる、新しい出生前診断の検査の導入を検討していることがわかった。

しかし、異常が見つかった場合には、人工妊娠中絶の増加につながる可能性があることから、論議を呼ぶのが必至。

この検査法は米国の検査会社によって開発されたもので、米国では11年から実施されている。35歳以上の妊婦が対象で、希望者に実施される。妊娠10週前後から実施可能で、保険は適用されない。

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討論型世論調査

政府は2012年8月22日、新しいエネルギー政策の策定に向けて国民の意見を聞いた「討論型世論調査」の結果を公表した。

討論型世論調査は、<1>7月7日〜22日にかけて無作為に選ばれた6849人を対象に世論調査をし、<2>8月4日から2日間行われた討論会に参加した285人が討論前に回答、<3>討論後に回答、という3段階で実施された。

2030年の電力に占める原子力発電の割合について、政府は「0%」「15%」「20〜25%」の3つを示し、15%を軸に検討してきた。討論前に「0%」の支持者は33%だったが、討論後は47%に増加。「15%」案は同じく17%から15%に減り、安定供給を重視する「20〜25%」は13%で変化はなかった。

また同日、野田佳彦首相は反原発を訴え首相官邸前で抗議活動を続けている市民団体メンバーと面会。野田首相は「再稼働中止には応じられない」とし、話し合いは平行線に終わっている。だが、脱原発を求めている世論が裏付けられた。

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尖閣購入

2012年9月5日、尖閣諸島を国が20億5000万円で購入することで、地権者と合意したことがわかった。購入費用は12年度の予備予算を充てることで閣議決定する予定で、11日にも正式な売買契約書を交わすとしている。

石原慎太郎東京都知事も容認する姿勢を示した。

尖閣諸島を巡っては、中国と日本の双方が領有権を主張し争っているが、8月15日には中国の活動家たちが漁船に乗って尖閣諸島に上陸。計14人が沖縄県警と海上保安本部に逮捕され、すぐに強制送還された。同月19日には日本人の国会議員を含む慰霊団のうち10人が島に上陸。また9月2日には、東京都の調査船が初の洋上調査を実施している。

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