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おとなのための性教育講座
執筆者 早乙女智子

おとなのための性教育講座

エロス  eros

エロティシズムは、性的欲望の美的次元に焦点を当てた概念で、とりわけ性的活動への期待感に関連するものを指す。何によって性的興奮が高まるかは人それぞれで、視覚や触覚、嗅覚など様々な刺激が脳を喜ばせる。日本では夫婦間で年々エロスが薄れて茶飲み友達のようになって行きがちですが、性のマンネリを避けるためには工夫も必要。性産業が発達しすぎた日本では、性の捉え方があまりにも商業的なものに偏っていますが、エロいことは悪いことでも恥ずかしいことでもありません。

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ポルノ  pornography

ポルノグラフィとは、「性的興奮を起こさせることを目的としたエロチックな行為を文章や映像などで表現したもので、お金でからだや性の尊厳を売買すること」。エロスとポルノは違います。エロいだけなら犯罪にはならない。ポルノに関しては様々な考え方があるが、それが人身売買に当たる場合は犯罪と考えるべきだろう。ポルノをむやみに取り締まる必要はないが、被害者にならない・被害者を作らないことが社会として重要。

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セックス  sex

性(セックス)とは、生物学的意味での性別を指したり、性行為を指したりする。性行為とは、それぞれの性器や体を使ってコミュニケーションをはかる行為で、その結果として時に子孫を生み出すことにつながる。しかし実際にはほとんどの性行為は生殖に直結してないし、そうでなければならない理由もない。性も愛も個人の自由である。しかし相手との関係性を考えると、現実には不自由で不可解なことも少なくない。常識や世間体などにとらわれて、自由な恋愛をしているようで多くの人は自ら制限をかけているかもしれない。

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性行為  sexual act

性交のみならず、キス、ペッティングなど広く性的な行為を含む。オーラルセックス(口唇性交)の一般化は従来下半身の疾患と考えられていたII型ウイルスによる口唇ヘルペスやクラミジア咽頭炎の増加を引き起こした。また、アナルセックス(肛門性交)は肛門や直腸が傷つきやすく、エイズをはじめとする性感染症(STD)のリスクが増加すると考えられている。→セックス

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セクシュアリティ  sexuality

包括的に性をさす。男性性、女性性のみならずトランスジェンダーやインターセックスなど多様なセクシュアリティがある。生物学的な性をセックス(sex)といい、社会的な性別をジェンダー(gender)と区別する。→ジェンダーフリー

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性同一性障害  Gender Identity Disorder

生物学的には完全に正常でありながら、その反面で、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態。すなわち、個人の身体的性別特徴であるセックス(sex)と、社会的心理的性別役割であるジェンダー(gender)が一致しないことをいう。→ジェンダーフリー

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避妊  contraception

妊娠したくない女性やカップルが、妊娠を避けるために妊娠に至る過程を妨げる行動をとったり、器具や薬を用いたりすること。

一つの方法で一生使える方法も、万人向きの方法もなく、いずれの方法も向き不向きと、利点・欠点があるので、適切な選択と習熟が必要となる。日本ではこれまでコンドームと不十分なリズム法が主に利用されてきたが、ピルやIUDなど近代的避妊法の認可により、確実な方法を選ぶ傾向になると思われる。

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ピル  pill

世界中で最も広く普及している避妊薬で、年間9000万人以上が利用している。少量の合成女性ホルモン剤のエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲストーゲン(黄体ホルモン)の合剤を毎日服用することで脳下垂体からの排卵が抑制され、28日周期の月経となり、正しく服用すれば妊娠をほぼ100%防げる。

低用量ピルとは1錠当たりエストロゲンが50マイクログラム未満のものを指すが、現在日本で手に入るものは30〜40マイクログラム、海外では低用量の15〜20マイクログラムのものも使われる。保険適用がなく自費診療となるが、子宮内膜症や月経困難症の治療、月経周期の調節にも使える薬であり、医師に処方してもらう。2008年から発売となった子宮内膜症治療用のルナベルは低用量ピルの一つと同じ組成である。

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人工妊娠中絶

妊娠を人工的に途中で終了すること。妊娠12週未満を初期中絶、妊娠22週未満を中期中絶といい、ここまでが法的に可能な期間。刑法29章に堕胎罪があり、中絶は基本的に殺人罪の一つになっている。しかし母体保護法で定められた規定に当てはまれば医師も中絶手術を受けた女性も罪ではあるが罰せられない。現在、中絶の99%は同法の14条1項の「母体の健康を著しく害するおそれ」によって行われている。中絶手術は都道府県医師会による母体保護法指定医のみが行える。各医師会への届出義務があるが、届出数が正確であるかどうかは明らかではない。戦後100万件以上あったが、2008年にはさらに減って24万2292件となった。

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ジェンダーフリー  gender free

1999年に施行された男女共同参画社会基本法に基づき男女共同参画社会をめざして、社会的な性別役割(ジェンダー)から自由であることをさす。一人ひとりが自分らしく生き生きと暮らせることが目標となっている。各自治体や学校教育でさまざまな取組みがある一方、文化的に形成されてきた男女の違いをこわすものとしてバッシングの声もある。フリーセックスとは異なるので注意。

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