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未病を防ぐ東洋医学の基礎知識☆春の巻
執筆者 久保田恵美

未病を防ぐ東洋医学の基礎知識☆春の巻

風邪

風邪(ふうじゃ)とは「主に春の時期に、体の中に入りこむ冷たい邪気(じゃき)」のこと。主に、鼻やのどに症状がでることが特徴で、鼻水、鼻づまり、咽頭痛、せき・たんなどが生じる。日本でいう「かぜ(風邪)」の語源は、この風邪からきたといわれている。

対処法は第一に「体を温める」こと。一番のおすすめは「黒糖しょうが湯」。すりおろしたしょうが(小さじ1程度)に好みの量の黒糖を入れてお湯を注ぐだけ。すりおろしが大変な場合は、刻んだしょうがでもOK。のどが痛いと思ったら、少しでも早くに飲むことがポイント。また、風邪は首筋のツボから入るともいわれている。よって、ストールなどを巻いて、首まわりを冷やさない対策も効果的である。

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気(き)とは、簡単にいうと「体内のエネルギー」のこと。東洋医学的にいうと「気は命の源であり、人間が生きていく上でなくてはならないもの」と定義される。「病は気から」と昔からいうように、気は健康と深いつながりがあり、気を「停滞させない」ことが健康(元気)につながるといえる。例えば、気が上にあがれば、イライラ感や頭痛が生じ、気が下にさがれば、足先の冷えや憂鬱感が生じやすくなる。

気を全身に巡らせるためには、第一に体を「冷やさない」こと。体が冷たいということは、体外だけでなく、体内の内臓や血液をはじめ、食べた食物までも冷やして消化吸収をさまたげてしまう。極力、飲み物は常温か温かいものを選び、食事は温かいものを食べることが大切。気を巡らす食材は「香りのよい」もの。春の場合、せり、ふきのとう、たらの芽などの山菜がおすすめ。ほかに、通年の薬味である「ねぎ、しょうが、しそ、みょうが、ゆず、みつ葉」なども香り成分が豊富で望ましい。

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肝陽上亢

肝陽上亢(かんようじょうこう)とは「栄養・水分不足やストレスなどが原因で気が上昇し、体の上部に熱感、炎症、痛みといった症状がでること」を指す。体上部とは、顔面や頭部が主。寒い季節から除々に暖かくなる春に生じやすい。主な症状は、頭痛、イライラ、のぼせ、めまい、目の充血、目やに、口・のどの渇き、自律神経失調症、ホルモン失調、高血圧症、不眠症など。舌の状態は、濃い紅色で乾燥していることが多い。

対処法は平肝(へいかん)作用のある食べ物を摂取すること。また、できる限りストレスをためないよう、リラックスする時間を作ることが大切。軽い運動で汗を流すことも効果がある。

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肝胃不和

肝胃不和(かんいふわ)とは「ストレスや過労などによって肝機能が弱った際、胃の消化機能にまで影響を及ぼす」という意味。東洋医学的にいうと、肝機能が低下すると、胃の気(=エネルギー)が停滞して胃痛や胃もたれを起こす。主な症状は、胸やけ、酸水があがる、食欲不振、腸が鳴る、怒りっぽい、腹が張る、首・肩がこる、首を寝違える、足裏のほてり、気がふさぐ、のどが詰まった感じ、腸にガスがたまりやすいなど。また、胃の気が上にあがるという原因から、吐き気、しゃっくり、げっぷなども生じやすい。

胃の気が正常に下降すれば、スムーズに消化吸収できると考えられている。東洋医学の見地から「胃がじょうぶで元気ならば、他機能も元気」といわれているほど、胃は大切な臓器であり、健康のバロメーターといえる。

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平肝

平肝(へいかん)とは「肝の気(=エネルギー)が上昇して生じた体上部の興奮状態(頭痛、めまい、イライラ、目の充血など)を抑える働きのこと」をいう。東洋医学的には、体に「水分」と「血」を補うことで症状を暖和させる。適した食材は、セロリ、トマト、セリ、ピーマン、キャベツ、にんじん、ほうれん草、山芋、ぶどう、ライチ、クレソン、あなご、うなぎ、あさり、レバー、牛乳、豆乳、はちみつ、卵、鶏肉、くるみ、くこの実、黒豆、ごま、松の実、小麦など。

辛いもの(唐辛子、シナモンなど)や油っこいもの、熱すぎるものを食べると、症状が悪化するため、極力控える。

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