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ニュースの海から現代用語
執筆者 現代用語検定協会

ニュースの海から現代用語

普天間移設問題

普天間飛行場(宜野湾市)は、米国自らが「世界で一番危険な基地」と評価し、1996年に日米両政府が5〜7年以内の全面返還で合意したが、実現しなかった。鳩山内閣は、フライト機能の県外移設を検討してきたが、2010年5月23日、方針を転換した。発表された日米共同声明には移設先として「名護市辺野古」を明記。結局は辺野古での埋め立てが軸になりそうであり、海兵隊訓練の一部移転による負担軽減も検討課題として残った。鳩山政権は普天間移設で迷走を続けてきたが、8カ月かけて振り出しに戻ったに等しい。そして6月2日、鳩山首相は、社民党の連立政権離脱などの責任を取り、退陣した。

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iPad

iPadが5月28日国内発売された。米アップルの新型携帯端末iPadが米国で先行発売を開始したのは4月3日。4月末までの28日間で100万台を突破し、需要が供給を超えるという人気を見せ、品薄状態が続く。そのiPadが日本に上陸したのだ。

iPadには無線LANだけで通信する機種と、携帯電話回線も使える機種の2種類がある。大きさはB5判、薄さは約1.4センチ、重さは約700グラム。700グラムというと、新書本4冊分。「現代用語の基礎知識」とくらべるとその半分の重さ。

携帯電話ともパソコンとも異なる新しい機械は、読書などの娯楽や、教育、ビジネスなどに幅広く使われ始めている。

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時効の廃止

2010年4月27日、殺人など重大事件の公訴時効の廃止など盛り込んだ改正刑事訴訟法案が衆院本会議で可決、成立した。施行時に、時効が成立していない事件についても、さかのぼって適用するとしており、1995年4月に岡山・倉敷市で2人が殺害された放火殺人事件が、28日に時効を迎えることを受け、成立後、2010年4月27日即日公布・施行されるという異例の手続きが取られた。法改正により、殺人や強盗殺人など、法定刑に死刑がある罪は、25年で時効であったものが時効廃止となる。

また、強姦致死罪など法定刑に無期懲役・禁固がある罪は15年から30年に、傷害致死罪や危険運転致死傷罪など上限が20年の懲役・禁固の罪は10年から20年に、業務上過失致死罪など、それ以外の人を死亡させた懲役・禁固の罪は5年から10年にと、原則2倍に延ばされた。

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口蹄疫  foot and mouth disease

2010年4月20日、宮崎県で口蹄疫の疑似患畜例が確認された。5月16日平野官房長官は宮崎県庁を訪れ、東国原知事からの要望を受け止め、支援を表明した。この口蹄疫、偶蹄類動物だけに感染するウイルス性伝染病。人には感染せず、口蹄疫にかかった家畜の肉を食べても人体への影響はない。2000年に宮崎県、北海道の一地区で牛の口蹄疫感染が確認され、患畜・疑似患畜の淘汰・隔離による防疫と、周辺での牛・豚の移動制限が実施された。この口蹄疫発生は、日本では1908年以来92年ぶりだった。

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ギリシャ危機

欧州単一通貨ユーロ圏16カ国の緊急首脳会議が2010年5月7日に開かれ、財政危機に陥っているギリシャへ約13兆円の融資を承認した。ギリシャを除くユーロ圏15カ国と国際通貨基金(IMF)が融資する。なお、10日には緊急財務相理事会が危機に陥った加盟国を救済する、約89兆円にのぼる緊急対策「欧州金融安定化メカニズム」を発表した。ギリシャの財政危機に対する不安は根強く、日欧米の株式市場は急落しており、世界同時株安の流れが止まっていない。ユーロ圏ではポルトガルやスペイン、アイルランドなども財政問題が深刻化するのではとの懸念もある。「欧州金融安定化メカニズム」は、他のユーロ圏に波及することを阻止し、世界同時株安に歯止めをかける狙いがある。

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メキシコ湾原油流出

2010年4月20日、米国ルイジアナ州のメキシコ湾沖で、国際石油資本の英国BPの深海油田で事故が発生。11名が死亡し、22日には掘削基地が沈没した。この事故により、日量5000バレル〜2.5万バレルの原油が流出。米国史上最悪の流出事故となり、環境や漁業などへの被害が拡大している。原油は海底1500メートルで流出しており、壊れた海底の安全弁に大量の泥上の物質などを流し込んで流出を止める「トップキル作戦」などが失敗に終わっている。今後、流出を止めるには、現在の油井の近くに別の井戸を掘って原油を吸い上げるしかないが、その完成は8月までかかる見込みだ。

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ガザ支援船拿捕

2010年5月31日、イスラエル沖の地中海で、パレスチナ自治区ガザへ向けて支援物資を積んで航行していたパレスチナ支援団体の支援船をイスラエル軍の特殊部隊が強襲突入。6隻を拿捕し、支援船の9人が死亡、34人が負傷した。また、負傷者は出なかったものの、6月5日にも支援船1隻が拿捕されている。約150万人が住んでいるガザは、2007年に同地区を制圧したイスラム原理主義組織ハマスへの制裁として、イスラエルにより封鎖されている。輸入に頼っていた人々は、現在、エジプトとの間にトンネルを掘り、密輸で生活必需品を調達している。トルコや欧州などの人権活動家らが乗った支援船には医療機器やセメントといった物資が積まれており、ガザの人を助けるために計画された。また、封鎖の実態を世界に知らせることも目的であった。

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韓国哨戒船沈没事件

国際軍民合同調査団は、2010年5月20日、韓国の哨戒船沈没事件は北朝鮮の魚雷攻撃との最終報告書を発表した。

事件は3月26日に起きた。朝鮮半島西側、米国や韓国が主張する北方限界線(NLL)付近を航行していた韓国の哨戒船「天安」(全長約88m、1200トン)が大きな衝撃を受けた。NLLは、朝鮮半島を南北に分断する軍事境界線(38度線)が西の黄海上に延びるところに設定された海上の事実上の「軍事境界線」。1953年の朝鮮戦争の休戦協定では海上の境界線が決められていなかったため、連合国軍と国連軍が独自に設置した。これまでにもNLL付近でしばしば南北間の衝突が起こっており、99年に起きた銃撃戦の後、北朝鮮側はNLLの無効を宣言している。艦体は2つに割れ、沈没し、乗組員104人のうち、46名が死亡・行方不明となった。

国際軍民合同調査団の報告書を受け、韓国は「休戦協定違反」と批判し、国連安保理で制裁に向けた協議を求めると表明。また、韓国は米国や日本、中国、ロシアなど関係国に説明し、理解を求めている。一方、北朝鮮は潔白を主張し、制裁なら強硬措置をとるとしている。

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機密費

官房機密費を政治評論家に配ったという野中広務・元官房長官の発言が波紋を呼んでいる。評論家やコメンテーター、新聞の論説・解説委員、あるいは記者クラブ所属の記者たちにまで機密費が流れていたのか。予算上の正式名称は官房報償費で、内閣官房長官が管理する。これまで、「国の事業を円滑にかつ効率的に遂行するため、そのつどの判断で最も適切と認められる方法により機動的に使用する経費」と説明されてきた。主に、国会議員への餞別(海外出張時)、首相外遊時の土産代、国会対策費等に幅広く使用されてきた。

010年4月下旬、野中元官房長官は、官房機密費の使い道のひとつとして、政治評論をしている人たちに対し「盆暮れ500万円ずつ届ける」などの行為があったと明かしている。受け取りを拒否した評論家として、田原総一朗さんの名前だけを挙げている。

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核保安サミット

世界47カ国の首脳が参加した核保安サミットが2010年4月12、13日に米国のワシントンで開催され、「核物質の安全を4年以内に徹底させる」ことを盛り込んだ共同声明を採択し、閉幕した。オバマ米大統領は「テロリストによる核攻撃の脅威」を訴え、世界が一致団結して核テロへの準備を進める重要性を示した。次回の核保安サミットは、2012年に韓国で開催される。4月8日にはオバマ大統領とロシアのメドベージェフ大統領は新戦略兵器削減条約(新START)に調印している。5月には国連で核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開催される。オバマ大統領が訴える「核なき世界」の実現へ向けて具体的に動き出した。なお、同会議に伴い、オバマ大統領は13カ国の首脳と公式会談したが、鳩山首相との公式会談は見送られ、夕食会冒頭に約10分の非公式会談が行われたのみ。基地移設問題をめぐり両国間のぎくしゃくした関係をさらすこととなった。

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社員切り

「派遣切り」に続き、日本でも「社員切り」が拡大している。これまでの「リストラ」は、解雇以前の退職勧奨の段階で社内への立ち入りを禁じるようなことはほとんどなかった。それが、最近、退職勧奨の段階で会社への立ち入りを禁じ、本人に諦めさせて退職を無理矢理受け入れさせる「ロックアウト解雇」が顕著になってきている。突然解雇を通告し、社員がそれに応じない場合は、IDカードを取り上げたり、カードを無効にすることによって、翌日から職場に入室できないようにする解雇手法。2008年9月のリーマン・ショック以降、用語として頻発するようになったが、実は外資系企業でのリストラとしては以前からかなり行われていた。ロックアウト解雇は明確な労働基準法違反であり、外資系企業といえども国内法が適用される。鈴木剛さん(東京管理職ユニオン書記次長)は著書『社員切りに負けない!』の中で、国内における「ロックアウト解雇」あるいはそれに類する解雇事例を多数紹介。その実態と背景、対処法、相談先を伝え、泣き寝入りすることなく新たな出発のための「闘い方」を示している。

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