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ニュースの海から現代用語

ニュースの海から現代用語

脱ゆとり教育

文部科学省は3月30日、2011年度から使用する小学校教科書の検定結果を発表した。08年3月に告示された新学習指導要領は、「ゆとり教育」が大幅に見直され、小学校は11年度、中学校は12年度から全面実施される。新学習指導要領に即した教科書は各教科でページ数が増加。平均ページ数は25%増で、主要教科ではおよそ50%も増えている。これは、この10年の「ゆとり教育」の結果、学力低下を招いた危機感から、新指導要領では内容、授業時間を増やしたことによる。応用力を問う国際学習到達度調査(PISA)でも日本の子どもの成績が低下したことで、理数では問題解決能力を重視する学習、国語では言語能力を高めたり情報を読み解く力などを身につけたりするページも充実した。

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高校無償化

「高校無償化」法が3月31日に成立し、新年度からスタートした。内容は、保護者の所得による制限はなく、助成は授業料に対してのみとなる。一般の高校だけでなく、中高一貫校、高等専門学校、特別支援学校などの高校段階が対象となったが、フリースクールや朝鮮学校などは対象外とされている。公立高校は年間11万8800円の授業料を払う必要がなくなり、私立高校は年間11万8800円が助成され、年収によって助成額が増額される。一方で、高校無償化とともに特定扶養控除の削減が段階的に始まる。

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特定扶養控除の削減

高校無償化が新年度からスタート。これとともに特定扶養控除の削減が段階的に始まる。特定扶養控除は、16歳以上23歳未満の子どもを持つ場合に適用される控除で、16歳から18歳の控除額が高校無料化とともに引き下げられる。無償化による支援金から特定扶養控除の削減額を差し引きすると、例えば家族3人で年収800万円の世帯であると、実質的な助成額は2012年以降には5万6800円にとどまる。フリースクールに通う生徒や、低所得のために以前から授業料を免除されている家庭では、税負担が増えるだけとなってしまうなど、制度上の問題が指摘されている。

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新核軍縮条約

米国のオバマ大統領とロシアのメドベージェフ大統領は4月8日、2009年12月に失効したSTART1に代わる新核軍縮条約「新START」に署名した。署名式はオバマ大統領が2009年4月に演説で「核なき世界」を訴えたチェコのプラハで行われた。配備済み戦略核弾頭の上限数をそれぞれ1550に制限するなどの内容で、有効期間は10年間となっている。全世界の核兵器の約95%を保有する米ロの署名は、オバマ大統領が提唱する「核なき世界」の第1歩となった。オバマ米大統領は4月6日、米核戦略の包括的指針を示す文書「核戦力体制見直し(NPR)」も発表している。文書では、核拡散防止条約(NPT)に加盟して条約を順守している非核保有国に対しては、核攻撃は行わないことをはじめて明記した。また、米国が化学・生物兵器で攻撃を受けた場合、核兵器ではなく通常兵器で反撃する方針を明記するなど、米国の核政策はこれまでの圧倒的戦力による抑止力から最小限度の抑止力へと大きく転換させる内容となった。

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UDD(反独裁民主戦線)

タイのアピシット首相の退陣を求めて街頭占拠を続けるタクシン元首相派勢力「反独裁民主戦線(UDD)」と治安当局が、首都バンコクで4月10日に衝突し、死傷者800人を超す惨事となった。この衝突を取材していた日本人カメラマン村本博之さんが銃で撃たれて死亡。タクシン元首相派は3月中旬にアピシット政権に解散・総選挙を求めて街頭を占拠。抗議活動が広がり、4月7日にアピシット首相はバンコクとその周辺に非常事態宣言を出していた。アピシット首相はUDDの強制排除に失敗し、多数の死傷者を出したことで苦境に立たされている。アピシット首相は当初10年末としていた議会解散時期の前倒しを検討していることを認めるなど、UDD側に譲歩姿勢を示しているが、議会の即時解散と総選挙を求めるUDD側は強硬な姿勢を崩していない。

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イラク国民運動

3月7日に投票が行われたイラクの国民議会選挙(総選挙)の最終開票結果が26日に発表された。選挙結果は単独で過半数に達した政党はなく、定数325のうち最多の91議席を獲得したのはアラウィ元首相率いる「イラク国民運動」であった。マリキ首相が率いる「法治国家連合」は超党派を掲げて優位に選挙戦を進めていたが、結果は89議席で2議席及ばず第2党となった。宗教色の薄い世俗派のアラウィ元首相の「イラク国民運動」が、スンニ派地域で票を集め予想を覆して第1党となった。この選挙結果は、イラク戦争後多くの犠牲者を出した宗派間の対立を終わらせたいとの国民の意思の表れと見られている。シーア派が主導するイラク国民同盟は70議席で第3党、クルド2大政党が連合する「クルド同盟」は43議席で第4党となった。獲得議席数が僅差となったことから、政権樹立に向けた連立協議の難航が予想されている。

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たちあがれ日本

新党「たちあがれ日本」の結成が4月10日発表された。平沼赳夫、与謝野馨が共同代表に就任、園田博之、藤井孝男、中川義雄の計5名が結党メンバーとなった。新党発起人としては石原慎太郎・東京都知事も名を連ね、記者会見に出席した。結党の趣旨に「打倒民主党」「日本復活」「政界再編」の3点を掲げ、今年夏の参院選では第3極の立場で与党を過半数割れに追い込み、政界再編を目指すとしている。しかし、平均年齢は69.6歳で、中堅・若手の参加はかなわなかった。自民党内ではさらに離党して新党を結党する動きもあり、参院選に向けて政界では流動的な動きが続きそうだ。

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上海万博

中国で開かれる初めての国際博覧会。いよいよ5月1日に幕開け。上海市の中心部を流れる黄浦江の両岸で約180日間にわたって開催される。189カ国と57国際機関の計246が参加。テーマは「より良い都市、より良い生活」。面積、パビリオン・イベント数は万博史上最大で、過去最高の7000万人の入場者を目指す。北京オリンピック以上の経済効果が期待されている。開会式には、海外から元首級20人を含む約40人の要人が出席するとされている。 

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クロマグロ輸出入禁止提案

地中海と大西洋のクロマグロの輸出入禁止を議論したワシントン条約締約国会議が中東・カタールの首都ドーハで3月13日に開かれた。クロマグロ輸出入禁止の提案は反対多数で否決された。

ワシントン条約の中で最も規制が厳しいのは「付属書1」で、商業目的の国際取引が禁じられている。ジュゴンやシーラカンスなどがここに掲載されている。今回、大西洋のクロマグロをここに掲載し、輸出入を禁止しようとすることがモナコから提案された。米国やEUなどが支持を表明していたことから、クロマグロ最大の輸入国である日本は巻き返しを図っていた。

大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)は2009年11月の年次総会で、大西洋のクロマグロの2010年の漁獲量を09年比4割減にすることで合意している。

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白熱電球

東芝グループの照明メーカー大手「東芝ライテック」は3月17日、家庭向けの電球として親しまれてきた一般白熱電球の製造を中止した。今後は省エネ性が高く、寿命も長い電球型蛍光灯や発光ダイオード(LED)電球に生産を移す。政府は2008年4月に、各メーカーに白熱電球の製造を12年度までに中止するよう要請していた。今回、主要メーカーのうち、東芝が最初に中止し、120年の歴史に幕を下ろしたわけである。生産中止となるのは、白熱電球の「ホワイトランプ」「ホワイトボール」など103機種で、蛍光灯やLEDで代用できない機種については、引き続き製造を継続する。同社ではこれにより、年間2000万個の白熱電球を出荷していた08年に比べ、約43万トンのCO2削減に貢献できるとしている。

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郵政事業の見直し

3月30日、郵政事業の見直しをめぐる閣僚懇談会が開かれ、郵便貯金の預入限度額を1000万円から2000万円、簡易保険の加入限度額を1300万円から2500万円にそれぞれ引き上げる方針が決定した。政府は郵政改革法案を閣議決定し、通常国会に提出する予定だが、この引き上げ限度額をめぐっては、亀井静香郵政・金融担当相と原口一博総務相が3月24日に改革案を公表していた。しかし、これには議論が行われていないまま公表されたことなどから、閣僚から反発の声が相次いだ。結局、鳩山由紀夫首相に一任される形で事前の公表どおりの内容で決定されたが、政権内に広がる不協和音を露呈する形となった。

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デニソワ人

3万〜4万8000年前のロシア・シベリア南部に、これまで知られていなかった系統の人類が生存していたことを、ドイツなどの国際研究チームが明らかにし、3月25日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。その人類は「デニソワ人」と命名された。研究チームは、シベリアのアルタイ山脈にあるデニソワ洞穴の旧石器時代の遺跡(3万〜4万8000年前の地層)で2008年に発見された小指の骨からDNAを解読した。いまの人類(現生人類)と、約2万年に絶滅したネアンデルタール人は約47万年前に枝分かれしたとされるが、DNAの解読結果からデニソワ人はさらに古い、いまより104万年前に共通の祖先から分かれていることもわかった。

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昭和の日

4月29日は国民の祝日「昭和の日」。1988(昭和63)年までは天皇誕生日だったが、翌89(平成元)年から「自然に親しむとともに、その恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」日として「みどりの日」となった。それがさらに、祝日法の一部改正により、2007年から「昭和の日」に。「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」日とされる。これにともない、「みどりの日」は5月4日となった。

そんな昭和の日を記念して、第一興商が通信カラオケDAMの「あの頃検索」データをもとにした、昭和歌謡曲のカラオケランキング調査を実施した。

昭和の歌といえば何が歌われているのか…。結果は1位が岩崎良美の「タッチ」、2位は石川さゆり「天城越え」、3位にレベッカの「フレンズ」、4位には鈴木聖美とラッツ&スター「ロンリー・チャップリン」が選ばれた。

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