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《食べる》漢方の事典☆4月の食材
執筆者 久保田恵美

《食べる》漢方の事典☆4月の食材

ニラ  Garlicchives、Chinesechives

中国名は「韮菜(ジォウツァイ)」。生薬名は用いられる部分によって異なり、ニラの茎葉(けいよう)を陰干ししたものは「韮白(きゅうはく)」、種子を陰干ししたものは「韮子(きゅうし)」と呼びます。効能は滋養強壮、下痢・頻尿予防など。

茎葉は調理して食べても薬効があるといわれています。効能は滋養強壮のほかに、血行促進、胃腸の調子を整える、食欲促進、疲労回復など。ニラは、ニンニクにも含有する香り成分「アリイン」を含み、「ビタミンB1を吸収しやすくする作用」があります。つまり、ビタミンB1を含有する食材(豚肉、大豆などの豆類、ウナギ、レバー、マイタケなど)といっしょに摂取すると相乗効果があり、栄養価が高まります。定番料理である「餃子」や「レバニラ炒め」などは理にかなった料理といえるでしょう。また、油と摂取したほうが栄養の吸収率が上がるため、炒め物にして食べることをおすすめします。ニラは年中出回っていますが、春のニラが一番やわらかくておいしいです。

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ニラがゆ

風邪をひいたときや食欲がないときには「ニラがゆ」がおすすめです。白ご飯にひたひたの水を入れて火にかけ、中火でじっくりと煮ます。水分が半分程度になってら、刻んだニラを加えます。さらに煮込んで水分がなくなり、ご飯がねっとりしたらできあがり。ニラには体を温め、胃腸を整える作用があるため、体が弱っているときには最適です。食欲が多少ある場合には、卵を加えて「ニラ玉雑炊」にしてもよいでしょう。体力回復にはまず体を温め、胃にやさしいものを食べることが大切です。

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キャベツ  Cabbage

和名は「甘藍(かんらん)」。旬は3月から4月。「春キャベツ」と呼ばれ、他のシーズンよりも葉が柔らかく、甘いことが特徴です。含有する栄養は多種ありますが、中でもビタミンCとビタミンU(キャベジン)が豊富。ビタミンUは胃腸の粘膜の再生や潰瘍(かいよう)の改善、肝機能の強化、脂肪肝の予防などに役立つといわれています。また、食物繊維も多いため、便秘改善や美肌効果も期待できます。

ビタミンCとビタミンUは水に溶ける性質があるため、食べる際は「生」が一番。しかし、冷え性の方には生野菜は禁物なので、温野菜や炒め物にして食べることをおすすめします。ポイントは「サッと洗い、サッと加熱すること」。春キャベツは柔らかいため、ゆでる目安は1分程度でよいでしょう。

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コリアンダー  Coriander

中国名は「香菜(シャンツァイ)」。タイでは「パクチー」と呼ばれて親しまれています。セリ科の1年草で収穫期は3月から6月ごろ。コリアンダーの種子を乾燥させたものは生薬として用いられます。生薬の効能は、胃腸の働きを整える作用や、解毒作用など。コリアンダーの茎葉を食用で食べた際の効能は、消化促進、食欲増進、抗菌・殺菌作用などがあります。

コリアンダーがもつ独特の香り成分には、漢方学的にいうと「気」を巡らせる効果があります。具体的には、新陳代謝をあげて体を温める作用が期待できます。和食では、料理の仕上げ(飾り)に香りのある「ネギ」や「ユズ」を添えることが多いかと思います。それもコリアンダー同様、気を巡らすための食材といえます。ベトナムやタイ料理のみに使う食材と思わず、ぜひ、日常の料理に添えてみてください。

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カルダモン  Cardamon

和名は「小豆蒄(しょうずく)」。ショウガ科の多年草で、その種子を乾燥させたものが生薬として用いられます。カルダモンは清涼感のある香りが特徴。効能は胃もたれ改善、消化促進、滋養強壮、口臭防止、頭痛鎮静作用など。最も有名な用途はカレーを作る際の「スパイス」。ターメリック(ウコン)やコショウなどと共に、カレーには欠かせないスパイスの一つです。

春は体調を崩しやすい季節であるため、スパイスがしっかり効いた「カレー」はおすすめメニューです。体を温め、強壮作用があり、疲労回復にも役立ちます。カルダモンを紅茶やコーヒーに入れて香りを移して飲む方法(1カップに3粒から4粒)も、健康維持のために効果的です。

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クローブ  Clove

生薬名は「丁香(ちょうこう)」といいます。食用ではスパイスとして出回り、カレーなどのスパイス料理には欠かせない食材です。甘い香りが特徴です。効能は消化・吸収促進、吐き気抑制、胃腸の調子を整える作用など。また、クローブがもつ香り成分には「防腐・殺菌・防虫作用」があり、その作用はスパイスの中で最も優れているといわれています。クローブを煎じた液でうがいをすると口臭予防、口内殺菌に役立ちます。

漢方薬としては身近でないとしても、スーパーなどのスパイスコーナーで手軽に入手できます。家庭料理では塩、コショウで味をととのえることが定番ですが、シチューやカレーの隠し味にぜひ、クローブを使ってみてください。食後には、紅茶に2粒から3粒のクローブを加えた「クローブティー」にしたり、お酒に入れて香りを楽しんだり……。香りが強いので、入れ過ぎには注意してオリジナルの味を作ってみてはいかがでしょう。

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カレー  Curry

「カレー」はインド料理とはいえ、幼いころから親しみのある方は多いでしょう。カレーは市販のルーを使って手軽にできる料理ですが、ルーには多種のスパイスが入っているため、とても健康的な料理です。スパイスから作る本格的なカレーと比べると劣りますが、家庭で作るカレーにも、薬効を期待できます。カレーに配合されているスパイスは、コリアンダーカルダモンクローブのほか、クミン、シナモン、ターメリック(ウコン)、チリ(唐辛子)、ブラックペッパー、フェンネルなど。効能は、血行促進、食欲増進、胃腸の調子を整える作用、体を温める作用、抗菌・殺菌作用など。疲れたとき、元気を出したいときなどには最適な料理です。ただし、胃腸の弱い方は刺激が強すぎる場合があるため、辛さやスパイスの量を調整したほうがよいでしょう。

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